<知っておきたい>「黒ずみ」の正しい知識 (2)「黒ずみ(色素沈着)」の原因・症状、予防法を解説
黒ずみの中でも、ワキの下やひじ、ひざなどが黒ずむものがあります。気になるものの、どうケアしてよいかわからないものです。この黒ずみはどのように予防し、対処することができるのでしょうか。今回は、摩擦などによる色素沈着によってできる黒ずみの原因、症状、予防法をくわしくご紹介します。
黒ずみ(色素沈着)とは
わきの下やひじ、ひざなどが黒っぽくなったりする黒ずみは、色素沈着によって生じます。まずは色素沈着についてご説明します。
色素沈着による黒ずみは、メラニン色素が皮膚に沈着することによって起きます。例えば、皮膚を強くこすりすぎたり、衣類が触れることで強い刺激が長い期間加わったりすると色素沈着を起こすことがあります。また、ニキビをいじりすぎるなどして炎症した後に色素沈着を起こし、黒ずんでしまうこともあります。
「色素沈着」とは
「色素沈着」とは、メラニン色素の生成と排泄がアンバランスになり、メラニン代謝のサイクルがくずれた結果、メラニン色素が過剰に皮膚内に蓄積されてできるものです。
紫外線や加齢、ホルモンバランスの乱れ、皮膚炎、摩擦などの刺激などにより、メラニン色素は次々と皮膚の中で生成されますが、正常な皮膚ではターンオーバーによって排泄されていきます。しかしこのメカニズムがうまくいかなくなると、局所的に色素が沈着したままになってしまい、黒ずみになってしまうのです。
黒ずみ(色素沈着)の原因、仕組み
メラニン色素の沈着による皮膚の黒ずみの原因はさまざまです。
例えばナイロン製のタオルを使う、美肌づくりなどを目的として強くマッサージする、合成繊維の下着やマッサージ機器などによる強い刺激を長期間過度に加えるといった摩擦による刺激により生じることがあります。
また、合わない化粧品の使用による皮膚炎、ニキビをいじりすぎるなどの刺激により炎症を起こした結果、メラニン色素が過剰に生み出され色素沈着となってしまうのです。
黒ずみ(色素沈着)の種類
黒ずみの具体的な種類をみていきましょう。
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摩擦性黒皮症
黒皮症とは、皮膚組織にメラニン色素やその他の物質が沈着することで、黒褐色に変化した状態になったものです。機械的刺激によって色素沈着をきたすものです。首筋から頸部にかけて、鎖骨上部や肩などにやや灰色がかった褐色の色素沈着がみられます。主にナイロンタオルやブラシ、フェイスブラシなどの入浴用具を使って強くこすりすぎることや、マッサージ機器、合成繊維の下着などで強い刺激が加えられることなどが原因と考えられています。
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炎症性色素沈着
皮膚に炎症を起こした結果、その部位に色素沈着を起こすもので、その原因は複数あります。例えば、ニキビをいじりすぎた結果、炎症を起こし、黒ずんでしまうのもこの炎症性色素沈着の一種です。また、合わない化粧品、家庭用品、植物などにより皮膚炎を起こした結果、色素が沈着してしまうこともあります。
<部位別>
黒ずみ(色素沈着)が起こりやすい部位
色素沈着による黒ずみ起こりやすい部位をみていきましょう。
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ワキ
ワキは衣類などによる摩擦や、脱毛時などに刺激を受けることがある部位です。カミソリや毛抜きなどを使った自己流の除毛の刺激が、黒ずみの原因となることがあります。
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腕の外側・ひじ・ひざ
入浴時にナイロンタオルやブラシでこすったり、ひじやひざをついたりすると摩擦による色素沈着が起きやすくなります。
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ビキニライン・デリケートゾーン
下着の締め付けやこすれにより摩擦による色素沈着が起こることがあります。
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顔・全身
炎症性色素沈着は、合わない化粧品の場合は顔に生じますが、全身にも起こり得ます。
<部位別>
黒ずみ(色素沈着)予防法
色素沈着による黒ずみの一般的な予防法をできやすい部位別にご紹介します。
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ワキ
特に強い刺激となるムダ毛処理の方法には注意が必要です。皮膚を傷つけないよう、カミソリ・毛抜きなどの使用は控え、肌に優しい電気シェーバーを用いるのがいいでしょう、また、石鹸をつけてお風呂場でシェービングをすると、必要な角質まで取れてしまうため、強い刺激となってしまいます。乾いた状態で肌にクリームやジェルなどを塗ってから、1回でサッとシェービングするようにしましょう。また、処理の後は必ず十分保湿することが大切です。
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ひじ・ひざ、及び全身
ひじは頬杖をつかない、ひざはひざ立ちをしない、そして衣類の生地の素材によっても摩擦が起こるため、できるだけやわらかい綿などの素材を選びましょう。また、全身については入浴時にナイロンタオル、スポンジ、ブラシなどを使用する過度の皮膚摩擦を控えましょう。
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ビキニライン・デリケートゾーン
引き締めの強い下着は摩擦を起こすため、使用を控えましょう。
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顔・全身
顔や全身用の化粧品や洗顔剤などが合わない場合、炎症が原因となり色素沈着を起こす可能性がありますので、使用して赤くなる、かゆみが出るなどの場合は中止しましょう。またできてしまったニキビをいじらないことも大切です。
<部位別>
黒ずみ(色素沈着)対処法
黒ずみになってしまったら、一般的に次のような対処法があります。
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ワキ
摩擦によるワキの黒ずみは、皮膚を再生するターンオーバーを正常に整えるのが対処のポイントです。最も重要なのは、保湿です。しっかりと保湿をした後で、肌荒れなどがない場合は、美白クリームを使用することもできます。また、シミ抜きの光治療などを受ける方法もあります。
栄養面では、たんぱく質やビタミン類などを意識して摂取するようにしたいですが、食事だけではなかなか黒ずみの対処はできません。
また、自己脱毛処理などによる強い刺激が続くと黒ずみが悪化することがあるので注意しましょう。
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ひじ・ひざ・ビキニライン・デリケートゾーンなど全身
皮膚への摩擦刺激を起こす原因となるナイロンタオル、スポンジ、ブラシなどの使用を中止します。かゆみがあれば皮膚科を受診し、ステロイド外用薬を塗布する、抗ヒスタミン薬を内服することなどが一般的です。
黒ずみでよく見られる悩みを解説
色素沈着による黒ずみについてよく見られるお悩みを解説します。
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目の周りの黒ずみが気になります。対処法は?
目の周りは皮膚が薄く、さらに他の部位よりも摩擦に弱いので、摩擦による色素沈着が起きやすい部位です。メイクをするときの物理的な刺激や、クレンジングによって強くこすること、目の周りの強いマッサージなどによる色素沈着や、身体の冷えなどによる血行不良が原因と考えられます。保湿を充分してからメイクをする、クレンジングは優しく行う、目の周りはマッサージを避ける、冷えを改善するよう運動やストレッチ、シャワーだけでなくぬるま湯につかるといった生活習慣の改善などを心がけましょう。
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ワキの黒ずみで悩んでいます。皮膚科でピーリングを受けたらきれいになりますか?
ワキは発汗の多い部位のため、ピーリングは通常、行われません。ピーリングは、行ってもその後の肌ケアのほうが大事なので、ワキは適切な状態を保ちにくいことから、効果が出にくいことが主な理由です。ワキの黒ずみ治療には、光治療やレーザー治療、美白クリームを塗るなどの方法が取られています。
監修:私のクリニック目白 院長 平田雅子先生
医学博士・皮膚科認定専門医・日本医師会産業医・国際中医薬膳師。日本大学医学部卒業、東京医科大学付属病院勤務。退職後、臨床の第一線に立ち毎日500名以上の患者様の診療にあたる。その後2003年に女性専門外来、私のクリニック目白を開設し、理事長兼院長に就任。