海外の実状を聞くために、まずテキサス州サンアントニオ市の「国際腸洗浄協会(International Association for Colon Hydrotherapy)」を訪ねた。
エクゼクティブディレクターのディック・ホーニンガーさんが語る。「腸洗浄を受けるのは、慢性の便秘や下痢に悩む人が中心ですが、最近では、肌をきれいにしたいという人も増えています」。
-記者(36)
私は、子供の頃から便秘体質。ひどいときは1週間近くお通じが途絶え、頭痛が起きて口の周りの肌が荒れる。早速受けてみることにしました。
協会事務所の隣にMind Body Naturopathic Institute という治療所があった。案内された部屋にはピンク色の巨大なおまるのような装置が据えられている。中央の排水口をまたいで装置の上に横になり、排水口の上に突き出た直径1cm弱のチューブを肛門に差し込む。ここから水が入り、出たものは排水口に落ちる仕掛けだ(下の図)。服は全部脱ぎ、備え付けの裾の長いTシャツに着替える。
オープンタイプ
注水チューブと排水溝が分かれたこの方式は「オープンタイプ」と呼ばれる。
トイレと同じように自分で息んで排泄するので、慣れていない人にはやりやすい。
-ローズ・ティラーさん
コロンハイドロセラピストの資格を持つローズ・ティラーさんが、ワセリンを手渡しながらにこやかにこう話す。「お尻にチューブを差し込んだら、インターホンで呼んでください」。
-記者(36)
えっ、自分で差し込むの?と一瞬ひるんだがもう遅い。
コロンハイドロセラピストは医師や看護婦と違い、体に物を刺したり入れたりする医療行為は認められていない。あくまで補助者。こういう責任分担には厳格な国なのだ。
意を決してチューブにワセリンを塗り、肛門に差し込む。やってみるとなんてことはない。ティラーさんが戻り、装置のスイッチを入れた。お湯が流れ込み、お腹が徐々に張ってくる。
セッティングするローズ・ティラーさん。右手の棚の中のポンプから水を送り込む。
肛門に差し込むチューブは使い捨て。毎回新しいものを開封して使う。
ティラーさんがお腹のマッサージを始める。だんだんもよおしてくるが、寝そべって「排便」するのは相当違和感があり、なかなか出ない。だがそこを超えさせてくれるのがプロの技。「ほら、いい感じになってきた、もう少し」などという”声援”を受けながらマッサージに身をゆだねているうちに、
一発目がドンと出た。
出始めると、続々と出る。出たものが流れていく配水管は透明なチューブ。しかもライティングが施してあり、中身がよく見える。前日食べたサラダの残りカスまで、よく見える。
水温は数分間隔で、96F(35℃)と106F(41℃)を行き来する。ひやっとしてまた温かくなる、の繰り返し。「冷やすと腸が収縮し、温めると緩みます。これを繰り返して蠕動運動を刺激するのです」。
最後に、注入する水に善玉菌の乳酸菌を混ぜる。これで完了。約40分だ。すっきりした。