男性側にも不妊原因があると聞きました。どのくらいの割合なのでしょうか?
宇津宮 隆史 先生
2017年の世界保健機関(WHO)の調査によると、不妊症の原因のうち、男性のみが24%、男女両方が24%と約半数の割合で男性側にも原因があるとされていますが、本当はもっと割合が多いのではないかと考えています。
実際に診察に来られる男性の精子濃度を何度か測定してみると、毎回結果が異なります。当院のデータではWHOの基準以下の男性は43%で、半分近くが男性にも原因があるということを示しています。
同じ人でも、精子の濃度が日によって変わるのですか?
宇津宮 隆史 先生
個人差はありますが、長期出張や年末の繁忙期などストレスが溜まりやすい時期になると、精子濃度が極端に低くなることがあります。ですから、たった1回の精液検査では、その方が不妊傾向であるか判断がつきません。
セント・ルカ産婦人科では、精液検査を3回実施し、最も良い値を代表値とすることにしています。精子は、ストレスに対して本当に敏感に反応していると思います。
加齢によって精子に何か、影響がでることはありますか?
宇津宮 隆史 先生
精子数にはあまり変化は見られませんが、加齢に伴って、受精卵の遺伝子欠陥が増える傾向にあることが分かってきています。精子の質が加齢で衰え、遺伝子の変異が増え、自閉症などのリスクが高まると言われています。