真冬のスキンケア、見逃しがちな保湿ルール

冬のスキンケア 冬のスキンケア

冬は空気も乾燥し、お肌のカサつきやゴワつきなど、肌悩みが増える季節です。肌の変化を感じる季節であるにも関わらず、1年中、お肌のお手入れを同じような方法でしていませんか?
季節が変化すると、お肌に必要なケアも変わります。肌にとって過酷な真冬をトラブル知らずのうるおい美肌で過ごすためにスキンケア方法をご紹介します。

冬になると肌トラブルが増える理由とは

1. 真冬は肌の水分がうばわれやすい!

12月から2月にかけては、気温・湿度ともに1年でもっとも低い時期。外気が乾燥するため、肌の中から奪われる水分の量(水分蒸散量)が増えて、お肌がカサカサになりがちです。
また、暖房をつけることで室内の空気が乾燥し、さらに肌の水分が奪われやすい環境といえます。

東京都の気温と湿度の年間推移(2020年度)

2. 「肌乾燥の悪循環」が生まれやすい

皮脂は、肌が自ら生みだす「天然の保湿クリーム」のようなもの。外的刺激から肌を守り、肌の水分蒸散を防ぐ役割があります。
しかし、気温の低い冬は皮ふの代謝が低下し、皮脂の分泌量がぐっと下がって肌自体も乾燥しやすい状態になっています。

また、肌の乾燥がすすむと、ターンオーバー(肌の生まれ変わり)が乱れて角質層が厚くなります。不完全な角質細胞がつくられてしまうことで、バリア機能が低下する「肌乾燥の悪循環」に陥ってしまうのです。

バリア機能の低下について

角質層には細胞間脂質というラメラ構造があり、水分を保持しています。このラメラ構造が乱れるとバリア機能が低下し、水分がどんどん逃げてしまいます。肌の乾燥をはじめ、刺激を受けやすくなって炎症を起こしたりと、肌にストレスがかかる原因になります。

肌の断面図

今日から実行!冬に見直すスキンケア

いろいろなアイテムでケアをする前に、まずは基本のスキンケアを見直すことがうるおい美肌への近道。スキンケアの基本である洗顔&保湿の王道ポイントをご紹介します。

1. 洗顔で大切なこと

洗顔のイラスト

水の温度に気をつけよう

寒い日はつい熱めのお湯で洗顔したくなりますが、水温が高すぎると皮脂を落としすぎてしまって、肌の乾燥を悪化させる原因に。逆に、水温が低すぎても毛穴が閉じてしまい、毛穴に詰まった汚れが落ちにくくなります。
洗顔時に肌のうるおいを守る最適な水温とは、冬場は手でさわると温かくも冷たくもなく、顔につけると少しひんやりする程度の温度(32度~33度)です。

泡のイラスト

肌は決してこすらない!

肌は手でゴシゴシ洗うだけでも、摩擦でバリア機能が壊れてしまいます。とにかくやさしく、肌に摩擦を与えずに洗うことが大切。
手が肌に触れないくらいのたっぷりな泡をつくり、肌の上でやさしく転がして、泡に汚れを吸着させるようなイメージで洗いましょう。

2. たっぷり保湿のポイント

乾燥を感じる前に保湿を!

洗顔後や入浴後は、肌からの水分蒸散が進んでいきます。肌が乾燥を感じて痛んでしまう前に、早めに保湿することが大切です。
ただし、ここでも焦ってゴシゴシ化粧水をつけるのはNG。肌に摩擦を与えないよう、ハンドプレスでじっくり、たっぷりと浸透させてあげましょう。

皮脂の代わりを補おう!

化粧水でお肌に水分補給したあとは、水分を閉じ込める「油分」が必要です。冬は天然の保湿クリームである「皮脂」分泌がぐっと減少します。
また、皮脂分泌には年齢も大きく関係しており、20代~30代をピークに減少を続け、女性では40代後半からさらに大きく減少していきます。

年齢と皮脂量の推移のグラフ。引用元:M.N.Porro et Al J Invest Dermatol, 73, 112(1979)

夏は化粧水だけで済ませていた方も、冬の間は皮脂の代わりとなる乳液やクリームを追加しましょう。

とくに、ワセリンやスクワランは「皮脂膜」のような機能をもつ成分であるため、これらが入った保湿アイテムを選ぶのも一つです。

調子の良さそうな女性のイラスト

寒い冬はお肌にとって過酷な条件が重なる時期ですが、環境に合わせたスキンケアの基本をおさえることで、肌のうるおいを保つことができます。この冬もいつでも調子のいい肌で、気分も明るく過ごしたいですね。

村上皮フ科クリニック 村上早織 先生

監修:
村上皮フ科クリニック
村上早織 先生