あの人の、
心のしずめ方
内田真美さんの場合

せわしない毎日の中では、良い方向にも悪い方向にも心が揺れ動く瞬間に直面します。心がさわがしくて落ち着かない時、どんなふうに自分に向き合えばいいのでしょうか。料理研究家として長年、豊かな食卓を提案し続ける内田真美さんは、心身に無理のない生活リズムを維持すること、そして時には心にとびきりの栄養を与えることで、穏やかな心の状態を保つことができているのだといいます。自ずと身につけてきたという “心のしずめ方”について伺いました。

「あの人の、心のしずめ方」は、各界の第一線で活躍する女性たちに、自分なりに培ってきた心のしずめ方についてインタビューをしていく連載企画です。

区切りにはお茶で小休憩。
無理のない毎日が、穏やかな心をつくる。

自分の心をしずめるために大切にしているのは、何よりも無理をしないことです。一日に予定を詰め込みすぎてしまったり、締め切りや待ち合わせの時間に対してギリギリに行動をはじめたりすると、どうしても焦りが生まれて心に余裕がなくなってしまうもの。できる限り早めの行動を心がけたり、あえて全く何もしない日をつくったりする。そんなことを自然と癖にしてきたからこそ、年齢を重ねるごとに心が大きく乱れるようなことも減り、穏やかな日々を送ることができているのだと思います。

無理のない生活リズムを保っていくうえで習慣化していることの一つが、作業のひと区切りとなるタイミングでお茶の時間をとること。例えば朝、娘を学校へと送り出した後に、紅茶を入れてひと呼吸をおいたり、事務仕事や食材の下準備がひと段落したら、季節のお菓子をつまんだりなど、意図的に生活リズムに緩急をつけるようにしています。料理家という仕事柄、外出することもそう多くないので、時には午後の小休憩のために、自宅から歩いてすぐの場所にあるお気に入りの喫茶店に足を伸ばすことも。普段は自分で準備する分、誰かに淹れていただいたお茶を存分に楽しむ時間は格別。喫茶店をセカンドリビングのように暮らしに取り入れることで、気持ちをうまくリフレッシュしています。

身の回りに散りばめるのは、
自分の琴線に触れた、美しいもの。

そしてもう一つ、毎日を気持ちよく過ごすために心がけているのは、器をはじめとする身の回りの道具に、自分が美しいと感じるものを選ぶことです。それは何も、絶えず目を惹くような圧倒的な存在感を放つものではなく、思わず素通りできるほど自分自身や周囲に調和する心地良さを持つもの。たった一つだとしても、自分の感性に響いた美しいものが傍らにあれば、日々の暮らしも気持ちの良い状態で毎日を送ることができると思うんです。

特に私が好んで使っているのは、韓国の現代作家による器です。日本と生活様式が近い環境でものづくりをする作り手たちの生み出すものだからこそ、美的感覚も近いのか、琴線にさりげなく触れるような作品と数多く出会えるんですよね。美しいものを使っていると、不思議と他の美しいものにも目を向けられるようになる気がしていて。窓から見えるなんてことのない季節の移り変わりも、稀有なことのように感じたり、感動できたりする。それが心をしずめることにもどこか繋がっているように思います。

時には日常を飛び出して、
“心がふくよかになる”体験を蓄える。

とはいえ日頃の生活の中ではどうしても行動範囲が限られてしまう分、まとまった時間がとれた暁には、日常から逸脱して遠くへ旅に出るようにしています。旅先の空気にどっぷりと身を委ね、非日常な体験を積み重ねることも、心を穏やかに保つ一因になっているのかもしれません。

なかなか旅に出られないコロナ禍での我慢の日々を経て、今年数年ぶりに訪れた海外は韓国。目的地は、ソウルから車で3時間ほどのヤングという場所にある友人のアーティストのアトリエ兼ご自宅でした。かねて行きたいと願っていたものづくりの拠点に伺えたことはもちろん、友人が連れて行ってくれた山の中にある山菜と地鶏のお店で食した「ペクスク」という優しい味わいの鶏の煮込み料理、そしてその地域で採れる多彩な山菜を使ったナムルがとにかく美味しくって。もしかしたら、二度と訪れることが叶わないかもしれないような辺鄙な場所に赴き、その土地でしか楽しむことができないであろう豊かな体験ができたことは、何よりも幸せなことでした。

そしてもちろん、大好きで20年以上通っている台湾にも数年ぶりに訪れました。行き慣れた土地だからこそ、娘と二人、大好きなお店や大好きな友人との再会を楽しみ、土地の魅力を再認識するような気分を味わうことができましたね。私が旅で重視するのは、ものより思い出。非日常な体験を通じて“心がふくよかになる”ような幸せな記憶を胸いっぱいにため込むことで、また穏やかな心で日常に戻っていくことができるんです。

内田真美

うちだ・まみ/長崎県生まれ。雑誌や書籍、広告などでのレシピ提案を中心に幅広く活躍している。近著に『内田真美の日々スープ くりかえし作るうちの定番をまとめて』(KADOKAWA)などがある。

きょうの新月
2023年12月13日(水)AM8:32
射手座の新月

普段私たちが使っているカレンダーは、太陽の運行を基に作られていますが、大地を明るく照らす太陽が沈むと、月の時間が始まります。月の満ち欠けやリズムを意識し始めると、忙しい日常から離れて心を鎮めるコツが掴めるようになります。あなたの生活にも月の時間を取り入れてみませんか。

きょうの過ごし方

射手座の新月「自由を求めて“冒険”に心躍らせよう」

毎月やってくる新月の日は、自分と向き合い、未来の私に向けて「種」をまく最良の日です。

12月13日(水) AM8:32、月は天の射手座で新月になります。射手座の新月には、物事の明るい面を照らす力があります。そこに映るのは、恐れも疑いもいらない明るい未来です。自分を信じて、「きっとうまくいく」「何かいいことが起こりそう」というポジティブな予感を大切にしましょう。射手座の新月は冒険好きです。先の読めないことに自分を賭ける勇気や情熱をも与えてくれるでしょう。

「あなたを縛るものから自由になる」もこの新月のテーマ。自由を得るために行動を起こすチャンスです。たとえば、働き方のスタイルを変えてみたり、あなたを縛る人から距離を置いたりするとスッキリします。また、射手座の新月は、旺盛な知識欲や向学心を授けます。特に、語学や教育、法律に関する勉強は、この日に始めると効果大です。

射手座は「外国・異文化」に関わる星座。この日は未知の世界を知りたいという気持ちが高まり、旅へと心が駆り立てられるでしょう。次の休暇のために航空券などを予約するのも良い日ですし、行ったことのない国の料理を食べるのも立派な異文化交流です。そして、夜になったら今後の「夢や目標」をノートなどに書き記すと、新月が不思議なパワーをくれるはずです。

つぎの新月に向けて

新月から3日ほど経つと、夕暮れの西の空に銀色の三日月が見えます。新月にまかれた「種」が芽を出し成長するイメージを思い描きながら、日々月が満ちていくのを眺めてみましょう。満月までの「月が満ちていく期間」(12/13〜12/27)は、心とカラダに栄養を与えてください。満月が過ぎ、次の新月までの「月が欠けていく期間」(12/27〜2024/1/11)は、不要なものを手放す、ダイエットに取り組む、また人間関係を見直すのによい期間です。

著者紹介

岡本 翔子

おかもと・しょうこ/心理占星学研究家。ロンドンにある英国占星学協会で、心理学をベースにした占星術を学ぶ。英国占星学協会会員。
占星術とライフスタイルを組み合わせたコラムを『CREA』『婦人画報』『美ST』『料理通信』などに寄稿。著書・訳書多数。
月の満ち欠けや星座を記し、月のリズムを生活に生かすヒントが満載のカレンダー『MOONCALENDAR2024』を10月に発売。不定期でモロッコの旅行会社と「月の砂漠ツアー」も行っている。

心しずまる言葉

井戸川射子さんが読む「鹿」

書き手が熱量をもって大切に紡ぎ、丁寧に磨き上げた言葉たち――。
それらにそっと耳を傾ける時間には、自然と心も穏やかになっていくものです。ここでは、様々な思いを乗せて綴られた文章を、書き手が自らの声で届けます。
作家の井戸川射子さんが読むのは、新たに書き下ろした短篇小説「鹿」です。以前、奈良を訪れた際に目にした光景や、そこで書き留めた言葉を種にアイデアを膨らませた作品だそう。私と晩年の母、そして鹿の不思議な交わりは、生きることとは何か、老いることとは何か、を聞き手に静かに問いかけるかのようです。

「心しずまる言葉」は、小説やエッセイ、詩、俳句など、様々な形式で書かれた文章作品を、著者自らが朗読し、音声で届ける連載企画です。夜、眠りにつく前に、あるいは一人で静かに過ごす時間のお供に、楽しんでいただけたら幸いです。

読んだ人

井戸川射子

いどがわ・いこ/1987年兵庫県生まれ。作家。関西学院大学社会学部を卒業後、高等学校の国語教師として勤務するかたわら、詩や小説の執筆をスタート。2018年、第一詩集『する、されるユートピア』(青土社)を私家版で出版し、 翌年この詩集で第24回中原中也賞受賞した。また2021年には、小説集『ここはとても速い川』(講談社)で第43回野間文芸新人賞受賞し、2023年、『この世の喜びよ』(講談社)で第168回芥川賞を受賞した。

読んだ作品

『鹿』
井戸川さんが今回の企画のために書き下ろした短篇小説。「私」は老いた母と鹿を見にしばしば公園を訪れたこと、そしてそこで起こった出来事を回想する。
作品はこちら

ひとり時間の
スキンケアメソッド

日々移りゆく、からだ、こころ、そして肌。
鏡に映る自分の肌のコンディションって調子が良いときばかりじゃない。ストイックな攻めの美容がどうもピンと来ない日だってある。
だからこそ意識したいのは、〈鎮める〉美容。

ここではブルーミオのスキンケアアイテムを使って、肌トラブルに対して焦ってしまう心を鎮めながらも、肌を存分にいたわるためのおすすめティップスをご紹介します。

「なんだか私の肌、
乾ききっている…!?」

「え…私の肌、なんだか乾ききっていない!?」という恐ろしい事実に頭を抱えたのは、誰でもない、つい数日前の私。
突如訪れた朝晩の冷え込みでうっすらと気付いてはいましたが、いよいよ肌にとって大敵の一つである乾燥シーズンが幕を開けてしまいました。
乾燥によって鏡越しに見る自分の肌のトーンは心なしかいつもよりくすみ、「透明感」という言葉とは程遠いところにある気がする。肌にそっとふれると、指先が感じ取るのはざらっとしたごわつき。化粧水を塗布しようとしても、一向に浸透している気がしない終わりのない不安。
そう言った意味では、冬のはじまりと共に訪れる肌の落ち期は、自信や自己肯定感までも容赦無く低下させてしまう要因なのかもしれません。

今こそ「うるおいを与える」ことに
意識を

肌のコンディションが絶好調とは言えない時こそ、立ち返りたいのはスキンケア最初のステップである導入美容液。
うるおいの立役者である最高濃度のブルーセラミドを配合したブルーミオのディープブーストセラムで、角質のしっかりしたお手入れとして「土台をととのえる」ように意識してみましょう。
不調肌に最初に効かせるアイテムという前提のもと作られているディープブーストセラム。浸透感にこだわり、製剤が肌上で崩れるように設計されているのも老化炎症などによる乾燥が気になる私たちにとって嬉しいポイントの一つなのです。

うるおいで満たすための
スペシャルケアをプラス

さて、導入溶液によって角質のお手入れスイッチが入ったなら、実は最大の危機からは脱出できたも同然。あとはいかに丁寧に化粧水で保湿できるかがポイントです。
たとえば化粧水を含ませると顔全体を覆うフェイスパックの大きさに広がるようなシートを使って、保湿化粧水であるディープモイストローションのお手製スペシャルシートマスクを作って使ってみても良いかもしれません。
うるおいのベールをまとったかのような感覚で肌がひたひたになる感覚に酔いしれたら、モイストリペアクリームで蓋を。
肌にうるおいを与えることを最大限意識した、たおやかでゆったりとした時間は、肌本来のポテンシャルを引き上げるとともに、頑張った一日を締めくくるにふさわしいスキンケアとなるはず。

いかがでしたか?季節やコンディションに翻弄されることなく、自分自身や自分の肌を愛せる優しいヒントとして感じていただければ嬉しく思います。

次回は来年のお正月も落ち着いた頃、新しい気持ちで心地よく取り組めるスキンケアを紹介する予定です。どうぞお楽しみに。
朝目覚めて、自分の肌を鏡で見て、ブルーミオと共に触れる瞬間が日に日に楽しみになっていきますように。

著者紹介

前田 紀至子

まえだ・きしこ/1985生まれ。フェリス女学院大学文学部卒業。
新潮社『nicola』専属モデルや光文社『JJ』編集部でのライターを経て、フリーランスエディター、ライターとして活動中。
旅や、ビューティ、ライフスタイルに関する記事をさまざまな媒体に寄稿。ポジティブな美意識や生活に関する提案で支持を集める。

次回のニュームーンレターは1月11日配信予定です。
登録がまだのかたはこちら*から。
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心がしずまると言われている新月の日に
お届けするBLOOMIOからのお便りです。

心がちょっとざわざわした時、
すこし落ち着きたいな、と思った時に
読んで、聴いて、心しずまる時間を
持っていただけるような内容です。

夜、寝る前や、家事や仕事の合間の
ちょっと息を抜きたいひとときに
楽しんでいただけたらうれしいです。