【コラム】便秘解消にとっておきの食べ物とは?お通じが良くなる食材で快便に 便秘とは 便秘解消のカギは腸内環境にあり 便秘解消に効く栄養素4つとおすすめ食材 便秘解消に効く飲み物 便秘を悪化させる食べ物に注意 便秘解消のために、食べ物以外にも気をつけたいこと 便秘を解消する食べ物を取り入れて、快適なお通じを 多くの人が悩む便秘。便秘症状のある方にとって、便秘を解消することは健康な生活を送るためにとても大切ですよね。便秘を解消する方法はいくつかあり、そのうちの一つが食生活の改善です。 便は、私たちが口にする食べ物からできています。そのため、お通じが良くなる食材を知ることで便秘解消につながるのです。当記事では便秘解消に役立つ食材を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 便秘とは 理想は毎日スッキリと排便できること 便秘とは、排出すべき便を十分量かつ快適に排出できない状態のことをいいます。排便回数や排便状態は個人差が大きいので明確な判断基準はありませんが、「排便が3~4日に1回まで減少している状態」が便秘と診断される1つの目安です。 また、1日1回以上の排便があっても便が固かったり排便後にスッキリしなかったりする場合は、便秘の可能性があります。 便秘に悩む人は増加している 便秘を訴える方は年々増加し、男性よりも女性のほうが便秘になりやすい傾向があります。これは、女性は男性に比べて筋力が弱いので便を押し出す力が不足してしまったり、女性ホルモンが腸の運動に影響したりするためです。 また、高齢者は加齢によって便意を感じにくくなることや筋力が低下しやすいことにより、男性も女性と同じく便秘に悩む方が増加する傾向にあります。 便秘解消のカギは腸内環境にあり 私たちの健康を左右する腸内環境 良い腸内環境とは、私たちの腸内に存在する細菌のバランスが整っている状態のことです。腸内細菌には、腸内環境を良くするものや悪くするものが存在しています。これらの種類や数は個人によって異なり、摂取した食べ物や年齢、生活環境によっても変化するのです。 腸内環境を良好に保つことは、便秘などの腸内トラブルを解消したり免疫機能を高めたりする効果があります。お通じが良くなるためにも、腸内環境の健康は意識しておきましょう。 善玉菌と悪玉菌って? 腸内細菌は、「善玉菌」「悪玉菌」「その他の菌(日和見菌)」の3種類に分類されます。以下にそれぞれの特徴があります。 腸内細菌の種類 善玉菌 整腸作用など、体にとって良いはたらきをする(例:ビフィズス菌、乳酸菌など) 悪玉菌 病気や食中毒の原因になるなど、体にとって悪いはたらきをする(例:ウェルシュ菌、サルモネラ菌など) その他の菌(日和見菌) 善玉菌と悪玉菌のうち、優位なほうの味方になる これらの腸内細菌のバランスは、摂取した食べ物や生活環境によって変動します。悪玉菌の数が増えると、下痢や便秘などお腹の不調を引き起こすこともあります。健康な腸内環境にするために、善玉菌が優位にはたらくよう保つことが大切です。 食べ物を意識して、理想的な腸内環境へ それでは一体、悪玉菌を減らして善玉菌を増やすにはどうすればよいのでしょうか。悪玉菌が増える原因としては「たんぱく質の過剰摂取」「不規則な生活」「ストレス」などがあげられます。 これに対して、善玉菌を増やすには「生きた善玉菌を含む食べ物を摂取する」「腸内にある善玉菌を増やすはたらきをする食べ物を摂取する」という方法があります。 腸内環境を整えるためには、摂取する食べ物に気をつけることが重要ですよ。そこでここからは、便秘解消に効く栄養素とおすすめの食材を紹介していきます。日々の食材選びに注意して便秘の解消につなげましょう。 便秘解消に効く栄養素4つとおすすめ食材 便秘解消に効く栄養素 食物繊維 食物繊維は、小腸で消化・吸収されずに大腸まで到達する成分です。さまざまな食べ物に含まれており、便秘を解消するなどの整腸効果をもっています。また、血糖値上昇の抑制や血中コレステロールの低下などの効果を発揮する食べ物も食物繊維といわれていますよ。 現在では、ほとんどの日本人が食物繊維の摂取不足とされています。そのため、お通じを良くするためにも、食物繊維が豊富に含まれた食材を知って積極的にとるようにしましょう。 食物繊維は、肉や魚介類など動物性の食べ物にはほとんど含まれず、植物性の食べ物に多く含まれています。また、食物繊維は「水溶性食物繊維」「不溶性食物繊維」の2種類に分類されているので、便秘解消のためにそれぞれの食物繊維をバランス良く取り入れてくださいね。 水溶性食物繊維 水溶性食物繊維は、水に溶ける性質をもっています。善玉菌のエサとなって腸内環境を整え、便秘解消に効果を発揮したり糖の吸収を遅らせたりする作用がありますよ。また、水溶性食物繊維を豊富に含む食べ物の特徴は、ネバネバやサラサラなどの質感を持つ食べ物です。以下のような食品に水溶性食物繊維が多く含まれています。 水溶性食物繊維を豊富に含む食べ物の例 海藻類 キャベツ 大根 果物 いも類 不溶性食物繊維 水に溶けない性質をもつ不溶性食物繊維は、便のかさを増すことで排出を促進し、お通じが良くなる効果を発揮します。しかし、腸の動きが弱まっているタイプの便秘の場合は、不溶性食物繊維のとりすぎには注意が必要です。 これは、不溶性食物繊維をとりすぎると、かさが増した便をうまく排出できずに便秘が悪化するおそれもあるためです。便秘を解消する食べ物で便秘が悪化するのは本末転倒ですよね。 「意識して食物繊維を含む食べ物を摂取しているけど、お腹が張って便が出ない…」という方は、不溶性食物繊維をとりすぎていませんか?不溶性食物繊維を豊富に含む食べ物は、食物繊維のイメージ通り筋っぽいことが特徴です。 以下に豊富に含む食べものをまとめてみましたので確認してみましょう。 不溶性食物繊維を豊富に含む食べ物の例 穀物(玄米、麦など) ごぼう 大豆 きのこ 乳酸菌 善玉菌の一種である乳酸菌は、腸内環境を整えてくれます。もともと体内に存在する乳酸菌ですが、発酵食品などの食べ物にも多く含まれていますよ。食べ物から乳酸菌を積極的に補うことで腸内環境を整え、便秘解消をめざしましょう。 また、乳酸菌は腸内に長時間存在できないため、乳酸菌を含む食べ物は毎日摂取することがおすすめです。 乳酸菌を含む食べ物の例 ヨーグルト 乳酸菌飲料 納豆 漬物 オリゴ糖 オリゴ糖は、腸内に存在する善玉菌の「エサ」となります。このエサによって善玉菌が増え、腸内環境を整えて便秘解消に効果が期待できるのです。通常、食べ物は唾液や胃液などの消化酵素によって分解されて消化・吸収されますが、オリゴ糖は消化酵素ではほとんど分解されません。消化・吸収されないまま大腸に届いたオリゴ糖は、大腸に存在する善玉菌のエサとなります。 そのため、オリゴ糖はお通じが良くなる特定保健用食品として市販されていることもありますよ。また、整腸作用のほかにも血糖値が上がりにくいという特徴をもつため、健康的な甘味料として使用されています。 オリゴ糖は、急に摂取すると下痢を起こす可能性があるため注意が必要です。特に、健康食品などから摂取する場合は、少量ずつ慣らしていくようにしましょう。 オリゴ糖を含む食べ物の例 バナナ はちみつ りんご たまねぎ 脂質 ダイエットのために、脂質を多く含む食べ物を制限されている方もいるのではないでしょうか。実は、摂取する脂質を極端に減らすことは、便秘の原因になる可能性があるのです。適度な脂質は、便の滑りをよくして排便を促進するはたらきがあり、便秘解消につながりますよ。 ただし、脂質はカロリーが高いのでとりすぎには注意してください。便秘解消のためには、適量の良質な脂質を取り入れるよう心がけましょう。 良質な脂質を含む食べ物の例 オリーブオイル えごま油 青魚 ナッツ類 便秘解消に効く飲み物 水 便秘を解消するためには、水分補給がとても重要です。水分によって便はやわらかくなり、排出が促進されます。気づかないうちに水分不足になっている方は多いので、便秘が気になったら意識して摂取する水分量を増やしてみましょう。 便秘解消に効果的な食べ物はいくつかありますが、実は水分摂取量を見直すだけでお通じが良くなるケースも多いです。また、排便しやすい生活リズムをつくるために、毎朝起きてすぐコップ1杯の水を摂取して胃腸に刺激を与えることもおすすめ。飲むタイミングを意識して、水分補給量を増やしてみてください。 お茶 お茶には整腸作用のある食物繊維が豊富に含まれています。水分補給しながら食物繊維を摂取できるのは、便秘で悩む方にとってうれしい点ですよね。 カフェインを含む飲み物は利尿作用により水分の排出を促進してしまうので、カフェインの少ない玄米茶やノンカフェインのハーブティーなどがおすすめです。 ココア ココアには、カカオリグニンという不溶性食物繊維が豊富に含まれています。カカオリグニンは、消化・吸収されず大腸まで到達し、便のかさを増やして排便を促進してくれますよ。 しかし、ココアは飲みやすくするために砂糖が追加されていることが多いので、糖分のとりすぎにならないよう飲む量には注意してくださいね。 甘酒 甘酒は栄養価の高さから、美容面や健康面においてさまざまな効果を発揮します。甘酒はオリゴ糖をはじめとする善玉菌のエサとなる物質や、食物繊維に似たはたらきをする難消化性たんぱく質を豊富に含んでいる食品です。 便秘を悪化させる食べ物に注意 たんぱく質の過剰摂取は便秘を悪化させる 3大栄養素の1つであるたんぱく質が、腸内に存在する悪玉菌のエサとなることをご存じですか? たんぱく質を多く含む食べ物の代表は肉類です。肉類のとりすぎで悪玉菌のエサが増えてしまうことが考えられます。 たんぱく質を多く含む食べ物を食べたいときは? 便秘を解消したいからといって、たんぱく質を多く含む食べ物を全て排除する必要はありません。たんぱく質は、私たちの健康に欠かせない大切な栄養素です。 そのため、極端に肉類をたくさん食べることは避け、食べるときは野菜などの善玉菌を増やす食材も一緒に摂取することがおすすめですよ。便秘解消のためには、摂取する食べ物のバランスに気をつけて腸内環境を良い状態にするよう心がけましょう。 便秘解消のために、食べ物以外にも気をつけたいこと 食生活の乱れ 便秘を解消するためには、先述したようにお通じが良くなる食材をとることが重要です。ほかにも、食事のタイミングを規則正しくすることや、朝食をしっかり食べることなどの習慣も排便の促進に効果がありますよ。 また、ダイエットにより摂取する食べ物の量が減少すると、便の量が減少して便を外に押し出すことが困難になる場合もあります。さらに、食事量が減少して必要な栄養素が不足することも便秘の原因となるので注意しましょう。 運動不足 運動不足も便秘の原因としてあげられます。これは、便の排出を促進するには筋力が必要なためです。運動量が足りないと、便を押し出す力が弱くなってしまいます。ウォーキングなどの軽い全身運動でも効果はありますが、便秘解消のためには特に腹筋を鍛えることが効果的といえます。 ストレス 便秘の原因として見過ごしがちなのがストレスです。ストレスを感じると、自律神経を介して消化管運動が乱れるため、便秘や下痢が起こりやすくなります。そのため、なるべくストレスを溜めないように自分に合ったストレス解消法をみつけましょう。 便秘を解消する食べ物を取り入れて、快適なお通じを 便秘は私たちに不快な症状をもたらし、そのままにしておくと重大な病気につながるおそれがあるので、ひどくなる前に解消したいですよね。 当記事で紹介したように、便秘は毎日の食生活や生活習慣を見直すことで改善できる可能性があります。便秘解消に役立つ食べ物を食生活に取り入れて、より良い腸内環境を目指してみてください。 ただし、食べ物や生活習慣の改善で便秘を解消できない場合は、便秘薬を服用するという方法もあります。症状がひどいときや便秘以外の症状もあるときは、病院などの医療機関を受診してください。 いやな便秘を解消して、より健康なカラダを手に入れましょう! 【参考】 便秘と食習慣|厚生労働省 食物繊維|厚生労働省 食物繊維の必要性と健康|厚生労働省 腸内細菌と健康|厚生労働省 薬理と治療Volume 45, Issue 4, 653 - 662 カカオ由来リグニンによる便通および便臭改善の検証試験―無作為化二重盲検クロスオーバー試験―|ライフサイエンス出版,2017 倉橋敦ほか 麹甘酒に含まれる成分について|日本醸造協会誌,2017 正しい情報を掲載するよう注意しておりますが、誤った情報があればご指摘ください 医療情報に関するご指摘はこちら からだの気になる症状別ガイド一覧へ戻る