「ものもらい」の原因・症状・対処法

<知っておきたい>「ものもらい」の正しい知識 「ものもらい」の原因・症状・対処法

まぶたの一部が赤く腫れて、痛い…。ものもらいはとても身近な病気です。名前から「人からもらう病気」のように思われがちですが、実はそうではありません。ものもらいの原因、症状、対処法について眼科医監修のもと解説します。

ものもらいの原因・症状

ものもらいの原因・症状

目の周りのできもののほとんどは「ものもらい」と呼ばれます。この呼び名は東日本を中心に使用されているもので、この他に、めばちこ、めいぼ、おひめさんなど地方ごとにさまざまな呼び名があります。これらは俗称で、医学的には「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」や「霰粒腫(さんりゅうしゅ)などを指します。それぞれ詳しく説明していきましょう。

麦粒腫とは

まぶたの縁や内側に細菌が感染して、まぶたの一部が腫れて赤くなるものです。まつ毛の毛根に感染した場合を「外麦粒腫」、まぶたの内側のマイボーム腺に感染した場合を「内麦粒腫」といいます。

はじめはまぶたに局所的な赤みがあらわれ、しばしば軽い痛みやかゆみを伴います。
炎症が進むと、赤み、腫れ、痛みが強くなることも。化膿が進むと、腫れた部分が自然に破れて膿が出ることがあります。膿が出た後、症状は回復に向かいます。

麦粒腫の原因となる細菌は多岐に渡り、涙で洗い流せる弱い菌もあれば黄色ブドウ球菌など重症化しやすい菌もあります。主に、細菌がついた手指で目を触ることで感染します。

霰粒腫とは

まつ毛の内側には、「マイボーム腺」という、目を乾燥から守るために必要な脂質が出る分泌腺があります。このマイボーム腺の出口が詰まり、慢性的な炎症が起きた結果、肉芽腫という塊ができる病気です。麦粒腫と異なり、細菌感染を伴わない炎症です。

霰粒腫の主な症状はまぶたの腫れや異物感。多くは、痛みも赤みもなくまぶたの内側にコロコロとしたしこりのような塊ができます。炎症を伴った場合は麦粒腫と似た症状が出ることがあり、これを「急性霰粒腫」といいます。

  • ものもらいの種類

    ものもらいの種類

結膜炎とものもらいの違い

充血や目やになど症状が似ていますが、ウイルス性結膜炎は人へ感染するのに対し、ものもらいは細菌が原因となるため、人へうつることはありません。また、一般的な結膜炎は結膜の表面に全体に炎症が起こりますが、ものもらいは炎症が結膜の中まで進み、一部分が腫れてしこりが感じられます。

ものもらいの予防法・対処法

ものもらいの予防法・対処法

ものもらいを防ぐにはどのような方法があるのでしょうか。ものもらいにかかってしまった時の対処法とあわせて解説します。

基本的な予防法

  • こまめに手を洗う

    麦粒腫は手指を介して細菌に感染するので、こまめに手を洗い、汚れた手で目を触らないことが大切です。コンタクトレンズをつけるときや外すときは必ず手を洗いましょう。

  • 免疫機能を低下させない

    健康で免疫機能が正常に機能していれば、たとえ目に細菌が触れても感染することはありません。しかし、免疫機能が未熟な子供や免疫機能が低下している高齢者、病中病後の人などは感染しやすいので注意が必要です。睡眠や食事に注意して免疫機能を低下させないことが大切です。

  • マイボーム腺をマッサージする

    朝晩の洗顔時、目を閉じた状態でまつ毛の生え際に指先を揃えて当て、1~2ミリ左右に揺さぶり、マイボーム腺をマッサージしましょう。習慣にするとマイボーム腺がつまりにくくなります。

  • まつ毛の内側までアイメイクをすることを避ける

    アイメイクでマイボーム腺を塞ぐと麦粒腫や霰粒腫の原因になるので、まつ毛の内側までアイメイクをすることは避けましょう。また、まつ毛のエクステンションはマイボーム腺を塞ぎ、また目の周りを清潔に保ちにくくなるためおすすめできません。

基本的な対処法

麦粒腫はOTC医薬品で対応できます。でき始めになるべく早く抗菌剤が配合された目薬を使うと効果的です。霰粒腫は細菌感染を伴いませんが、炎症予防のために抗菌剤が配合された目薬を使うことは有効です。

しかし、少しでも症状が悪化してくる場合は眼科を受診しましょう。眼科では抗生物質の点眼や内服を行います。化膿が進んでいる場合は、切開して膿を出すこともあります。炎症による腫れがひどくなると、すぐには切開できないため治療が長引きます。症状がひどくなる前に、なるべく早く眼科を受診しましょう。

霰粒腫は小さければ自然に吸収されることもありますが、大きい場合は副腎皮質ステロイド薬をできものに注射したり、手術で摘出したりします。急性霰粒腫の場合、抗生物質で炎症を鎮めます。

※薬局やドラッグストアで処方箋なしで購入できる医薬品

ものもらいに関するQ&A

ものもらいに関するQ&A

身近な目の病気であるものもらいの疑問を、眼科医がお答えします。

  • ものもらいが治るまでには一般的に期間はどのくらいかかりますか?

    ものもらいの種類によって違います。麦粒腫はでき始めに適切な抗菌剤入り目薬を使うと1週間程度で治ります。霰粒腫もでき始めに抗菌剤入り目薬を使い、炎症を予防することができれば早く治りますが、しこりができてしまうと薬が炎症部分に届かなくなり、治るまでに何ヶ月もかかる場合もあります。

  • ものもらいになりやすい季節はありますか?

    諸説ありますが、季節を問わず起こります。咽頭性結膜炎(プール熱)のように夏に多いものもありますが、ウイルス性結膜炎は冬に起こりやすいものもあります。原因が様々なので一年中起こる可能性があるでしょう。四季を通じて注意が必要です。

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梶田 雅義先生
監修:梶田眼科 院長 梶田雅義先生
1983年、福島県立医科大学卒業後、カリフォルニア大学バークレー校研究員などを経て、2003年、梶田眼科開業。2018年から2021年、東京医科歯科大学医学部臨床教授。2022年、日本コンタクトレンズ学会名誉会員受賞、2023年、日本眼光学学会名誉会員受賞。現在も日本眼鏡学会評議員、日医光JIS原案作成委員を務める。

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