<知っておきたい>「におい」の正しい知識 (2)「体臭」の予防・対処法 体臭の予防・対処法 体臭を強くする・抑えてくれる食べ物 体臭にまつわるよくある悩み 社会生活の中で自信をもってコミュニケーションをとるためには、体臭のケアは必須。体臭を抑えることは、相手に気を配ることであると同時に、自分のためでもあります。そこで本記事では、医師監修のもと、体臭を抑えるさまざまな方法をご紹介。あなたも、におわない体をつくるための知識を身につけませんか? 体臭の予防・対処法 原因やレベルによって効果は異なりますが、体臭を抑える方法としては、以下のようなものが挙げられます。 汗をこまめに拭く 汗それ自体が強いにおいを発することはありませんが、拭かずに放置しておくと、汗に含まれる成分や垢が、皮膚常在菌によって分解され、悪臭を発します。汗をかいたらこまめに拭きとるようにしましょう。 体を洗う、洗浄 体のにおいを抑制するには、汗などの汚れをきれいに洗浄することも効果的です。最近では、皮脂や汚れの吸着力が高いボディソープなど、においの元にアプローチする製品も増えてきています。こうしたアイテムも活用しつつ、体を清潔に保つように心がけましょう。 制汗剤の使用 体臭を抑えるには、制汗剤の利用も効果的。汗の分泌を抑える制汗剤や細菌の繁殖を抑える殺菌剤を使って、においが発生しない状態を維持しましょう。 喫煙や飲酒を控える 喫煙や飲酒は、アポクリン汗腺の働きを活発にする作用があります。特にワキガに悩んでいる方は、控えたほうがいいでしょう。また、アルコールやニコチン自体も強いにおいを発する成分なので、摂取すれば体質にかかわらず体臭が強くなります。 ストレスを溜めない ストレスが溜まると、自律神経のバランスが乱れ、交感神経が優位に働くようになります。すると体は汗をかきやすくなり、これがにおいの原因に。また、ストレスを感じると唾液の分泌量が少なくなるため、口臭も発生しやすくなります。 この他に重要になるのが、食生活の見直し。食べ物と体臭には深い関係があります。食事と体臭については、この後で詳しく説明します。 なお、上記のような方法を実践しても体臭が改善しない場合、何らかの病気が原因である可能性もあります。においが体からのサインかもしれないので、一度病院にかかって相談してみるといいでしょう。 体臭を強くする・抑えてくれる食べ物 食事と体臭には、深い結びつきがあります。これは、日本人が欧米人やアフリカ系の方々に比べて体のにおいがしないことにも関係していると考えられます。欧米人やアフリカ系の方々が昔から肉を多く摂る食生活だったのに対し、日本人は魚や野菜を中心に食べていたため、体臭に違いが生じたといわれています。 ここでは、体臭を強くする食べ物と、逆に抑えてくれる食べ物をいくつかご紹介します。 体臭を強くする食べ物の代表例 ■肉 肉に代表される高カロリーかつ高脂肪な食品は、汗腺や皮脂腺の働きを活発にします。すると多量の汗と皮脂が分泌され、体臭の原因となるのです。肉以外では、バターをはじめとした乳脂肪分が多く含まれる食品も挙げられます。 ■にんにく もともとにおいの強い食品は、口臭をはじめとした体臭の原因となります。ニラなどもこれに該当します。 ■アルコール 先述のとおり、汗腺の働きを活発にしたり、それ自体がにおいの元になったりします。 体臭を抑えてくれる食べ物の代表例 ■アルカリ性食品 私たちが口にする食べ物は、酸性食品とアルカリ性食品とに分けることができます。例えば、肉や魚、卵、穀類などは酸性食品。野菜や海藻、きのこなどはアルカリ性食品です。これらをバランスよく食べることで体は健康な状態を維持できますが、酸性に傾くと、体調不良や病気を引き起こし、体臭も強くなりやすい状態となります。現代の食事ではアルカリ性食品が不足しがちなので、積極的に摂るように心がけてください。 腸内環境を整える食品 食べたものを腸内細菌が分解する際に、におい物質が発生します。この一部は便やおならとして体外に出されますが、残ったものは腸で吸収されて、肝臓に送られます。そして肝臓が物質を無臭化しますが、そこからこぼれてしまったものはまた腸に戻り、最初と同じように処理されるのです。これを腸肝循環といい、この働きが悪いと、におい物質が血液に多くまぎれこみ、汗や息がくさくなるといわれています。 そのため、体臭を抑えるためには、この腸肝循環が正常に機能する状態を維持することが大切。そこで効果的なのが、腸内環境を整える食べ物です。具体的には、めかぶやもずく、納豆などが挙げられます。 体臭にまつわるよくある悩み 最後に、「体臭」についてよく聞かれるお悩みを解説します。 自分では自身の体臭がよくわからないのですが、チェックする方法はありますか? 私たちの嗅覚は、長時間同じにおいをかいでいると、そのにおいを感じなくなってしまいます。つまり、自分自身のにおいに気がつくのは、極めて難しいことなのです。家族や親しい友人など、デリケートな問題も相談できる相手に聞いてみるのが最も手軽な方法といえるでしょう。 周りの人は気にならないというが、どうしても自分がにおう気がします…。 体臭は相手に不快感を与える可能性があるため、多くの人は自身のにおいにとても敏感になっています。中には、本当ににおわないのに「自分はくさい」と思い込んでしまう、自己臭恐怖症になってしまう方も。この場合は体臭の問題ではなく、神経症に分類されます。どちらにせよ適切な治療が必要になるので、気になる方は一度病院を受診することをおすすめします。 女性なのに加齢臭に悩んでいます。 加齢臭は男性特有のものと思われている方は多くいますが、決してそんなことはありません。加齢臭の原因であるノネナールは、性別を問わず、加齢とともに増えてきます。 さらに女性の場合、ラクトンC10、ラクトンC11という成分によるSWEET臭と呼ばれる若い女性特有の香りが年を重ねるとともに減少することも、加齢臭を感じる原因になることがわかっています。ノネナールへの対策をしつつ、SWEET臭をまとうことが、女性の加齢臭対策として有効といえます。 監修:五味クリニック 五味 常明先生 昭和大学医学部を卒業後、昭和大学形成外科などで形成外科学を、多摩病院精神科などで精神医学を専攻する。患者の心のケアを基本にしながら外科的手法を組み合わせる「心療外科」の提唱者で、ワキガ・体臭・多汗治療の現場で実践している。クリニックで治療を行う傍ら、著書を出版し、テレビや雑誌をはじめとした数多くのメディアへも出演。正しい知識や治療法を広める活動にも取り組んでいる。 正しい情報を掲載するよう注意しておりますが、誤った情報があればご指摘ください 医療情報に関するご指摘はこちら からだの気になる症状別ガイド一覧へ戻る