蕁麻疹の検査方法・対策

<知っておきたい>「蕁麻疹(じんましん)」の正しい知識 (3)蕁麻疹の検査方法・対策

蕁麻疹を発症する人の割合は、約4~5人にひとりと言われています。非常に多くの人が、生涯で一度は蕁麻疹を経験するということになります。最後に、実際に蕁麻疹を発症したときの検査・対処法、蕁麻疹を抑える方法についてみていきます。

蕁麻疹の検査・対策

蕁麻疹の検査・対策

蕁麻疹の治療は、蕁麻疹の種類を特定することから始まります。蕁麻疹の原因を特定できれば、その原因を遠ざけることが一番の治療法です。

原因を調べる検査には、血液検査、皮膚検査、誘発検査、負荷検査、皮膚の一部を採取して検査する皮膚生検があります。これらの方法によって、悪化因子や誘発因子なども探っていきます。

血液検査では、IgE抗体検査による方法があります。IgEとはアレルゲンに対して反応して、肥満細胞などからヒスタミンを放出させる因子です。採血を行い、原因となる物質に対する反応が高くなるかを調べます。甲殻類がアレルゲンの場合は「甲殻類に対してIgEが高い」という結果が出ます。

蕁麻疹を起こす上記の検査項目

赤ちゃん、子どもに蕁麻疹がでたときの対処法としては、すぐに病院に行けない場合、寒冷蕁麻疹でなければ患部を冷やすことでかゆみは落ち着きます。また、血行を促進させないように安静にさせましょう。

続いて、子どもに多い食物アレルギーによる蕁麻疹の対策をみていきます。原因となりやすい食材別に、以下に説明します。

対策
  • 卵アレルギー

    卵がアレルゲンの場合、卵白やオボムコイド(卵アレルギーを引き起こす原因物質のひとつ)に対するIgEの陽性反応をチェックします。反応の結果によって、ケーキやクッキーなどの卵を含むものを全て食べないほうがいいのか、卵焼きやオムライスなどの卵そのものを食べないほうがいいのか、対策法が分かれます。生卵で反応がでる場合でも、火を通せば食べられるケースがあります。

  • 小麦アレルギー

    小麦が原因の場合は、小麦製品を控えることが対策となりますが、少量であれば問題ないケースもあります。なお、小麦だけでなくグルテンを使用した製品にも注意しなければいけません。

  • 乳アレルギー

    乳児で牛乳アレルギーがある場合は、ミルク(人工乳)は牛乳が主成分のため、ミルクアレルギー用のミルクを使えば問題ありません。こちらも卵と同じように、検査結果によって乳成分を含むもの全てを食べないほうがいいのか、牛乳自体を飲まなければいいのかを判断していきます。

  • 大豆アレルギー

    大豆は過熱してもアレルギーを起こす力が弱まらないとされていますが、大豆の加工品ではアレルギーを起こす力が弱くなることがあります。一般的に大豆・ピーナッツ・おからで強く出て、豆腐や醤油、納豆といった加工品で反応は弱まるとされています。ただし、カバノキ花粉症では豆乳でアレルギー症状がでることが知られています。

蕁麻疹を抑える方法

蕁麻疹を抑える方法

アレルギー性の蕁麻疹の場合、アレルゲンや誘発因子、悪化因子を避けるだけで自然と症状はおさまります。原因が特定できずに症状が鎮まらない場合は、薬によって治療をしていきます。

まず、かゆみの原因であるヒスタミンの作用を鎮めるために抗ヒスタミン薬があります。ただし、(1)蕁麻疹の原因・仕組みを解説にあるとおり、ヒスタミンは脳内で覚醒、記憶、食欲抑制をつかさどる神経伝達物質なので、服用すれば眠くなる、ぼーっとする、食欲が増すといった副作用が生じます。このため、運転をする人や危険な作業をする人は服用に注意しなければいけません。抗ヒスタミン薬は第一世代と第二世代に分類され、第一世代に属するものは効果持続性が短く、脳に作用しやすく、第二世代に属するものは第一世代に比べて効果持続性が長く、脳に作用しにくい特徴があります。また、抗ヒスタミン薬で効果がでない場合は胃酸を抑えるH2ブロッカーで抗ヒスタミン薬の効果を高めることができます。

蕁麻疹の治療に使用される薬としては、ほかにもステロイド薬や抗ヒスタミン薬を含む塗り薬、抗ロイコトリエン薬などがあり、症状に応じて処方されます。原因が特定されているアレルギー性の蕁麻疹の場合、特定のアレルゲンを使った免疫療法によって治療を行う場合もあります。なお、蕁麻疹の原因になるIgEというたんぱく質全体に対する抗体を皮下注射し、IgEのアレルギー反応を抑制するという治療法もあります。

蕁麻疹の悪化(重症)には要注意

蕁麻疹の悪化(重症)には要注意

蕁麻疹の原因が特定されており、その原因が除かれない場合は、蕁麻疹は継続します。食物アレルギーでその原因食材を食べて、蕁麻疹がでているにも関わらずさらに食べてしまうと、蕁麻疹が全身に及んだり喘息がでたりといった、いわゆるアナフィラキシーになることもあります。また、運動、入浴で全身の血行がよくなると全身に蕁麻疹が拡大して、身体全体がかゆくなる悪化ケースもあります。アルコールも同じ理由で悪化しやすくなりますので、お酒を飲むことも控えたほうがいいでしょう。

参照元:『じんましんの「真」常識』清益 功浩(医薬経済社)

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清益 功浩 先生
監修:大和高田市立病院 小児科部長 清益 功浩 先生
1992年京都大学医学部卒、1999年京都大学大学院卒。医学博士、日本小児科学会認定専門医・指導医、日本アレルギー学会認定専門医・指導医。著書に、『アトピー治療の常識・非常識』(医薬経済社)、『じんましんの「真」常識』(医薬経済社)などがある。

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