あの人の、
心のしずめ方
福井利佐さんの場合

せわしない毎日の中では、良い方向にも悪い方向にも心が揺れ動く瞬間に直面します。心がさわがしくて落ち着かない時、どんなふうに自分に向き合えばいいのでしょうか。神話の中のような生き物や植物、動物などのさまざまなモチーフを、繊細でいて大胆に描き出すのが、切り絵作家の福井利佐さん。人々を圧倒する作品を生み出し続ける彼女にとって、好奇心のままに “知らないことに触れる”時間を持つことで、心がぐっと穏やかになるのだそう。暮らしの中で自然と実践している “心のしずめ方”について伺いました。

「あの人の、心のしずめ方」は、各界の第一線で活躍する女性たちに、自分なりに培ってきた心のしずめ方についてインタビューをしていく連載企画です。

新聞に綴られる人々の“声”が、
心にゆとりをもたらしてくれる。

暮らしの中で、心がしずまる時間として真っ先に思い浮かんだのは、新聞を読んでいる時です。普段は毎朝、子供たちを学校に送り出した後、仕事に取りかかる前に30分ほど時間をとって、コーヒーを飲みながら紙の新聞を開くようにしています。インターネットの記事と違って、紙面ならば、開くだけで見出しやおおよその情報が一気に目に入ってくるので、細かく読まなくても「今世の中ではこんなことが起きているんだ」「こんなことを考えている人がいるんだ」と知ることができて面白くて。かれこれ10年以上の日課になっています。

中でも好きなのは、一般の方からの投稿欄です。日常のごくささやかなエピソードや世の中に対する小さな提言、時には昔話や凄惨な戦争の経験談まで、年齢も職業もさまざまな市井の人たちが自らしたためた言葉で端的に綴られていて。時にはひらがな混じりながらもしっかりと練られた小学生の投稿もあったり、よくよくお名前を見ると著名な方の投稿だったりすることも。同じ社会を生きるいろんな人の意見や経験に触れると、新鮮な視点や、考え方を転換するきっかけをもらえることも多いんです。生きていると日々、いろんな悩みごとや心配ごとがあるものですが、投稿欄を読むことで、自分が今直面している問題も「そんなに深刻になることないな」と客観視することができる。心にゆとりが生まれるような気がしています。

多くの“知らないこと”に触れられる
ワークショップという機会。

こんなふうにいろんな人の価値観や考え、ひいては“自分の知らないこと”に触れるのが好きなので、切り絵作家として各地でワークショップを行い、参加者の方たちとみんなで手を動かしながらお話しすることもまた、心をしずめる助けになっていると思います。仕事柄、机に向かってコツコツと作業を進める時間が多いのはもちろんですが、それだけでは煮詰まってしまうことも多くて。個展や展覧会の開期中のイベントとしてや、さまざまなつながりやご縁でワークショップのお話をいただけば、喜んでお引き受けしています。

その中では小学校に赴くことも多く、そこで子供たちと話したり、その地域の特色を知るのも面白いですね。静岡のある学校では蛇口からお茶が出てきて驚いたり、給食の時間にイマドキの子供たちのクリスマスの思い出話を聞いて盛り上がったり(笑)。作品とは直接関係があるわけではありませんが、子供たちの新鮮な感性に触れられるのが刺激的で楽しいんです。また、ある小さな村の小学校に伺った時には、もともと子供が少ない地域のため、近所のお年寄りにもワークショップに参加してもらいました。そこでは普段から、お年寄りが小学校の手伝いをしたり、老若男女を問わず小学校に集まったりするのが当たり前になっているそうで。単に子供のためだけではなく、小学校が地域全体のための交流拠点となり、地域みんなで子供を育てていく一体感や素晴らしさを感じることができた貴重な経験でした。学校に赴く機会はコロナ禍を経てかなり減ってしまいましたが、また少しずつ増えていけばいいなと期待しています。

苦しい時間があるからこそ、
心がしずまる喜びを感じられる。

ほかには休みの日に子供と一緒に博物館に行くこともまた、心を穏やかにすることにつながっているかもしれませんね。先日も、上野の国立科学博物館で開催されていた「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」という展覧会に足を運びました。織田信長が徳川家康に振る舞った御膳に、幕末に黒船に乗ってやってきたペリーをもてなした豪勢な料理、さらには卑弥呼が食べていたとされる食事の展示……とワクワクする展示だらけで。私にとっては、やっぱり知らないことを知る時間こそが、心に栄養を与えてくれるような気がしています。

とはいえ、やっぱり日々の暮らしの中では、心が乱れたり、疲れたりしてしまうことはあります。でもそれは、人間であれば仕方のないことですし、苦しんだり、悩んだりする時間もまた大事なものだとも思っています。例えば、創作に向き合うにあたっても、追い込まれたり、悔しいことがあったりした時などに、何かを発散するかのように集中が促されて良いものが出来上がることもあるんです。どう工夫しても、やっぱり心穏やかではいられない時があるのが人生。苦しむ自分を認めてあげることも大切ですし、そういう辛い時間が経るからこそ、心がしずまることの幸せを感じられると思っています。

福井利佐

ふくい・りさ/静岡県生まれ。きめ細かな描写と大胆な構図で、生命力のある線を描き出す。中島美嘉のCDジャケットのアートワークや手塚治虫×福井利佐by UNIQLOでのTシャツデザイン、絵本シリーズ『かがくのとも』の挿絵などのほか、書籍の装丁や映像製作などを含む多方面で活躍中。参加している巡回展『日本の切り絵 7人のミューズ』は6月29日より、浜松市美術館で開催。

きょうの新月
2024年3月10日(日)PM6:00
魚座の新月

普段私たちが使っているカレンダーは、太陽の運行を基に作られています。大地を明るく照らす太陽が沈むと、月の時間が始まります。月の満ち欠けやリズムを意識し始めると、忙しい日常から離れて心を鎮めるコツが掴めるようになります。あなたの生活にも月の時間を取り入れてみませんか。

きょうの過ごし方

魚座の新月「ロマンティストで行こう」

新月は植物の生長でいうと「種」に当たります。毎月やってくる新月の日は、自分と向き合い、未来の私に向けて「種」をまく最良の日です。

桃の節句も過ぎて、春の訪れを待ち遠しく感じるこの頃。月は3月10日(日)PM6:00に天の魚座で新月になります。魚座はどの星座にも増してスピリチュアルな力を秘めていて、12星座の中で最も愛の力を信じています。あなたの中の「ロマンティスト」が目を覚まし、「愛のある生活を何よりも大切にしたい」という気持ちが強まるでしょう。

新月の日は、家族やパートナーが喜ぶことをしてあげましょう。愛する人にあなたの想いをちゃんと伝える、というのもこの新月があなたに課すレッスンです。魚座は愛と共感力に満ちています。人を癒す力や包容力を授けるので、傷ついた人にそっと寄り添う共感力も芽生えるでしょう。

またこの日は美術館やギャラリー、ライブやお芝居などに出かけるのも吉です。豊かな感受性が授かるので、すべての芸術に携わる人に、インスピレーションや表現力をもたらすのも、魚座の新月の特徴です。そして夜になったら、あなたの今後の「夢や目標」をノートに書き記してください。魚座の新月が不思議なパワーをくれるはずです。

つぎの新月に向けて

新月から3日ほど経つと、夕暮れの西の空に銀色の三日月が見えます。新月にまかれた「種」が芽を出し成長するイメージを思い描きながら、日々月が満ちていくのを眺めてみましょう。満月までの「月が満ちていく期間」(2024/3/10~3/25)は、心とカラダに栄養を与えてください。満月が過ぎ、次の新月までの「月が欠けていく期間」(3/25〜4/9)は、不要なものを手放す、ダイエットに取り組む、また人間関係を見直すのによい期間です。

著者紹介

岡本 翔子

おかもと・しょうこ/心理占星学研究家。ロンドンにある英国占星学協会で、心理学をベースにした占星術を学ぶ。英国占星学協会会員。
占星術とライフスタイルを組み合わせたコラムを『CREA』『婦人画報』『美ST』『料理通信』などに寄稿。著書・訳書多数。
月の満ち欠けや星座を記し、月のリズムを生活に生かすヒントが満載のカレンダー『MOONCALENDAR2024』を10月に発売。不定期でモロッコの旅行会社と「月の砂漠ツアー」も行っている。

心しずまる言葉

高山なおみさんが読む「ある一日」

書き手が熱量をもって大切に紡ぎ、丁寧に磨き上げた言葉たち――。
それらにそっと耳を傾ける時間には、自然と心も穏やかになっていくものです。ここでは、様々な思いを乗せて綴られた文章を、書き手が自らの声で届けます。料理家・文筆家の高山なおみさんが読むのは、新たに書き下ろした日記エッセイ「ある一日」です。朝は太陽とともに目を覚まし、鳥の声に耳を傾ける。そして、旅の記憶に思いを馳せ、たまたまバスで乗り合わせた女の子の一言に微笑み、そして温かな食事で一日を締めくくる。身の回りの自然の美しさを発見したり、日々の小さな幸せに出くわしたりすると、自ずと筆をとりたくなるという高山さんのささやかな日常が、飾らないまっすぐな言葉と穏やかな声で語られます。

「心しずまる言葉」は、小説やエッセイ、詩、俳句など、様々な形式で書かれた文章作品を、著者自らが朗読し、音声で届ける連載企画です。夜、眠りにつく前に、あるいは一人で静かに過ごす時間のお供に、楽しんでいただけたら幸いです。

読んだ人

高山なおみ

たかやま・なおみ/レストランのシェフを経て、料理家として独立。におい、味わい、手ざわり、色、音……日々五感を開いて野菜など食材との対話をかさね生み出されるシンプルで力強い料理は、作ること、食べることの楽しさを素直に思い出させてくれる。また、料理と同じくからだの実感に裏打ちされた文章の評価も高く、自身のウェブサイト「ふくう食堂」では、日常を綴った日記エッセイ「日々ごはん」の連載を継続、書籍でもシリーズ化されており、2024年1月にはシリーズ15作目となる『帰ってきた 日々ごはん⑮』(アノニマ・スタジオ)を上梓した。ほかに『気ぬけごはん1.2』(暮しの手帖社)、『日めくりだより』(扶桑社)、『自炊。何にしようか』(朝日新聞出版)など著書多数。

読んだ作品

『ある一日』
高山さんが今回の企画のために書き下ろした、“ある一日”にまつわる日記エッセイ。ささやかな日常の出来事が、その日とった食事とともにあたたかい言葉で綴られている。これまでに多くの著書を上梓してきた高山さんだが、朗読は今回がはじめてとのこと。
作品はこちら

ひとり時間の
スキンケアメソッド

日々移りゆく、からだ、こころ、そして肌。
鏡に映る自分の肌のコンディションって調子が良いときばかりじゃない。ストイックな攻めの美容がどうもピンと来ない日だってある。
だからこそ意識したいのは、〈鎮める〉美容。

最終回となる今回は、ブルーミオらしく月の満ち欠けやバイオリズムを意識した、自分自身と前向きに向き合うためのスキンケアのポイントをお話します。

だれもが揺らいで当たり前。
おおらかに自分自身と向き合って

慌ただしい日々の疲れや、月経や加齢、体力に気力、肌コンディションの変化。「年齢を重ねれば、多少の事には動じず、格好良くてスマートな大人になれるのかな?」と想像していた自分自身をあっさりと裏切るかのように、ちょっとしたことで一喜一憂してしまう自分に拙さを感じて落ち込むこともあるかもしれません。
ですが、せっかくですもの。
「そんな自分自身も当たり前。毎日を生きているだけで素晴らしい!」
揺らぐ自分も含めて、おおらかに受け止めてみませんか?

新月には浄化と保湿。
まっさらな気持ちで「リスタート」を

清々しい気分になる反面、どこか寂しさや不安を感じる人もいるかもしれない新月のタイミング。
植物にたとえると種まきのタイミングですが、肌で考えるならば新品のスポンジをイメージしてみても良いかもしれません。
だからこそ新月は、肌や意識を「育てはじめる」のに最適な好機。
同時に浄化やリセットにも向いているので、まずはいつもなら省きがちな肌の角栓や毛穴のケアを。
その上で「リセット&リスタート」を意識しながら、導入美容液であるブルーミオ ディープブーストセラムを深い呼吸と共に肌になじませてみて。また、畑を耕し、育てるような気持ちで保湿ケアも丁寧に行いましょう。

高揚感に包まれる満月。
満たされた心へと導いて

新月から始まり、三日月、半月、とふくらんでいき、満月になるまで約2週間。新月にまいた種が成熟して迎える満月には、一般的に幸福感や高揚感を迎える日だと言われています。その反面、苛立ちを覚えたり、意味も無く泣きたくなってしまったりと、気持ちが高ぶりやすくなることも。
ですが気持ちが不安定になりやすい満月だからこそ、自分自身を受け入れて、贅沢なスキンケアを愉しむことが、心地のいい自己肯定へと導いてくれるチャンスとなるかもしれません。
ディープモイストローションのうるおいで満ちる感覚、そしてモイストリペアクリームのうるおいを讃える感覚。
ここぞ!とばかりに満月だからこそ感じることができるかもしれないスキンケアの悦びを存分に味わい尽くしたいところですよね。

いかがでしたか?新月や満月の心や肌の移ろいさえも、自分自身や自分の肌を愛せる優しいヒントとして感じていただければ嬉しく思います。

これからも朝目覚めて、自分の肌を鏡で見て、ブルーミオと共に触れる瞬間が日に日に楽しみになっていきますように。

著者紹介

前田 紀至子

まえだ・きしこ/1985生まれ。フェリス女学院大学文学部卒業。
新潮社『nicola』専属モデルや光文社『JJ』編集部でのライターを経て、フリーランスエディター、ライターとして活動中。
旅や、ビューティ、ライフスタイルに関する記事をさまざまな媒体に寄稿。ポジティブな美意識や生活に関する提案で支持を集める。

心がしずまると言われている新月の日に
お届けするBLOOMIOからのお便りです。

心がちょっとざわざわした時、
すこし落ち着きたいな、と思った時に
読んで、聴いて、心しずまる時間を
持っていただけるような内容です。

夜、寝る前や、家事や仕事の合間の
ちょっと息を抜きたいひとときに
楽しんでいただけたらうれしいです。