近視を進ませないために 近視を進ませないために

眼科でできること

近視の進行をおえるために、さまざまな研究が進められています。一部の眼科では以下のような治療が行われています。

  • オルソケラトロジー

    特殊なハードコンタクトレンズを夜寝る前につけ、朝にはずします。
    就寝中に角膜の形を変化させることで、視力を矯正します。

  • 点眼薬(低濃度アトロピンなど)

    眼軸長(眼の奥行)の伸長を抑制する点眼薬などがあります。医師の処方が必要です。

  • 多焦点コンタクトレンズ

    レンズの中心部から周辺にかけて、度数が変化しているコンタクトレンズです。

  • 累進屈折型メガネ

    ひとつのレンズで、位置によって度数を変化させているメガネです。

  • 食品成分(クロセチン)

    クチナシ由来の天然色素成分「クロセチン」を摂取することにより、近視の進行を抑制した臨床試験データがあります。

    期待の成分、クロセチンとは

こどもの近視に気づいたら、なるべく早く眼科を受診し、いまの状態にあわせた対策を先生と相談しましょう。

日常生活でできること

屋外活動時間が長いと、近視になるリスクが低くなることが報告されています。
理想は1日2時間以上。外へ出て太陽の光をあびましょう。日かげでも大丈夫です。

両親ともに近視でも、外あそびでリスクは低下 両親ともに近視でも、外あそびでリスクは低下

屋外活動時間の影響が大きいことを示した研究。
両親ともに近視でなくても屋外活動が短ければ、近視になりやすいこともわかります。

真夏など日差しがとても強いときは、対策を忘れずに。

  • 日焼け止めを塗る
  • 水分補給をこまめにする
  • つばのある帽子をかぶる

スマートフォンやゲームにかぎらず、近くを見る作業を長く続けると、目に負担がかかります。目を休ませるためにも、1時間に5~10分程度は休憩をいれるようにしましょう。

近くを見る作業は近視リスクを高める

インドの都市部の小中学校(年齢中央値11.6歳)、9884人を対象に読み書き、テレビ、コンピューター・ビデオゲーム、外遊びに費やす時間を調査し、各行為が0か、少ない子を1とし、近視になるリスクを調べた研究です。

近くを見る作業は、眼軸長(がんじくちょう)が伸びるタイプの近視に影響するという報告があります。
昔から言われてきた「読書はよい姿勢で」は、正しい近視の予防方法なのです。本やスマートフォンと目の距離を取るために、よい姿勢を習慣づけるようにしましょう。

また、頭をかたむけて片目だけを机に近づけて座ると、近づけている方の目の眼軸長が伸びやすく、近視が進みやすいので要注意です。勉強机に向かうときなども気をつけましょう。

暗いところで本を読むのも、よくありません。とくに、暗い部屋で寝ながらの読書は、近視に悪影響です。今すぐやめましょう。

強度近視のこどもは、そうでない子に比べて、睡眠の質が低いことが明らかになっています。

よく眠るには日中に光を浴び、夜は光を落としていくなどして生活リズムを整えることが大事です。
また、パソコンやスマートフォン、ゲーム機などの画面から出ているブルーライトには「体を目覚めさせる」働きがあるといわれています。寝る2~3時間前までには、使用を終えるようにしましょう。

近視が強いこどもは就寝時間が遅い・近視が強いこどもは睡眠時間が短い 近視が強いこどもは就寝時間が遅い・近視が強いこどもは睡眠時間が短い

慶應義塾大学病院など日本の6ヵ所の眼科医療機関に来院した患者を対象に、睡眠と近視の関係を分析。強度近視のこども(10~19歳)は、近視でないこどもに比べて就寝時間が遅く、また睡眠時間が短いことが分かります。

小学3~4 年生で近視を発症するケースが多いのですが、最近は低年齢化が進んでいます。早い場合は6歳未満から近視になることもあります。
年齢があがるにつれて近視は進行する傾向にあるため、予防は早めにとりかかることをおすすめします。

※遺伝や生活環境によって異なります。大人になってから近視を発症する場合や、近視の進行が止まらない場合もあります。

眼精疲労はさまざまな目の疾患と関連があり、近視に影響している可能性も否定できません。

また、近くを見る作業を長くつづけると、目の疲れだけでなく、近視が進行しやすくなります。長時間のスマートフォンの使用や、ゲームのしすぎなどは避けて、適度に休憩を取るようにしましょう。

気になることがあれば眼科を受診しましょう 気になることがあれば眼科を受診しましょう

たいせつなこどもの目。
からだも目も成長する学童期は、定期的な検査を受け、
適切な指導を受けることが大切。
目について気になることがあれば、眼科医に相談しましょう。

監修

慶應義塾大学医学部 眼科学教室
森 紀和子 先生