<知っておきたい>大人から赤ちゃんまで発症!あせも(汗疹)の原因・症状・予防法

<知っておきたい>大人から赤ちゃんまで発症!あせも(汗疹)の原因・症状・予防法

汗を大量にかくことで急速に発生するあせも(汗疹)。どのようにしてできるのか、どんな種類があるのか、あせもに似た疾患にはどんなものがあるのか……あせも(汗疹)の原因や症状、世代別の予防法や対処法について、皮膚科専門医の監修のもと、くわしく解説します。

あせも(汗疹)について

あせも(汗疹)について

あせもは「汗疹(かんしん)」とも表記し、高熱や高温多湿の環境など、多量の発汗に伴って急速に出現します。汗が汗腺のどの部分にたまるかによって、あせも(汗疹)は次の3つに分類されます。

種類
  • 水晶様汗疹

    角層内、もしくは角層直下で汗管が詰まり、直径数mmの小さな水ぶくれ(水疱)ができます。赤くなったり、かゆくなったりすることはなく、1日~数日で消えます。新生児の顔によく発生しますが、成人でも発熱などの際にできることがあります。

  • 紅色汗疹

    高温多湿の環境や、肥満者、多汗症、乳児によく発生します。表皮の中で汗管が詰まり、1~2mmの赤い丘疹(皮膚の盛り上がり)ができます。かゆみの程度は様々ですが、時にとても強いかゆみを感じる場合もあります。体幹、肘や膝の裏側、首、わきの下によく発生します。小児に多く、かきむしることで湿疹のようになり、慢性的にかゆみを伴う状態に陥ることもあります。また悪化した場合、細菌感染が起こるともあります。

  • 深在性汗疹

    紅色汗疹を繰り返していると、発汗時にかゆみのない蒼白色の丘疹が多発するようになります。これが深在性汗疹で、表皮と真皮の間で汗管が詰まったものです。汗が体外に出ないため、広範囲に発生した場合は体温調節機能ができなくなり、熱中症を起こす可能性があるので注意が必要です。

あせも(汗疹)ができやすい部位

  • 顔/首/体幹/肘
  • 膝の裏側/わきの下

その他、湿布、包帯やギプス、絆創膏、通気性の悪い衣類の着用など、汗を多くかく状況のときにできやすくなります。

悪化した場合

  • 伝染性膿痂疹

    いわゆる“とびひ”のことです。紅色汗疹をひっかくことにより細菌(黄色ブドウ球菌)感染が起こって化膿し、とびひになります。赤い丘疹が水ぶくれ(水疱)になり、つぶれてびらん(ベロっと皮膚がむけること)となります。細菌を含む水疱の内容物が患部の周囲や遠隔部位に“飛び火”し、新たな水疱となります。

  • 多発性汗腺膿瘍

    小児のあせも(汗疹)に引き続いて生じ、俗に“あせものより”と呼ばれます。頭、顔、背中、おしりなどに痛みを伴う赤く硬い盛り上がり(紅色結節)がみられます。

あせも(汗疹)の原因と仕組み

あせも(汗疹)の原因と仕組み

まず、汗をかく仕組みについて説明します。ヒトの皮膚には汗腺という汗を分泌する器官が全身にあり、汗腺で分泌された汗は汗管を通って汗孔から体表に出てきます(図:正常)。気温の上昇や運動によって体内に熱がこもると、汗が分泌されます。汗は、その水分が体表から蒸発するときの気化熱によって体温を下げ、体温調節をしています。
あせも(汗疹)は、大量に汗をかくことでそのシステムがうまく機能しなくなり、汗を排出する汗管に一時的に汗が詰まって汗が皮膚の外にスムーズに出ていかなくなることが原因で発生します。

あせも(汗疹)の原因と仕組み
あせも(汗疹)と似た症状・病気

あせも(汗疹)と似た症状・病気

あせも(汗疹)と似たような症状が皮膚にみられる疾患は他にもあります。代表的なものは以下の通りです。

  • 化膿性汗腺炎

    わきの下、鼠径部、会陰、おしり、乳房の下などにみられる化膿性の疾患。思春期から青壮年期の女性に多くみられます。

  • 多発性毛嚢炎

    毛穴に細菌が感染し炎症が生じる疾患。季節に関係なくみられます。

  • 金属アレルギーに伴うアレルギー性接触皮膚炎

    夏に多く見られるものの一つで、ネックレスや指輪の金属が、汗の水分に溶け出し、皮膚に付着することで生じます。強いかゆみを伴う紅色の丘疹(皮膚の盛り上がり)や小さい水疱(水ぶくれ)がみられることがあります。

  • 汗疱

    異汗性湿疹とも表記されます。手のひらや足の裏に直径2~5mm程度の小さい水疱(水ぶくれ)が多数みられ、時に手の甲や手首にまで拡大します。かゆみを伴うこともあります。

<年代別>大人のあせも(汗疹)の予防法と対処法

<年代別>大人のあせも(汗疹)の予防法と対処法

地域にもよりますが、5月の始めころになると汗疹になる人が増えてきます。普段運動をあまりせず、発汗する機会が少ない人が、急に暑いところに行ったり、急に運動したりして発汗量が増えるとなりやすいようです。

高温多湿の環境で長時間業務を行う人は、入浴やシャワーで皮膚を清潔に保つとともに、通気性や吸水性の高い衣類を選択しましょう。また、寝たきりの高齢者は自分で室温を調節したり衣類を脱いだりすることができないので、特に注意が必要です。

<年代別>子ども(幼児)のあせもの予防法と対処法

<年代別>子ども(幼児)のあせもの予防法と対処法

大人同様、通気を良くし、快適な生活環境を整え、入浴やシャワーで皮膚を清潔に保つとともに、吸水性の高い衣類を選択しましょう。

とびひ(伝染性膿痂疹)になった場合はこまめに手洗いを行い、爪を短く切って、皮膚を傷つけないようにすることが大切です。入浴は湯ぶねに入らず、シャワ-を使います。患部は泡立てた石鹸で優しく洗い、ナイロンタオル等での摩擦を避けましょう。入浴後は、滲出液などが周囲に接触しないように、患部に軟膏を塗り、ガ-ゼなどで保護する必要があります。水ぶくれが乾いてくるまではタオルなどは他人と共用しないようにします。

伝染性膿痂疹は学校感染症に分類されます。ほかの園児・学童にうつす可能性があるため、放置せず適切な治療をし、病変部をガ-ゼや包帯できちんと覆って露出しないようにしましょう。通常は学校を休ませる必要はありませんが、病変が広範囲に拡大したり、微熱などの症状があったりする場合は、念のため休んだほうが良い場合があります。なお、プールは、他の人への感染や悪化の恐れがありますので、完全に治るまでは禁止です。

<年代別>赤ちゃんのあせもの予防法と対処法

<年代別>赤ちゃんのあせもの予防法と対処法

水晶様汗疹は新生児の顔によくみられます。そのままにしていても数日で自然に消えるので治療の必要はありません。皮膚を清潔に保ち、衣類や寝具などは肌触りがやわらかく吸水性に優れ、刺激のないものを選んで発症を予防することが大切です。新生児はこまめに環境管理をしてあげてください。

あせも(汗疹)の気になる疑問やお悩みを解説

あせも(汗疹)の気になる疑問やお悩みを解説(Q&A)

  • 夏場だけ気をつければ大丈夫ですか?

    冬季でも高温多湿下など汗をかく環境では発生する場合があります。他にも、季節を問わず発熱時や湿布・包帯・ギプス・絆創膏・通気性の低い衣類の着用など、多く汗をかく状況のときには注意しましょう。

  • 必ず病院に行かなければいけませんか?

    水晶様汗疹の場合は数日で自然に消えるので、受診しなくても問題ありませんが、紅色汗疹は細菌感染を併発したり、深在性汗疹に移行したりすることがあるので、病院で適切な治療を受ける必要があります。

  • どのような治療が行われますか?

    紅色汗疹や深在性汗疹の場合、炎症症状が強い場合はステロイド外用剤を患部に塗ります。さらに細菌感染が疑われる場合には抗菌薬を外用したり、症状が強い場合は内服したりする必要があります。
    あせも(汗疹)は予防が重要ですので、室温・衣服・寝具などに注意しましょう。

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堀内 祐紀 先生
監修:秋葉原スキンクリニック院長 堀内 祐紀 先生
東京女子医科大学医学部医学科卒業後、都内皮膚科・美容クリニックを経て、2007年に秋葉原スキンクリニックを開院。日本皮膚科学会認定専門医、日本医学脱毛学会理事、Aケア協会アドバイザー。日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本レーザー医学会、日本抗加齢医学会などに所属。

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