あの人の、
心のしずめ方
村治佳織さんの場合

せわしない毎日の中では、良い方向にも悪い方向にも心が揺れ動く瞬間に直面します。心がさわがしくて落ち着かない時、どんなふうに自分に向き合えばいいのでしょうか。30年にわたってクラシックギタリストとして第一線で活躍する村治佳織さんにとって、緩やかなルーティーンをこなす朝の時間が、心を穏やかに保つ助けになっているそう。日頃心がけているという “心のしずめ方”について伺いました。

「あの人の、心のしずめ方」は、各界の第一線で活躍する女性たちに、自分なりに培ってきた心のしずめ方についてインタビューをしていく連載企画です。

窓を開け、鳥の鳴き声とともに、
心地よい朝をはじめる。

私はクラシックギタリストとして日々、演奏会という場でお客さんに“ライブ”で音楽を届けています。演奏をする上では作曲者の思いを伝えることを第一に考えていますが、そこにはどうしても演奏家のエネルギーや心が反映されるもの。ゆえに心をいい状態に保つこともまた、演奏家としての私の務めだと考えています。

その上で日々大切にしているのは、穏やかな朝の時間を過ごすこと。毎朝、大体6時〜7時頃に目覚めて、まずはすべての部屋の窓を開けて空気の入れ替えをするのが日課です。窓を開けると、都心に住んでいてもちゃんと鳥の鳴き声が聴こえるんですよね。朝の外気を全身で吸い込んで、自然の音に耳を傾けると、心地良く一日を始められます。

そして白湯を飲んだり、フルーツなどで軽い朝食をとったりしたら、近所にあるカフェに出かけます。毎朝立ち寄る行きつけを決めているのではなく、お気に入りのお店がいくつかあり、その日の気分で足を運んでいて。キチっと決めたルールに従うのではなく、緩やかなルーティンがありながらも、どこかに余裕や隙間がある状態が私にとっては心地良い。散歩をしながら「今日はどこのお店に行こうかな」と考え巡らすのも楽しい時間です。

休みの日には、散歩代わりに電車に乗り、早朝の明治神宮に出かけるのも好きです。神社に行くと必ず気分が落ち着きますし、それが人気が少ない静かな朝であればなおさら。ゆっくり境内を歩き、お茶をして帰るのがたまの楽しみです。ほかには、当日思い浮かんだフットワークの軽い友達に声をかけ、行き当たりばったりで出かけることも。とりあえず車に乗って、「ここ右に曲がる?」「左に曲がる?」とその場で決めるくらい自由に動くのが流儀(笑)。日常を楽しみ尽くすことが、何よりもの心の栄養になっています。

体からのサインを見逃さず、
意識的に休息をとる。

今は暮らしの面でも仕事の面でも、余韻を楽しむことができるくらいゆったりとしたテンポ感で日々を送るようにしていますが、20代の頃は、演奏会のスケジュールがかなり先まで埋まっているような状態。もともと活動的な性格なこともあり、公私ともに忙しく過ごしていました。気持ち的には楽しかったのですが、知らないうちに無理してしまっていたのでしょう。20代後半で橈骨神経麻痺(とうこつしんけいまひ)を発症し、右手指がほぼ動かなくなってしまったため、否応なしに全てをストップせざるを得なくなりました。また30代でも大きな病を経験。休んでいる間は、皆さんに忘れられてしまうのではないかという不安や早く復帰したいという焦りももちろんありましたが、人生の先輩たちの助言もあり、まずは治すことに徹しようと。その2度の“緊急停止”が、ターニングポイントになったように思います。

以来、吹き出物が増えたな、肩の凝りがひどくなったな、眠りが浅くなっているな、など些細な変化を少しでも感じたら、体からの「休め」というサインだと受け取って、早い段階でスケジュールを調整したり、会食を控えたりと、意識的に休息をとるようにしています。小さな不調の段階であれば、早寝早起きをし、食べ過ぎに気をつけて野菜中心の生活を送ることを意識すれば、割とすぐに心身は反応して整っていくもの。最終的に自分をコントロールできるのは、自分自身しかいないので、セルフケアを意識するようになりました。それは結果的に、体だけでなく、心を穏やかにすることにも大いに繋がっているなと感じています。

「足るを知る」を大切にし、
穏やかさを積み重ねる。

私が好きな言葉の一つに、「足るを知る」があります。それは、何事においても、今あるものごとに満足をするという意味。次から次へと新しいものを求めるよりも現状がいかに満たされているかに気づくほうが、ずっと心豊かな気がするんですよね。例えば先日、念願かなって、ようやく断捨離とリフォームをして家を整えることができました。そうすると不思議なもので、自ずともっといい家具、いいものが欲しくなって、どんどん欲が出てきてしまったんです。ある朝、いつものようにカフェで考え事をしている時にふと、「足るを知る」を忘れているなと気がつきました。こんなふうに自分の中で大切なことを思い出したり、もともと持っていた考えを深めて整理したりするのにも、朝の時間は有意義です。そしてその時間に見出したポジティブなことだけをノートに書き留めるようにしていて。時折見返すことで、自分の中に良い循環を作り出しています。

演奏家も、もちろん人間も、自ずと熟成してどんどん味わい深くなっていくもの。いつからか社会では、成長や拡大が常に求められるようになっていますが、上を目指すばかりではなく、日々、心の水平線を穏やかに保つという眼差しも大切だと思っています。その積み重ねの先にも、必ずなんらかの前進や良い変化が訪れるはず。変に気負うことなく、目的を持たない無意味な時間も慈しみながら、私は日々を暮らしています。

村治佳織

むらじ・かおり/東京都生まれ。3歳から父・村治昇にギターの手ほどきを受け、15歳でCDデビュー。2003年には、英国の名門レーベルDECCA(デッカ)と日本人初の長期専属契約を結んだほか、受賞歴も多数。2023年にはデビュー30周年を迎え、ベストアルバム『Canon〜オールタイム・ベスト』をリリースした。

きょうの新月
2024年2月10日(木)AM7:59
水瓶座の新月

普段私たちが使っているカレンダーは、太陽の運行を基に作られています。大地を明るく照らす太陽が沈むと、月の時間が始まります。月の満ち欠けやリズムを意識し始めると、忙しい日常から離れて心を鎮めるコツが掴めるようになります。あなたの生活にも月の時間を取り入れてみませんか。

きょうの過ごし方

水瓶座の新月「日常のルーティンを崩してみよう」

新月は植物の生長でいうと「種」に当たります。毎月やってくる新月の日は、自分と向き合い、未来の私に向けて「種」をまく最良の日です。

暦の上では立春が過ぎましたが、まだまだ寒さが続くこの頃。月は、2月10日(土)AM7:59に、天の水瓶座で新月になります。水瓶座のキーワードは“自由と改革”。この日はあなたの“小さな革命家”が目を覚ます日です。「現状を変えたい」と願う心に、「その手があったか」と画期的なアイデアを授けてくれます。たとえば、いつもより10分早い電車に乗ったり、少し遠回りをして別のスーパーを利用してみたり。日常のルーティンを崩すことで、新しい発見や気づきがあるでしょう。予定変更も幸運の鍵です。ふとした思いつきを実行してみると、停滞した毎日に風穴を開けることができる日です。

また、“自由・平等・博愛精神”も水瓶座のキーワード。年齢や性別、社会的な立場を超えた友情が育つ日でもあります。趣味のサークルやSNSのコミュニティに参加してみるのもよいでしょう。新鮮な価値観に出会い、新しい人間関係が築けます。そして夜になったら、今後のあなたの「夢や目標」をノートなどに書き記すと、新月が不思議なパワーをくれるはずです。

つぎの新月に向けて

新月から3日ほど経つと、夕暮れの西の空に銀色の三日月が見えます。新月にまかれた「種」が芽を出し成長するイメージを思い描きながら、日々月が満ちていくのを眺めてみましょう。満月までの「月が満ちていく期間」(2024/2/10~2/24)は、心とカラダに栄養を与えてください。満月が過ぎ、次の新月までの「月が欠けていく期間」(2/24〜3/10)は、不要なものを手放す、ダイエットに取り組む、また人間関係を見直すのによい期間です。

著者紹介

岡本 翔子

おかもと・しょうこ/心理占星学研究家。ロンドンにある英国占星学協会で、心理学をベースにした占星術を学ぶ。英国占星学協会会員。
占星術とライフスタイルを組み合わせたコラムを『CREA』『婦人画報』『美ST』『料理通信』などに寄稿。著書・訳書多数。
月の満ち欠けや星座を記し、月のリズムを生活に生かすヒントが満載のカレンダー『MOONCALENDAR2024』を10月に発売。不定期でモロッコの旅行会社と「月の砂漠ツアー」も行っている。

心しずまる言葉

永井玲衣さんが読む「わたしたちの問い」

書き手が熱量をもって大切に紡ぎ、丁寧に磨き上げた言葉たち――。
それらにそっと耳を傾ける時間には、自然と心も穏やかになっていくものです。ここでは、様々な思いを乗せて綴られた文章を、書き手が自らの声で届けます。
哲学研究者の永井玲衣さんが読むのは、書き下ろしたエッセイ「わたしたちの問い」です。一人ひとりが漠然と抱えながらも抑え込んできた“問い”を、掬い上げ、肯定する。そしてともに向き合い、ともに考える。ここには彼女自身が各地で続け、そして自らの心をしずめる助けになっているという哲学対話の基本姿勢が著されています。そのやさしい眼差しが、聞き手の心をじんわりあたためます。

「心しずまる言葉」は、小説やエッセイ、詩、俳句など、様々な形式で書かれた文章作品を、著者自らが朗読し、音声で届ける連載企画です。夜、眠りにつく前に、あるいは一人で静かに過ごす時間のお供に、楽しんでいただけたら幸いです。

読んだ人

永井玲衣

ながい・れい/考えること、対話することについて探求する哲学研究者。学校・企業・寺社・美術館・自治体などで哲学対話を行う。初の単著となった『水中の哲学者たち』(晶文社)は紀伊国屋じんぶん大賞2022に入賞。太田出版のWEBメディア「OHTABOOKSTAND」では哲学エッセイ「ねそべるてつがく」を、講談社の文芸誌『群像』では「世界の適切な保存」を、それぞれ連載している。詩と植物園と念入りな散歩が好き。

読んだ作品

『わたしたちの問い』
永井さんが今回の企画のために新たに書き下ろしたエッセイ。各地で哲学対話と続ける中で見出してきた、抑え込んだりしてしまいがちな“問い”にそれぞれが向き合い、他者と分かち合う大切さが、実感のこもった言葉で綴られている。
作品はこちら

ひとり時間の
スキンケアメソッド

日々移りゆく、からだ、こころ、そして肌。
鏡に映る自分の肌のコンディションって調子が良いときばかりじゃない。ストイックな攻めの美容がどうもピンと来ない日だってある。
だからこそ意識したいのは、〈鎮める〉美容。

今回は一年の中でももっとも厳しい感じる今の時期、ふっくらと潤った肌を目指すためのスキンケアのポイントをお話します。

どうして2月は肌が乾燥しやすいの?

文字通り、寒さや風の厳しさを肌で感じる2月。
気温や湿度は急降下、冷たく吹く空気は真夏の紫外線に匹敵する肌の天敵と言っても過言ではありません。
それに加えて、室内では暖房器具がマスト。あらゆる点において、肌は乾燥の危機に晒されてしまうのです。
空気の乾燥によって、肌自身からも水分が失われてしまい、気を抜くとどんどんカサカサのくすみ肌になっている気がしていませんか?
歳を重ねることで日々肌の変化を感じずにいられない今こそ、自分で出来る肌の乾燥対策に本腰を入れるタイミングかもしれません。

ヒリつきさえ感じる乾燥、
保湿の鍵は目や頬のまわり

2月に肌の乾燥や不調を感じる主な理由。
気温が下がることで、血流が滞り、血行が悪くなると同時に皮脂の分泌も減少。それにより、肌のカサつきや、つっぱり、かゆみやシワっぽさが目立つ気がする…というように肌トラブルによって生じる悪循環に見舞われてしまうのです。

そして気をつけたいのは、特に乾燥しやすい「目のまわりや頬といった皮脂分泌が少ない」パーツ。
乾燥が気になる部位を重点的にケアしつつ、冬でも乾燥しにくい肌をつくるためには、スキンケアによって肌のバリア機能を意識的に立て直すことが重要です。

乾燥をおそれない肌づくりは、
洗顔と導入がポイント

冬場の乾燥対策で、うっかり見過ごしがちながら重要なのが、実は朝晩の洗顔。
寒さが厳しいからこそ、ついつい熱めのお湯で顔を洗っていませんか?
40度以上の熱いお湯での洗顔は肌の水分を奪ってしまい、肌にとって必要な皮脂膜までも洗い流してしまいます。
洗顔後に乾燥を感じる場合、まずは洗顔時の湯温を見直してみて。
ちなみに理想的な湯温はというと、32〜36度程度。肌で触れた時に体温よりも少し低いかな?と感じるくらいが目安です。

そして洗顔後、上手に取り入れたいのが導入美容液の存在。
最高濃度のブルーセラミドを配合しているブルーミオ ディープブーストセラムをいつものように塗布したら、その後もう一度念入りに1〜2プッシュ肌に浸透させてみて。十分に肌をうるおわせることで、角層のすみずみまで浸透する感覚を実感できるはず。
さらにディープモイストローションも幾層にも重ねて手のひらで包みこむように数回に分けて丁寧に塗る「ミルフィーユ塗り」&モイストリペアクリームで肌にきちんと蓋をしてあげれば、冬の厳しい乾燥にも対抗し得るスキンケアとなるでしょう。

いかがでしたか?季節やコンディションに翻弄されることなく、自分自身や自分の肌を愛せる優しいヒントとして感じていただければ嬉しく思います。

次回は春を目前に感じるころ。心と同じように揺れ動く肌のコンディションを見つめるケアをご紹介します。どうぞお楽しみに。 朝目覚めて、自分の肌を鏡で見て、ブルーミオと共に触れる瞬間が日に日に楽しみになっていきますように。

著者紹介

前田 紀至子

まえだ・きしこ/1985生まれ。フェリス女学院大学文学部卒業。
新潮社『nicola』専属モデルや光文社『JJ』編集部でのライターを経て、フリーランスエディター、ライターとして活動中。
旅や、ビューティ、ライフスタイルに関する記事をさまざまな媒体に寄稿。ポジティブな美意識や生活に関する提案で支持を集める。

次回のニュームーンレターは3月10日配信予定です。
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心がしずまると言われている新月の日に
お届けするBLOOMIOからのお便りです。

心がちょっとざわざわした時、
すこし落ち着きたいな、と思った時に
読んで、聴いて、心しずまる時間を
持っていただけるような内容です。

夜、寝る前や、家事や仕事の合間の
ちょっと息を抜きたいひとときに
楽しんでいただけたらうれしいです。