<知っておきたい>「ニキビ」の正しい知識 「大人ニキビ」の原因・症状・対処方法について解説 大人ニキビの特徴 大人ニキビの種類 大人ニキビができやすい部位 大人ニキビとは異なる?似た症状(病名)をご紹介 大人ニキビの予防法・改善方法を解説 大人ニキビが悪化してしまった?場合の対処方法 思春期の頃にできるニキビと大人ニキビでは、発生する部位や原因が異なります。大人ニキビを防ぐためには、原因を正しく理解し、症状に合わせて適切に対処していくことが大切です。大人ニキビの原因や症状、対処方法について、皮膚科医監修のもと解説します。 大人ニキビの特徴 大人ニキビには、どのような特徴があるのでしょうか。思春期ニキビとの違いのほか、発生する原因や仕組みをふまえてみていきましょう。 大人ニキビについて 大人ニキビとは、おもに20歳を過ぎてからできるニキビのことを指します。思春期のニキビは、額や鼻筋など皮脂の分泌がさかんな部位に多くみられますが、大人ニキビは頬やあご、首などのフェイスラインにできやすいのが特徴です。 大人ニキビと思春期ニキビの違い 大人ニキビと思春期ニキビの違いは、発生しやすい部位だけではありません。 思春期ニキビはいわゆる生理的なニキビであり、大抵は3~4年経てばなくなります。 一方の大人ニキビは発生する原因が複雑で、ライフスタイルにも深く関係していると考えられています。そのため、症状を繰り返すことが少なくありません。また、無意識にニキビをさわって跡が残ってしまうケースもよくみられます。 大人ニキビの原因 大人ニキビが発生する原因としては、次のようなものがあげられます。 不規則な生活 睡眠不足 食生活の乱れ 過労 ストレス 肌の乾燥 また、ホルモンも大人ニキビを引き起こす原因のひとつです。ホルモンのバランスは、過労や不規則な生活、偏った食生活などさまざまな要因で乱れがちになります。その影響で体のバランスが崩れ、肌の生まれ変わりのリズムも乱れてニキビができやすくなると考えられています。 さらに、肌の乾燥によるバリア機能の低下が、ニキビの要因となることもあります。古い角質がスムーズにはがれ落ちず、分厚くなって毛穴をふさいでしまい、大人ニキビの発生を招くのです。 男女別大人ニキビの原因 皮膚への過剰な刺激も大人ニキビの原因となります。たとえば、男性ではひげ剃りに注意が必要です。ひげを剃るときは清潔な道具を使い、シェービング剤などを使って刺激を和らげるようにします。 女性では、メイクが原因となることもあります。適切なクレンジングで、しっかりメイクを洗い落とすことが大切です。すでにニキビが発生している場合はメイクを控えるか、メイクをする場合は油分の多い化粧品を避けて、ノンコメドジェニックテスト済みと記載のある化粧品を使用し、悪化を防ぎましょう。 また、女性の大人ニキビは、生理周期とも深い関わりを持っています。生理前にニキビが増えたり悪化したりする女性が多くみられますが、それは女性ホルモンのプロゲステロンの分泌が高まるため。プロゲステロンが皮脂の分泌を高めて、大人ニキビができやすくなってしまいます。 大人ニキビができる仕組み 大人ニキビと思春期のニキビの発症メカニズムは同じですが、大人ニキビは、不規則な生活や過労などなんらかの理由で体のリズムが乱れると発生しやすくなります。体のバランスを崩すことで肌の生まれ変わりのリズムが乱れ、ニキビの発生を招く可能性が高まります。 大人ニキビの種類 大人ニキビは、症状によって次のような種類に分けられます。悪化を防ぐためには、白ニキビの段階で早めにアプローチすることが大切です。 白ニキビ(閉鎖面疱) 皮脂や老廃物が詰まって盛り上がったものは白色面疱とも呼ばれ、俗に白ニキビと呼ばれています。 黒ニキビ(開放面疱) 黒色面疱とも呼ばれ、先端が黒くなったニキビです。皮膚表面に顔をのぞかせた面疱の中身が酸化して黒くなります。 赤ニキビ(炎症性面疱) 白ニキビが悪化して炎症を起こしたもの。目立ちやすく、治りにくいのが特徴です。 黄ニキビ(膿疱性面疱) ニキビが化膿して、黄色い膿(うみ)がたまったものです。 紫ニキビ 炎症が起こった後、まわりの組織が破壊され、それを修復するために血管が新たに増生されたり、ニキビの炎症により瘢痕組織ができたりして赤紫にみえるものです。ときに内出血を起こしているものが、俗に紫ニキビといわれることがあります。 大人ニキビができやすい部位 思春期ニキビは額や鼻などのいわゆるTゾーンに多くみられますが、大人ニキビは頬やあご、口まわりなどのUゾーンに多発します。男性では、ひげ剃りの影響で口まわりにできるケースが多くなっています。顔以外では、胸のあたりや背中にみられることもあります。 大人ニキビとは異なる?似た症状(病名)をご紹介 大人ニキビとよく似ている症状や病気としては、次のようなものがあげられます。 毛のう炎(毛包炎) 毛包の浅い部分に黄色ブドウ球菌などの細菌が感染して、炎症を引き起こす疾患です。赤みのある小さな膿疱が現れ、軽いかゆみを伴い、頭皮にできることもあります。 おでき(癤) 毛のう炎が進行し、毛包の深い部分とその周囲が炎症を起こして化膿したもの。中心に盛り上がった膿栓がみられます。皮膚がかたくなってズキズキと痛み、赤みや熱を伴います。 毛包性細菌感染症の分類(清水宏『あたらしい皮膚科学第2版』より) 脾粒腫 直径1~2mmの大きさで、白あるいは黄白色のポツポツと隆起したものがみられます。目のまわりにとくに多く発生します。「脂肪の固まり」と考えられがちですが、内容はケラチンです。 粉瘤 顔面や頸部によく生じる良性の腫瘍。大きさは直径1~2cmですが、なかには10cm以上のものもみられます。強く押すと悪臭を伴う物質が出ることがあります。通常、自覚症状はありませんが、悪化すると赤みや腫れなどが現れます。 ※似た症状について、さらにくわしく知りたい人は… 大人ニキビの予防法・改善方法を解説 大人ニキビを予防・改善するうえでは、スキンケアだけでなく生活習慣の見直しも大切です。具体的な方法をみていきましょう。 一般的な予防法・改善方法 一般的な大人ニキビの予防・改善方法としては、次のようなものがあげられます。 十分な睡眠をとる 睡眠はニキビの悪化に関係すると考えられています。皮膚の細胞は夜寝ているあいだに修復・再生されるため、質のよい睡眠を十分にとることを心がけましょう。 朝寝坊で生活リズムが乱れたり、寝る直前まで明るい光を浴びていたりすると、自然な眠りを妨げます。規則正しい生活を送り、夜は暖色系の光の下で過ごして、スムーズな入眠につなげましょう。 食生活を見直す 無理なダイエットで食事からとる栄養が不足していたり、栄養バランスが偏って便通に影響したりすると、大人ニキビの発生や悪化につながる可能性があります。 特定の食べ物と大人ニキビとの明確な関連性は明らかになっていませんが、健やかな肌を育てるためにも、栄養バランスのとれた食事をとることが大切です。なかでも、大人ニキビの予防・改善に役立つと考えられている「ビタミン」は、積極的にとるとよいでしょう。 ストレスをためない ストレス自体が皮膚の免疫力を低下させ、ニキビの炎症が強くなったり、ストレスにより皮膚の再生力が低下したりします。また、ストレスの現れとして、ニキビを無意識にいじってしまったり、睡眠不足になったりして、大人ニキビの悪化に影響を与えることがあります。気分転換をしたりゆっくり休んだりすることで、ストレスと上手に付き合いましょう。 洗顔方法の見直し 肌の乾燥も大人ニキビの要因となるため、洗い過ぎに十分注意します。1日2回の洗顔を基本として、よく泡立てた洗浄料を使い、肌をこすって刺激を与えないようにやさしく洗うことが大切です。とくにスクラブ入りの洗顔料は皮膚を傷つけてしまうので、使用を避けましょう。洗顔後は、肌のバリア機能を正常に保つために、ていねいな保湿ケアでうるおいを補給します。ニキビが発生しにくい成分を配合したノンコメドジェニック化粧品の使用もおすすめです。 男女別のおもな予防・改善方法 日常で使うアイテムによっても、予防・改善のポイントは異なります。男女別にみてみましょう。 男性の場合 男性では、ひげ剃りの際に注意が必要です。ひげを剃るときの刺激によって皮膚のバリア機能が破壊されることで、ニキビができやすくなります。カミソリや電気シェーバーの切れ味が悪くなると肌ダメージが大きくなるため、こまめに刃を交換することが大切です。 剃る前に肌を水で濡らし、シェービング剤などをつけてひげをやわらかくしてから剃りはじめます。剃った後は保湿クリームなどでケアして、乾燥を防ぎましょう。 女性の場合 女性では、メイクが悪化要因となることがあります。すでに大人ニキビができている場合は、できれば油分の多い化粧品を避けるのがおすすめです。ファンデーションを控えめにしてポイントメイクを強調するなど、目線をニキビ以外の部位に持っていくような工夫も効果的です。大人ニキビが発生しやすい部位への刺激をおさえる工夫を取り入れましょう。 また、クレンジングでシートタイプのものを使うと肌への刺激が気になります。その日のメイクに合わせて、なるべく負担のないクレンジング剤を選ぶことが大切です。メイク汚れが毛穴に詰まったままにならないよう、洗い残しに注意しましょう。 額、あご、頬の予防法・改善方法について 大人ニキビが発生しやすい額やあご、頬には、それぞれ注意したいポイントがあります。ひとつずつみていきましょう。 額 思春期ニキビほどではないものの、大人ニキビは額にも発生します。とくに、前髪が額にかかっていると刺激を受けやすいので注意が必要です。 あご あごからこめかみにかけてのフェイスラインは、大人ニキビができやすい部位です。無意識にあごに手を当てると、ニキビを刺激して悪化の要因となるため注意します。 頬 ファンデーションのほか、紫外線による刺激も悪化の要因となります。日焼け止めなどで紫外線対策をおこない、メイクはファンデーションを控えめに仕上げることが大切です。 大人ニキビが悪化してしまった?場合の対処方法 大人ニキビは早い段階での対処が肝心です。なかにはセルフケアをおこなっても改善せず、悪化してしまうケースもみられます。さらなる悪化を防ぐためにも、早めに専門医に相談しましょう。 監修:秋葉原スキンクリニック院長 堀内祐紀先生 東京女子医科大学医学部医学科卒業後、都内皮膚科・美容クリニックを経て、2007年に秋葉原スキンクリニックを開院。日本皮膚科学会認定専門医、日本医学脱毛学会理事、Aケア協会アドバイザー。日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本レーザー医学会、日本抗加齢医学会などに所属。 正しい情報を掲載するよう注意しておりますが、誤った情報があればご指摘ください 医療情報に関するご指摘はこちら からだの気になる症状別ガイド一覧へ戻る