<知っておきたい>「黒ずみ」の正しい知識 (1)「毛穴の黒ずみ(角栓)」の原因・症状、予防法を解説
鼻の頭や小鼻にある黒いぶつぶつができてしまった毛穴がニキビのように目立つと気になるものです。特にかゆみや赤みがあるわけではないので、どうケアしてよいか分からないこともあるでしょう。その毛穴の黒ずみ(角栓)の原因や症状、予防法を皮膚科医監修のもと、詳しくご紹介します。
毛穴の黒ずみ(角栓)とは
体の黒ずみといえば、わきの下やひじ、ひざなどが黒っぽくなるなどがありますが、顔にはニキビや日焼けのあとのシミのほか、鼻の頭に黒いぶつぶつができることがあります。ここでは、黒いぶつぶつした毛穴の黒ずみについて解説します。
「毛穴の黒ずみ」とは
毛穴の出口が狭くなり、毛穴に皮脂や角質(タンパク質)が詰まることで角栓(かくせん)ができ、それが黒くなっている状態が毛穴の黒ずみです。角栓ができてしまうと皮脂が排出されずに毛穴の内部にたまってしまいます。
それが原因となり毛穴がポツンと盛り上がっている状態を「面皰(めんぽう)=コメド」といい、皮脂を栄養源としてアクネ菌が増殖するとニキビが進行していきます。
黒ずみ(角栓)の原因、仕組み
角栓による毛穴の黒ずみは、ニキビの初期段階でも起こることがあります。
まず、ニキビの第一段階として「面皰(めんぽう)/コメド」ができます。面皰とは、皮脂の分泌が進むことや、皮膚の角化が進むことなどが原因となって毛穴がふさがり、皮脂が毛穴から外に出られなくなり、毛包の中で過剰にたまって袋状になったものです。
はじめのうちはやや白っぽい白ニキビがポツンとでき、毛穴が閉じた状態になる「閉鎖面皰(へいさめんぽう)」となります。
そしてもう少し後になると、毛穴の中で溜まっていた皮脂が毛穴を押し広げることによって毛穴が開きます。そうして黒色を帯びてきます。これを「開放面皰(かいほうめんぽう)」と呼びます。
黒色になるのは、皮膚の内側から排出されたメラニンであるとされています。
面皰の原因である皮脂の分泌量の増加や毛穴部分の角化が進むことの主な原因は、男性ホルモンの分泌がさかんになることで皮脂腺の機能が活発化することです。女性は、男性ホルモンを抑制する卵胞ホルモンの分泌が、ダイエットや不規則な生活、ストレスなどで減ると、体内の男性ホルモンが相対的に多くなることで起きやすくなります。
女性ホルモンの黄体ホルモンも皮脂の分泌を高める作用があります。特に排卵後から月経までの期間は分泌が高まります。その他、ストレス、過度の緊張・疲労・不眠などにより、自律神経が変調をきたすことでも結果的にホルモン分泌により皮脂分泌が高まります。
他にも長時間のメイクなどで毛穴を直接的にふさぐことや、間違った洗顔などで皮膚表面を脂性に傾きやすくすることも原因として挙げられます。
また、皮脂分泌量の増加だけでなく、皮膚のターンオーバーに原因があることが分かってきています。毛穴周囲の角質がうまくはがれ落ちないで角質層が厚くなり、毛穴をふさぎます。
<部位別>
黒ずみ(角栓)が起こりやすい部位
角栓による黒ずみは、ニキビが出来やすいところと同じく、皮脂腺が多いところにできやすいといえます。
<部位別>
黒ずみ(角栓)予防法
角栓による黒ずみの一般的な予防法を、できやすい部位別にご紹介します。
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鼻の頭や小鼻
鼻の頭や小鼻は特に脂っぽくなりやすい部位で、毛穴が広がり皮脂や汚れなどがつまりやすくなります。正しいクレンジングと洗顔を行って、清潔に保ちましょう。
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顔全体
顔全体の中でも、鼻だけでなく、額も皮脂量が多く、毛穴に皮脂がつまりやすい部位です。洗顔の際はていねいに洗いましょう。
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メイクについて
メイクのファンデーションは、毛穴に入り込みやすく、しっかりとメイクを落とさないと毛穴をふさぐ原因となります。メイクをしている状態をできるだけ短くし、帰宅後などは早めにしっかりと落とすことが大切です。おすすめするクレンジングは、洗い流すタイプのクレンジングです。洗い流すタイプにはクリーム、ミルク、リキッド、ジェルタイプなどがあります。ふき取るタイプを使う場合は、こすらないように注意しましょう。
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スキンケアについて
肌の表面が脂性に傾くと肌への刺激となり、毛穴つまりの原因になります。余分な脂肪分を取り去ることが必要です。しかし皮脂を落とす力が強すぎるものや、使い過ぎは肌を傷める恐れがあり、脱脂状態をまねいて肌乾燥にもつながります。乾燥しがちな部位には、適切な保湿を心がけましょう。
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食生活について
皮脂の分泌を抑えるために、脂質代謝に必要となるビタミンB2や皮脂の酸化を防ぐビタミンEなどを積極的に摂取しましょう。
- ■ビタミンB2を多く含む食品
- 牛乳、卵、肉類、レバーなど
- ■ビタミンEを多く含む食品
- ナッツ類、胚芽油、ウナギなどの魚介類、大豆、穀類、緑黄色野菜など
また、脂肪・糖分の取り過ぎには注意が必要です。過剰な摂取は皮脂が過剰に生成されてしまい、皮脂のバランスを崩します。またエネルギーとして使われず余った糖分は脂肪となって蓄積されますが、脂肪と摂取したと同じです。また糖分は血糖値を上昇させ、皮脂の分泌を促進させてしまいます。バランスの取れた規則正しい食生活を心がけましょう。
<部位別>
黒ずみ(角栓)対処法
角栓による黒ずみには、一般的に次のような対処法があります。
鼻の頭・小鼻・顔全般
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清潔を保つ
常に皮膚を清潔に保つために正しい洗顔を心がけましょう。洗顔の基本は、手で、やさしく丁寧に洗うことです。肌がかさつく場合は、化粧水や乳液で保湿をします。油分の多い乳液やクリームは避けましょう。
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皮脂や汚れをしっかり取り除く
洗顔時は余分な皮脂や汚れをしっかり取り除くことも意識しましょう。
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保湿ケアをしっかり行い、肌乾燥を防ぐ
大人のニキビは角質層のターンオーバーに原因があることが分かっています。肌の乾燥もターンオーバーを低下させるため、洗顔後などはたっぷりと水分補給をするなど、保湿を心がけましょう。
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メイクをしている状態の時間を減らす、しっかり落とす
メイクをしている状態はなるべく短めにし、メイクや汚れはクレンジングできちんと落としましょう。
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日常生活を改善する
規則正しい生活をして十分に睡眠をとり夜更かしをしない、暴飲暴食をしない、脂肪の多い食事や甘いものなどは避けるなどしましょう。
黒ずみ(角栓)でよく見られる悩みを解説
角栓による黒ずみについてよく見られるお悩みを解説します。
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鼻の毛穴パックで角栓を取ってもいいのですか?
皮膚の質によっては行っても問題ありませんが、必要な皮脂や角質が取れ過ぎてしまうこともあり、肌を傷める恐れもあります。乾燥肌やアトピー性皮膚炎の方は気を付けて、医師との相談のもとで実施してください。また、毛穴パックで角栓が取れた後は、毛穴が開いている状態です。開いた毛穴は収れん化粧水などでしっかりと引き締めましょう。また、用法・用量をしっかり守ることが大切です。
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皮膚科で角栓黒ずみのピーリングはやってもらえますか?
皮膚科で受けられます。ピーリング剤の濃度とどのくらいの時間塗布するかで、皮膚への深達度が違ってきますので、肌質をみてもらって適した濃度と時間で実施してもらうのがいいでしょう。ただ、乾燥する冬や、紫外線の強い夏は推奨しません。なぜなら、ピーリングは行った後の、肌のケアや周りの環境がとても大切だからです。乾燥や日焼けには十分注意してしっかりケアするのを心がけましょう。
監修:私のクリニック目白 院長 平田雅子先生
医学博士・皮膚科認定専門医・日本医師会産業医・国際中医薬膳師。日本大学医学部卒業、東京医科大学付属病院勤務。退職後、臨床の第一線に立ち毎日500名以上の患者様の診療にあたる。その後2003年に女性専門外来、私のクリニック目白を開設し、理事長兼院長に就任。