「これって便秘?」硬いコロコロ便しか出ない症状の原因と対処方法を解説

【コラム】「これって便秘?」硬いコロコロ便しか出ない症状の原因と対処方法を解説

硬くて黒っぽいコロコロ便。コロコロ便しか出ないと毎日お腹がすっきりせず、「これって便秘?」と気になってしまう人も多いのではないでしょうか。実は、生活習慣が原因でコロコロ便になっているケースが多く見られます。
今回は便秘の基本を解説し、コロコロ便の解消に役立つ生活習慣のポイントをご紹介していきます。

毎日コロコロ便しか出ない…これって、便秘?

コロコロ便ってどういう状態?症状や特徴を解説

コロコロ便ってどういう状態?症状や特徴を解説

うさぎのうんちのようにコロコロと丸い形の便を、一般的にコロコロ便とよびます。黒くて小さな粒の便で、固いのが特徴です。

「コロコロ便しか出ない」という人は、女性や高齢者に多くみられます。排便しても残便感があり「お腹がすっきりしない」という悩みにつながりやすいです。また、コロコロ便は固いので、いきんだときに肛門痛や切れ痔といったトラブルが起こる場合もあります。

コロコロ便が続く原因

健康的な便とコロコロ便の違いとは?

健康的な便とコロコロ便の違いとは?

健康的な便はバナナのような形をしています。ちょうどよい水分と軟らかさがある滑らかな状態なので、少しいきむだけでスルっと排便できるのが特徴です。排便後に「すっきり出せた」という爽快感のある、理想的な便といえます。

一方、コロコロ便の場合は固い小粒の便がコロコロと排便されます。便が出ないで大腸のなかで長く滞っているうちに、大腸に便の水分が吸収されてしまい、固くてコロコロとした短い便になってしまうのです。

コロコロ便になる原因は?

コロコロ便になる原因は?

コロコロ便を引き起こす原因として、便秘が挙げられます。日本内科学会の慢性便秘症診療ガイドライン2017では、便秘は「本来体外に出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。

そのため、排便間隔が毎日ではなくても、十分な量で快適に排便できていれば便秘とはいいません。しかし、固いコロコロ便ばかりで残便感や不快感があるならば便秘といえます。

慢性便秘症診療ガイドライン2017 | 日本内科学会雑誌第109巻第2号

便秘はいくつかの種類に分類され、コロコロ便になりやすいタイプもあるので注意が必要です。次の項目では、便秘の種類と便のタイプを解説します。

便秘の基本を徹底解説!便秘の種類や便のタイプは?

種類
  • 習慣性便秘

    習慣性便秘

    習慣性便秘は、生活習慣によって引き起こされる便秘です。毎朝あわただしくて、トイレにゆっくり座る時間を取れずに便意を無視してしまったり、朝食を抜いたりしていると習慣性便秘になる可能性があります。
    排便を我慢すると、排便反射が衰えて便意を感じづらくなるので注意しましょう。また、朝食を摂らないと食事から摂取する食物繊維や水分の量が不足します。いずれの場合も大腸に便がとどまりやすくなり、水分の乏しい途切れがちな便になってしまうのです。

  • 弛緩性便秘

    弛緩性便秘

    大腸が弛緩して蠕動運動が弱まり、便がなかなか出ない状態になるのが弛緩性便秘です。弛緩性便秘は産後の女性や高齢者などに多く見られます。
    腹筋の筋力が足らず、排便時にいきんでも十分な腹圧をかけられないと弛緩性便秘になりやすいです。弛緩性便秘の場合も、便から水分が失われて固い便になります。

  • 痙攣性便秘

    痙攣性便秘

    ストレスや自律神経のバランスの乱れなどにより、大腸の蠕動運動が不規則になる便秘を、痙攣性便秘といいます。うさぎのうんちに似たコロコロ便になりやすいのが、痙攣性便秘の特徴です。
    大腸の緊張が亢進して痙攣状態になると痙攣している部分の腸管が狭くなり、便の通過が滞るため便が固いコロコロ状になります。痙攣性便秘は「過敏性腸症候群」と呼ばれる病気が原因になっている場合もあるので、気になる場合は医療機関に受診しましょう。

コロコロ便の直し方!便秘の悩み解消におすすめの方法

対策
  • 寝起きに水を飲もう!適切な水分摂取で便秘を予防

    寝起きに水を飲もう!適切な水分摂取で便秘を予防

    コロコロ便の悩みを解消するうえで、非常に大切なのが水分補給です。体内の水分が不足していると便が固くなりやすく、便秘の症状が悪化する場合があるので注意しましょう。起床時にコップ1杯の水を飲むと、胃腸が刺激されて大腸の動きもよくなるのでおすすめです。
    なお、厚生労働省の「健康のため水を飲もう」推進運動では、飲み水から1日1.2Lの水分を摂取するよう提示しています。脱水による健康トラブルや事故を防ぐため、寝る前や起床時、入浴前後などの水分補給を推奨していますよ。コロコロ便を予防するためにも、こまめに水分を摂りましょう。

    「健康のため水を飲もう」推進運動 | 厚生労働省

  • カフェイン・アルコールは摂りすぎないように

    カフェイン・アルコールは摂りすぎないように

    コロコロ便の予防のために水分は積極的に摂るべきですが、カフェインやアルコール飲料の摂取は控えめにすることをおすすめします。カフェインやアルコールには利尿作用があるため、摂りすぎると尿の排泄が増えてしまうからです。
    尿量が増えると体は脱水傾向になり、大腸内の便からも水分が失われやすくなります。そのため、カフェインやアルコールを摂取する際は、意識的にノンカフェイン・ノンアルコールの水分も補給するとよいでしょう。

  • 便意を逃がさない!朝はトイレに行く習慣をつけよう

    便意を逃がさない!朝はトイレに行く習慣をつけよう

    便意を感じたら我慢しないでトイレに行くことも、コロコロ便の解消方法といえます。特に、朝食後は食べ物が胃に入った刺激で大腸が活発化し、便意が起こりやすくなるタイミングです。
    「忙しくて時間が取れない」などの事情で便意をおさえていると、排便反射が弱まって便意を感じづらくなり、便秘がちになってしまうので注意しましょう。また、便意がなくても毎日同じ時間帯にトイレでゆっくり座る時間を設けると、排便リズムが作れて効果的ですよ。

  • 毎日の食事で食物繊維をたっぷり摂ろう

    毎日の食事で食物繊維をたっぷり摂ろう

    なかなか便が出ない人は、食物繊維が不足していないか食事内容をチェックしてみましょう。食物繊維は、消化吸収を受けずに大腸まで到達する食品成分であり、便秘の予防に効果的です。
    食物繊維は水溶性と不溶性の2種類に分類され、こんにゃくや海藻、大麦などに多く含まれる水溶性食物繊維は便をやわらかくする働きがありますよ。
    一方、不溶性食物繊維は大腸を刺激して便通を促すといわれており、ごぼうや小麦ふすまなどに豊富です。コロコロ便の原因のひとつである痙攣性便秘では、不溶性食物繊維を摂りすぎるとお腹への刺激が強すぎてしまう場合もあるため、水溶性食物繊維を意識的に摂るとよいでしょう。

  • 食事は1日3食バランスよく食べよう

    食事は1日3食バランスよく食べよう

    朝食を抜かずに1日3食きちんと食べることも、便秘改善の基本的な方法です。「十分な量の便が出ない」という人は、食事の量が少なすぎる可能性があります。
    便は食べ物から栄養や水分を吸収したあとの残渣(ざんさ)なので、もともとの食事が少ないと便のボリュームが減ってしまうのです。
    また、食事からの食物繊維や水分など摂取が不十分だと、便秘が悪化する場合があります。適切な分量の食事を1日3回バランスよく摂取すると、便通改善に効果的ですよ。

  • 乳酸菌・ビフィズス菌を含む食品を食べよう

    乳酸菌・ビフィズス菌を含む食品を食べよう

    乳酸菌やビフィズス菌のような善玉菌は、腸内環境を整えてお腹の健康に重要な役割を果たします。便通が悪くてコロコロ便しか出ない人は、食事から善玉菌を摂取する機会を増やすとよいでしょう。
    ヒトの腸内細菌は、善玉菌・悪玉菌・どちらでもない菌の3タイプに大別され、健康的な腸では善玉菌が優勢です。一方、便秘がちな人や不規則な生活を送っている人は、悪玉菌が増加しやすいといわれています。
    善玉菌はヨーグルトや乳酸菌飲料、発酵食品などに豊富に含まれているので、意識的に食べて腸内環境を整えていきましょう。

  • オリゴ糖を摂取して腸内細菌をサポート!

    オリゴ糖を摂取して腸内細菌をサポート!

    大腸のなかの善玉菌を増やす方法として注目したいのが、オリゴ糖の摂取です。オリゴ糖は大腸で善玉菌のエサとなり、善玉菌を増やす働きがあるといわれています。大豆やたまねぎ、バナナなどに豊富に含まれているので、コロコロ便が気になる人は積極的に摂り入れるとよいでしょう。
    また、オリゴ糖を含む特定保健用食品などもあるので、手軽に摂り入れられます。しかし、大量摂取するとお腹が緩くなる場合もあるので、1日当たりの摂取量を守ることが大切ですよ。

  • 運動を習慣づけて大腸の動きをよくしよう

    運動を習慣づけて大腸の動きをよくしよう

    便秘症状やコロコロ便を改善するためには、運動も大切です。習慣的な運動は自律神経のバランスを整えるため、大腸の適切な蠕動運動をサポートする働きが期待できます。
    さらに、運動を継続すると腹筋が鍛えられ、排便のときにしっかりと腹圧をかけて便を押し出せるようになりますよ。快便を目指す人は運動も取り入れてみましょう。

  • お腹のマッサージで便の排泄をスムーズに!

    お腹のマッサージで便の排泄をスムーズに!

    コロコロ便でお悩みの人は、日常的にお腹のマッサージを取り入れるとよいでしょう。撫でるように優しい力でお腹を心地よく刺激するのがポイントです。
    お腹に両手を添えて「の」の字を描くように時計回りにさすると、大腸の流れに沿ってマッサージできるのでおすすめです。

  • ストレスを解消して自律神経を整えよう

    ストレスを解消して自律神経を整えよう

    コロコロ便を改善するために、ストレスや疲労がたまりすぎていないか見直してみましょう。自律神経には活動時に優位となる交感神経と、安静時に優位になる副交感神経があり、バランスを取り合って身体機能を調節しています。
    しかし、ストレスが自律神経のバランスを乱す場合もあり、大腸の働きにも影響を及ぼすおそれがあるのです。
    また、大腸の蠕動運動はおもに副交感神経によって調節されており、ストレスで緊張状態になると副交感神経の働きが弱まって便秘がちになる可能性があります。そのため、自律神経を整えてストレスを上手に解消することも、コロコロ便を対処する方法の一つです。

    ストレスが少ない生活を送るために

生活習慣を見直してもコロコロ便秘が解消しない場合の対処法

コロコロ便が改善しないときは医療機関に相談を

コロコロ便が改善しないときは医療機関に相談を

「生活習慣を見直しても症状が改善せず、毎日コロコロ便が続いている」という人は、医療機関で相談しましょう。過敏性腸症候群などの疾患がコロコロ便の原因になっている場合には、生活習慣に気をつけるだけでは対処しきれません。

お腹の悩みをひとりで抱え込まず、消化器内科や一般内科、胃腸科などで医師に症状を伝えることが重要です。

コロコロ便の原因になりうる疾患は?

コロコロ便の原因になりうる疾患は?

コロコロ便に関連しうる疾患として、過敏性腸症候群や大腸がんなどが挙げられます。過敏性腸症候群は、腸に炎症や異常がないのに便秘や下痢、腹痛などの症状が出る状態のことです。
ストレスや不規則な生活習慣などによって内臓神経が過敏になると、過敏性腸症候群を発症するといわれています。
また、大腸がんが便秘につながる理由は、腸の内部で成長した大腸がんが便の通過を邪魔するからです。そのため、コロコロ便が続く場合には医療機関を受診して適切な診断を受けましょう。

過敏性腸症候群とは?

コロコロ便秘の改善には、生活習慣の見直しが大切

うさぎのうんちのようなコロコロした黒い便は、大腸に便がとどまり水分が吸収され、固い状態になってしまうと起こります。そのため、コロコロ便を改善する方法としては生活習慣の見直しが重要です。

水分や食物繊維をしっかりと摂り、朝はゆっくりトイレに座る習慣をつけるなど、できることから始めてみましょう。当記事でご紹介した解決法を参考に、便通の悩みを解消して健やかな毎日をお過ごしください。

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