「非刺激性」便秘薬について徹底調査!効果や副作用、おすすめの市販薬も要チェック

【コラム】「非刺激性」便秘薬について徹底調査!効果や副作用、おすすめの市販薬も要チェック

便秘薬の一種「非刺激性便秘薬」をご存じですか?
スッキリと排便できず、不快な症状が続く便秘。「便秘薬を試してみたいけれど、どれを選んだらよいかわからない…」と悩む方も多いのではないでしょうか。非刺激性便秘薬は、はじめての方でも使いやすいタイプのやさしい便秘薬です。
当記事では、便秘薬の種類と非刺激性便秘薬について詳しく解説していきます。便秘薬選びに悩まれる方はぜひ参考にしてみてくださいね。

まずは便秘について知ろう

便秘とは

便秘とは

健康的な排便とは、どのような状態をさすのでしょうか。
毎日お通じがあり、便のやわらかさもちょうど良くてスッキリと便を排出できるのが理想的ですよね。便秘とは「排出すべき便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。

「排便が3~4日に1回まで減少している状態」が便秘と診断される1つの目安となりますが、排便回数や排便状態は個人差が大きいので明確な判断基準はありません。1日1回以上の排便があっても、「便がかたい」「1回の排便量が少ない」「排便後にスッキリしない」という場合、便秘の可能性があります。

医療機関を受診したほうがよい便秘

医療機関を受診したほうがよい便秘

便秘の症状は、軽度であれば生活習慣の見直しや市販薬の服用で改善できることも多い症状です。しかし、便秘の症状が重いケースでは、医療機関に相談して治療したほうがよい場合もあります。
排便回数の減少に加えて、「お腹の張りが強い」「腹痛」「吐き気」がある場合は病院などの医療機関を受診しましょう。

便秘薬にはどのような種類があるの?

便秘薬には多くの種類がありますが、わかりやすくするために「刺激性便秘薬」「非刺激性便秘薬(機械性下剤)」「その他の便秘薬」に分類して解説していきます。

種類
  • 刺激性便秘薬

    刺激性便秘薬

    刺激性便秘薬は、大腸や小腸に直接作用して腸の運動を促し、排便効果を発揮するタイプの便秘薬です。比較的効果が得られやすく、市販薬にもよく用いられている刺激性便秘薬は「今すぐ便を出してスッキリしたい方」や「腸のはたらきが弱っている高齢の方」に適しています。
    ただし、大腸や小腸に直接作用するという性質上、副作用として腹痛を起こしやすいので注意が必要です。また、頻繁に使用すると効果が薄れてくる可能性があるため、長期の使用は避けるようにしましょう。

  • 非刺激性便秘薬(機械性下剤)

    非刺激性便秘薬(機械性下剤)

    非刺激性便秘薬は、便に含まれる水分を増やすことで便をやわらかくし、排便を促すタイプの便秘薬です。非刺激性便秘薬は腸を直接刺激しないため効果の発現は穏やかですが、使用ぐせがつきにくく腹痛も起きにくいので使用しやすい点が非刺激性便秘薬の特徴です。

  • その他の便秘薬

    その他の便秘薬

    刺激性便秘薬や非刺激性便秘薬以外の便秘薬には、腸を刺激したり滑りをよくしたりすることで排便を促す浣腸タイプや、炭酸ガスを発生させて腸を刺激する坐薬タイプなどもあります。
    また、腸内細菌のバランスを整える整腸剤も、少しずつ腸内環境を改善することにより便秘や下痢などの症状を改善する効果のある薬です。

非刺激性便秘薬の分類

非刺激性便秘薬は、便に含まれる水分を増やすことで便をやわらかくし、排便を促すタイプの便秘薬です。非刺激性の便秘薬は以下の3つに分類されるので、詳しくみていきましょう。

種類

非刺激性便秘薬

  • 浸透圧性下剤

    浸透圧性下剤

    浸透圧性下剤は、浸透圧の作用により腸内へ水分を集めて便をやわらかくするタイプの非刺激性便秘薬です。浸透圧性下剤の一つである塩類下剤に分類される酸化マグネシウムは、病院などの医療機関や市販薬において広く使用されています。
    浸透圧とは濃度の低い方から高い方へ水が移動するときに生じる圧力で、この濃度差が大きいほど浸透圧は高くなり吸水力も大きくなります。

  • 膨張性下剤

    膨張性下剤

    膨張性下剤は、服用した水や腸管内の水分を吸収して便のかさを大きくし、腸を刺激して排便を促すタイプの非刺激性便秘薬です。膨張性下剤に分類される便秘薬としては、「カルメロース」「プランタゴ・オバタ種子」などがあります。

  • 湿潤性下剤

    湿潤性下剤

    湿潤性下剤は、便の表面張力を低下させることで便中に水分を入りやすくし、便をやわらかくして排便を促すタイプの非刺激性便秘薬です。
    湿潤性下剤の例としてはジオクチルソジウムスルホサクシネート(DSS)がありますが、作用が弱いためほとんどのケースで他の種類の下剤と一緒に配合されています。

非刺激性便秘薬の代表「酸化マグネシウム」

非刺激性便秘薬「酸化マグネシウム」とは

非刺激性便秘薬「酸化マグネシウム」とは

酸化マグネシウムは、古くから利用されている代表的な非刺激性便秘薬で、浸透圧性下剤のなかでも塩類下剤と呼ばれるタイプの一種です。非刺激性便秘薬である酸化マグネシウムは、その安全性や費用面から病院などの医療機関では便秘の第一選択薬として広く使用されています。また、酸化マグネシウムは市販薬としても用いられているため、医療機関を受診しなくても服用できる便秘薬です。

非刺激性便秘薬「酸化マグネシウム」が効くメカニズム

非刺激性便秘薬「酸化マグネシウム」が効くメカニズム

便秘を引き起こす原因として腸内の水分不足があげられます。その水分不足にアプローチできるのが酸化マグネシウムのメカニズムです。
酸化マグネシウムには水分を吸収する働きがあり、浸透圧の働きによって腸内の水分量が増えると、その水分を酸化マグネシウムが吸収して腸内の水分量が増加します。こうして便が柔らかく膨張するため腸内の動きが活性化されるのです。
活性化した腸内の動きによって排便が促されるため、酸化マグネシウムは便秘解消に期待ができます。

非刺激性便秘薬「酸化マグネシウム」の特徴

  • クセになりにくい

    クセになりにくい

    非刺激性便秘薬である酸化マグネシウムが使用しやすいとされている理由の一つに、クセになりにくいことがあげられます。大腸や小腸を直接刺激する刺激性便秘薬は、長期使用すると次第に効果が薄れていき、自力で便を排出できなくなったり多くの薬が必要になったりする可能性があります。
    しかし、酸化マグネシウムをはじめとする非刺激性便秘薬は大腸や小腸を直接刺激しないため、耐性はつきにくいとされています。そのため、酸化マグネシウムは長期使用しても便秘を悪化させる原因にならないので、使いやすい便秘薬といえるのです。

  • 腹痛がおきにくい

    腹痛がおきにくい

    便秘薬といえば、副作用として腹痛や下痢のおきやすいイメージがあるのではないでしょうか。市販薬にも多く使用されている刺激性便秘薬は、大腸や小腸を直接刺激するため腹痛や下痢などの副作用がおきやすいというデメリットがあります。
    しかし、非刺激性便秘薬の一種である酸化マグネシウムは、大腸や小腸を直接刺激せずに自然な排便を促してくれますよ。刺激性便秘薬と比較しても、腹痛や下痢などの副作用は現れにくいとされています。

  • 胃酸を抑えて胃を守る

    胃酸を抑えて胃を守る

    酸化マグネシウムには、胃酸を抑えて胃を守るというはたらきもあります。これは、酸化マグネシウムが体内を移動する過程で胃酸を中和し、制酸作用(胃酸を抑える作用)を発揮するというしくみです。酸化マグネシウムは胃粘膜を攻撃する胃酸を抑えることで、胃炎や胃潰瘍を防いで胃を守るのです。

非刺激性便秘薬「酸化マグネシウム」の副作用

  • 高マグネシウム血症

    高マグネシウム血症

    血中のマグネシウム濃度が高くなる「高マグネシウム血症」をご存じでしょうか。高マグネシウム血症は、酸化マグネシウムの服用によって起こりうる副作用の一つで、症状が進むと低血圧や呼吸抑制などになってしまう病態です。

    一般的には、服用した酸化マグネシウムは体内に吸収されにくいため、高マグネシウム血症になる可能性は極めて低いと考えられます。しかし、「腎機能が低下している方」や「高齢者」はマグネシウムが体内に蓄積しやすいので注意が必要です。
    特に、腎機能障害をもつ高齢者には酸化マグネシウムを投与しないことが推奨されています。
    高マグネシウム血症の初期症状として、以下を頭に入れておきましょう。

    高マグネシウム血症の初期症状
    • 嘔吐
    • 徐脈
    • 立ちくらみ
    • 筋力低下
    • 傾眠

    また、マグネシウムが蓄積しやすい条件をもつ方で、高マグネシウム血症の初期症状がみられる場合は病院などの医療機関に相談してください。

  • 腹痛・下痢

    腹痛・下痢

    酸化マグネシウムは、腹痛や下痢などの副作用をおこしにくい便秘薬ですが可能性はゼロではありません。非刺激性便秘薬である酸化マグネシウムは、直接腸を刺激する作用はないものの、便をやわらかくして排便を促すため効きすぎると下痢になってしまいます。
    万が一、酸化マグネシウムを服用して腹痛や下痢になった場合は、服用を中止するか減量するようにしましょう。

非刺激性便秘薬「酸化マグネシウム」を使用するときの注意

  • 水分をしっかりとる

    水分をしっかりとる

    酸化マグネシウムは、腸内で水分を集めることで便をやわらかくする非刺激性便秘薬です。そのため、効果を発揮するためには水分をしっかりとる必要があります。酸化マグネシウムを服用するときは、「コップ1杯の水と一緒に飲む」「服用するとき以外もこまめな水分補給をする」ということを心がけましょう。
    また、水分不足は酸化マグネシウムの効果を弱めるだけでなく、脱水を引き起こす可能性もあります。水分をしっかりとることは酸化マグネシウムを服用するうえで重要なポイントとなるため、覚えておきましょう。

  • ほかの薬との飲み合わせに注意

    ほかの薬との飲み合わせに注意

    酸化マグネシウムは、一部の抗生物質の効果を下げてしまうおそれがあるため、他の薬との飲み合わせにも注意が必要です。病院などの医療機関で下記のような抗生物質が処方された場合は、医師や薬剤師に酸化マグネシウムを服用している旨を必ず伝えてください。

    • テトラサイクリン系抗生物質(ミノサイクリン塩酸塩など)
    • ニューキノロン系抗生物質(レボフロキサシン水和物、トスフロキサシントシル酸塩など)

はじめての便秘薬は、非刺激性便秘薬「酸化マグネシウム」がおすすめ

まずは生活習慣の見直しを

まずは生活習慣の見直しを

「便秘かな?」と感じた場合、まずは生活習慣を見直しましょう。軽度の便秘であれば、生活習慣で改善できることもあります。生活リズムを整える・健康的な食生活をおくる・運動をする・ストレスをためない・便意を我慢しないなど、できる範囲で実践してみてください。

それでも便秘症状が改善しない際は、便秘薬を取り入れることも一つの方法です。病院などの医療機関で処方される便秘薬や気軽に試せる市販薬で、自分に合った便秘薬をみつけましょう。

安全性の高い酸化マグネシウム

安全性の高い酸化マグネシウム

市販の便秘薬を初めて使用する場合、非刺激性便秘薬である酸化マグネシウムがおすすめです。酸化マグネシウムはクセになりにくく副作用もほとんどないため、安全に用いられる便秘薬として医療用や市販薬で広く使用されています。

酸化マグネシウムなどの非刺激性便秘薬を継続して服用しながら、一時的に刺激性便秘薬を追加することも可能ですよ。このように併用したいときは、医師や薬剤師に確認してみてください。用法・用量を守り、便の様子に合わせて上手く酸化マグネシウムを使用しましょう。

自分に合った便秘薬を知って、健康的なスッキリお腹を手に入れよう

今回は、酸化マグネシウムを中心とする「非刺激性便秘薬」について解説しました。「便秘薬は種類が多くてどれを選べばよいか迷う…」という方は、ぜひ参考にしてみてください。また、非刺激性便秘薬は安全性が高くとても使いやすい薬ですが、服用するときは注意点も頭に入れておくようにしてくださいね。

快適なお通じは私たちの健康に大きく関わります。そのため、自分に合った対処法をしっかりと理解しておきましょう。

【参考】
  • 「レシピプラス2022年春号,Vol.21,No.2」株式会社南山堂,2022
  • 慢性便秘症診療ガイドライン2017(日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会編)南江堂,2017
  • 瀉下剤(下剤)|厚生労働省

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