ひび・あかぎれの原因・仕組みを解説

<知っておきたい>「ひび・あかぎれ」の正しい知識 (1)ひび・あかぎれの原因・仕組みを解説

寒い季節によく見られる「ひび・あかぎれ」。手足の皮膚がぱくっと割れ、つらい痛みに悩む人は少なくありません。そもそも、ひび・あかぎれはどうして起こるのでしょうか。また、手あれやしもやけとの違いはどこにあるのでしょうか。皮膚科医監修のもと、くわしくご紹介します。

ひび・あかぎれとは

ひび・あかぎれとは

手足の皮膚がぱくっと割れ、つらい痛みに悩む「ひび・あかぎれ」。まずは、ひび・あかぎれの症状、手あれやしもやけとの違いについて解説していきましょう。

用語解説

人間の皮膚は、一番外側で外部刺激から皮膚を守る「表皮」、その下にあって皮膚の水分や弾力を維持する「真皮」、最も内側にあって主に脂肪で構成される「皮下組織」の三層構造になっています。
「ひび」とは、いわゆる亀裂のこと。表皮の深い部分、あるいは真皮に達する細くて深い線状の切れ目を指します。一方の「あかぎれ」は、ひびが進行して出血を伴ったり、ひびのある部分が炎症して赤身を帯びたりしたものをいいます。つまり、あかぎれはひびが悪化した状態と考えていいでしょう。あかぎれになると、見た目も痛々しく、痛みを感じたり水がしみたりして、日常生活に支障をきたすことが多くなります。

手あれとの違いは?

手あれとは、水や、洗剤、そのほかのさまざまな外部刺激によって、手にカサつきやかゆみなどの症状を抱えた状態のこと。皮膚の下に、かゆみや赤みの原因となる炎症が、潜んでいることもあります。
乾燥からはじまることがほとんどで、手全体に及ぶ場合もあれば、一部の指だけに症状が見られるなど、部分的に生じる場合もあります。ボリボリとかき壊すことで状態が悪化して、治りにくくなるケースが少なくありません。手あれの一症状として、ひびやあかぎれが見られることもあります。

しもやけとの違いは?

しもやけは、寒さなどによる血行不良が原因で起こるもの。手や足など、血液が届きにくい末梢に多く発生します。とくに水に濡れた後、急激に寒さや冷たさによる刺激にさらされると生じやすくなります。
しもやけを防ぐためには、寒さから皮膚を守ることが大切です。手袋や厚手の靴下、耳を覆う帽子などを活用して、しっかりガードしましょう。抹消の血行を良くするような食品や、入浴も効果的といえます。そのほか、スムーズな血行をサポートするビタミンEの摂取もおすすめです。

ひび・あかぎれの原因(メカニズム)

ひび・あかぎれの原因(メカニズム)

ひび・あかぎれが冬によく見られるのは、気温の低下と空気の乾燥による影響を受けるためです。気温が下がると、汗や皮脂の分泌量が低下して、ただでさえ皮膚が乾燥しやすくなります。そのうえ、乾いた空気による刺激を受けて、さらに皮膚の水分が不足してしまうのです。

このときの皮膚の状態は、おモチに例えるとイメージしやすいでしょう。つきたてのおモチはとてもやわらかく、両手で引っ張って伸ばしても亀裂は入りません。ところが、鏡餅のようにずっとおモチをそのまま放っておくと、表面が乾き、引っ張る力に負けて亀裂が入ってしまいます。

皮膚においても同じことが起こります。皮膚からうるおいが失われて乾燥した状態が続くと、亀裂が入りやすくなります。そこへ、指の曲げ伸ばしなどで皮膚が伸ばされると、その力に皮膚表面の弾性力が耐えられず、亀裂が入ってしまうのです。指関節の伸側(関節などの折れ曲がる側とは反対側、外側になる部分)にひび・あかぎれが起こりやすいのはそのためです。

こうした亀裂は、手だけでなく足にも起こります。よく見られるのが、かかとの部分。かかとの皮膚がタコのようにかたくなったときにも、亀裂が生じることがあります。

かかとの場合、皮膚の乾燥だけでなく、全身の体重を支えるために皮膚が防御反応を起こしてかたくなるため、より亀裂が入りやすくなるのです。たとえば、職人さんの手にできるタコのように、つねに外的刺激を受ける部位は内部を守ろうとして皮膚が厚くなりますが、それと同じ原理です。とくに体重が重い人や、かかとに体重をかけて歩く人、かたい床を裸足で歩く人などは、かかとに亀裂が起こりやすくなります。

また、唇も亀裂が発生しやすい部位のひとつ。皮膚が薄く、水分保持が難しいため、こまめなケアで乾燥を防ぐことが大切です。

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ひび・あかぎれが起こりやすい要因(時期・日常生活)

最後に、ひび・あかぎれが起こりやすい季節、習慣、職業について解説します。ひび・あかぎれの要因を事前に理解しておきましょう。

  • ひび・あかぎれが起こりやすい季節はいつ?

    ひび・あかぎれは、気温の低下や空気の乾燥が大きな原因となるため、冬場に最も多くなります。ただし、日常での刺激が強い場合は、夏でも見られることがあります。
    たとえば、洗剤やさまざまな物質によるかぶれや、摩擦による刺激などによっても起こることがあります。皮膚のダメージを招く要因があると、ターンオーバーが乱れて角化が進み、弾力を失った皮膚に亀裂が入ることも十分に考えられます。外気の刺激だけでなく、皮膚に対する刺激がどれだけ強いかも、ひび・あかぎれの起こりやすさに影響するでしょう。

  • 日常生活でひび・あかぎれが発生しやすいのはいつ?

    食器洗いや水仕事をするときに多く発生します。水を使った後は、すぐに手の水分を拭き取りましょう。濡れたままにしておくと、水分が蒸発するときに皮膚の水分も一緒に蒸発してしまう可能性があり、ひび・あかぎれを起こしやすくなります。ハンドクリームなどを使って、こまめに保湿ケアしましょう。
    そのほか、ダンボールや紙類をよく触る機会が多い方は、手の水分と油分が紙に奪われてしまい、乾燥が悪化しやすいので注意が必要です。外部刺激による皮膚のダメージも原因となるため、手指を酷使するような職業の方にも発生しやすくなります。

  • ひび・あかぎれが起こりやすいといわれる職業は?

    水仕事が多い主婦や調理師、理容師、美容師、医療関係者、ネイリスト、フラワーコーディネーターなど、日常的に洗剤を使ったり手洗いをよくしたりする職業に多く見られます。また、赤ちゃんを育てているお母さんも発生する可能性が高いでしょう。

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堀内 祐紀 先生
監修:秋葉原スキンクリニック院長 堀内 祐紀先生
東京女子医科大学医学部医学科卒業後、都内皮膚科・美容クリニックを経て、2007年に秋葉原スキンクリニックを開院。日本皮膚科学会認定専門医であるほか、日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本レーザー医学会などに所属する。

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