<知っておきたい>「ひび・あかぎれ」の正しい知識 (3)寒い季節に備えよう!ひび・あかぎれの予防・対処法 ひび・あかぎれの予防法 ひび・あかぎれになった際の対処法 ひび・あかぎれの悪化(重症)には要注意 ひび・あかぎれを予防するためには、日常生活を通した対策が必要となります。また、すでにひび・あかぎれが発生している場合は、悪化しないよう症状に合わせて適切に対処しなければなりません。ここでは、ひび・あかぎれの予防法と対処法、病院を受診するタイミングについてお伝えします。 ひび・あかぎれの予防法 ひび・あかぎれ予防のために取り入れたいのが、次のような対策です。 水仕事の際はゴム手袋を着用する 洗剤や水による刺激を防ぐため、水仕事をするときはゴム手袋を着用しましょう。 水に濡れたら、すぐにタオルでやさしく拭き取る 皮膚を濡れたままにしておくと、水分が蒸発するときに皮膚の水分まで一緒に蒸発してしまいかねません。吸水性のよいタオルを使って、ゴシゴシこすらず押さえるように水分を拭き取りましょう。 保湿ケアはしっかりと 水分を拭き取った後は、保湿クリームなどの保湿剤でケアしましょう。洗面所やキッチンなど、手を洗う場所の近くに保湿クリームを常備しておくと、すぐに使えて便利です。 セラミド入りの保湿剤のほか、角化(皮膚が厚くなる)症状がある場合はビタミンA(レチノール)入りのものがおすすめです。密着してとれにくいワセリンは刺激が少なく、皮膚炎がある人にも向いています。 乾燥や角化症状だけなら、尿素配合のクリームも有効です。ただし、湿疹や傷につけると痛みやかゆみを生じる可能性があるので注意してください。また、ヘパリン類似物質やビタミンEが配合されたクリームやローションもおすすめです。 熱いお湯の使用に注意する 熱いお湯は皮膚に必要な保湿成分を奪ってしまうため、温度に注意しましょう。 手袋や帽子、耳あてなどで外気から皮膚を守る 寒い季節は、皮膚に必要なうるおいを奪われないよう、冷たく乾燥した外気からしっかり守ることが大切です。手袋や靴下、帽子、耳あてなどを上手に活用しましょう。 部屋の乾燥を防ぐ 部屋の湿度が低い状態だと、皮膚の乾燥が進み、ひび・あかぎれを起こしやすくなります。とくにエアコンをよく使う季節は、注意が必要です。湿度が高すぎると、ウイルスやカビを増殖させる原因ともなるため、50%を目安に湿度を保つとよいでしょう。 ぬるめの湯船につかって血行を促す 入浴を熱いシャワーで済ませてしまうと、肌が乾燥するだけでなく、体がきちんと温まりません。とくに寒い季節は血行不良になりやすいため、38~40℃のぬるめの湯船につかって血行を促しましょう。 ただし、長風呂はNG。皮膚がふやけて、バリア機能が低下してしまいます。また、体を洗うときは、ナイロン製のタオルなどでゴシゴシと強くこすらないこと。肌にやさしい洗浄料をしっかり泡立て、泡を肌にのせるように手のひらで洗うのがおすすめです。 バランスのよい食事をとる 日々の食事が健やかな肌を育てます。まずは、バランスのとれた食事をとることが基本。そのうえで意識したいのが、次のような栄養素の摂取です。 ■タンパク質 皮膚をつくる材料となる栄養素。1食あたり片手1杯分の摂取を目安にするとよいでしょう。肉や魚、乳製品などの「動物性タンパク質」と、大豆などの「植物性タンパク質」の両方をバランスよくとることが大切です。 ■ビタミンA 皮膚の修復を助け、皮膚を丈夫に保つのに役立つ栄養素。カボチャやニンジン、ほうれん草などの緑黄色野菜、レバー、うなぎなどに多く含まれます。 ■ビタミンE 血行を促進する栄養素。抗酸化作用も期待できます。アボカドやナッツ類、アーモンドなどに豊富です。 ■脂質 健やかな皮膚を保つうえで欠かせない栄養素。肉類や乳製品のほか、魚介類、植物油、ナッツ類に豊富です。ただし、とりすぎには注意しましょう。 ■亜鉛 タンパク質や細胞の合成に関わるミネラル。牡蠣のほか、赤身の肉や鶏肉、カニ、豆類、ナッツ類に多く含まれます。 このほか、体を冷やす冷たい飲食物のとりすぎは避けたいところです。ショウガなど、体を温める食材を適度に摂取することもおすすめですが、唐辛子などの刺激が強すぎる食材は避けたほうがよいでしょう。 また、飲酒をすると乾燥が悪化するので注意してください。 ひび・あかぎれになった際の対処法 ひび・あかぎれが発症したとき、その対処に迷われることも多いでしょう。とくに傷ができたり痛みを感じたりする場合は、なおさらです。ここでは、正しい対処法を解説していきます。 清潔を保つ まずは清潔を保つことが大切です。ただし、洗いすぎによる乾燥にはご注意を。皮膚をゴシゴシこするのではなく、できるだけやさしく洗うようにしましょう。弱酸性の洗浄料を選び、泡でやさしく洗うようにしましょう。乾燥を悪化させるだけでなく、皮膚を傷つけるおそれもあるため、ナイロン製のタオルの使用はできるだけ控えてください。 こまめに保湿ケアをおこなう すでにひび・あかぎれを起こしている場合は、かゆみや痛みへの配慮が必要です。ひび・あかぎれ用の保湿剤のほか、ワセリンなど皮膚への刺激をおさえたものをこまめに塗りましょう。皮膚をこすらないように注意しながら、ゆっくりと皮膚に塗りこむイメージで塗り込むと効果的です。 傷口を刺激から守る 傷ができている部位には、皮膚科では傷用の抗生剤軟膏を塗って対処します。水絆創膏を使う場合、傷口が細菌感染していると悪化するため、患部を清潔にして使用しましょう。 医薬品を使用する ひび・あかぎれ用の医薬品も有効です。部位や症状に合わせて利用しましょう。ただし、使用が原因で痛みやかゆみを感じた場合は、すぐに使用を中止してください。 質のよい睡眠をとる 皮膚の修復を促す成長ホルモンは、夜寝ているあいだに分泌されます。スムーズな入眠をさまたげるような習慣(寝る直前の食事、カフェイン、アルコール、スマートフォンやテレビなど強い光の刺激)を避けましょう。 病院(皮膚科)を受診する 保湿しても乾燥がおさまらないときは、皮膚炎が隠れている可能性があるため、受診をおすすめします。ひびの痛みが強い、ひび周囲が腫れる、あかぎれがどんどん広がるなどの症状が見られるときも、早めに医師に相談しましょう。 ひび・あかぎれの悪化(重症)には要注意 かかとのひびを放置していて、体重がかかると、ひびが深くなったり症状が長びくことがあります。なかには、真皮が露出してしまうほどひびが悪化している人も見られます。また、美容師や調理師など、職業的に、手指への刺激を避けることが難しい場合、重症の手湿疹にまで悪化することも少なくありません。 かかとや指先のひび・あかぎれは、ほかの部位と比べて刺激を受けやすいぶん、悪化することが多くなります。悪化した場合は、なるべく早めに病院を受診しましょう。 監修:秋葉原スキンクリニック院長 堀内 祐紀先生 東京女子医科大学医学部医学科卒業後、都内皮膚科・美容クリニックを経て、2007年に秋葉原スキンクリニックを開院。日本皮膚科学会認定専門医であるほか、日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本レーザー医学会などに所属する。 正しい情報を掲載するよう注意しておりますが、誤った情報があればご指摘ください 医療情報に関するご指摘はこちら からだの気になる症状別ガイド一覧へ戻る