みんなの妊活

出生率低下という社会環境の中、昨年の「妊活白書」では「子どもが欲しくない」と感じている人の中にも「授かる可能性を残したい」という“妊活備え派”が存在し、妊活意識の多様化の兆しが垣間見えました。
そこから、今年7回目となる「妊活白書」では「子どもが欲しくない」の陰に存在する妊活・妊娠・出産への多様な意識をより具体的に把握するために、対象者・項目を増やし調査を行いました。
幸せの形はそれぞれで、自分らしさの模索が希望にも不安にもなりえる現代。令和の私たちはどのように自分の未来を進んでいくべきか。いまのリアルから見えてくる、未来への“ヒント”を探ることを目指しました。

未婚男女が子どもを持つことの意向

「今も将来も子どもが欲しくない」と考える若年未婚男女が過去最高の56.6%。

  • 若年未婚男女

現在、そして将来も子どもを欲しいと思わない未婚男女(18~29才)の割合は2020年の計測から増加しており、今年は56.6%で過去最高となりました。また、男女別にみると、男性の約6割が将来子どもを欲しくないと回答しており、今年も女性より男性の方が子どもを欲しくないと考える人の割合が多い結果でした。

  • 「今も将来も子どもが欲しくない」と考える若年未婚男女が過去最高の56.6%。
  • 「今も将来も子どもが欲しくない」と考える若年未婚男女が過去最高の56.6%。

子どもを授かれる可能性を残しておきたい意向

今年も子どもを望まない男女のうち約4人に1人は、子どもを授かれる可能性を残したい「妊活備え派」が存在。昨年よりも微増し、特に男性の増加傾向が見られた。

  • 若年未婚男女
  • 子どもを望まない男女

昨年に引き続き、子どもが欲しくないと回答した未婚男女のうち約4人に1人が、将来考えが変わったときには子どもを授かれるように、身体的に妊娠が可能な状態を維持しておきたいと答えました。昨年と比較すると、妊活備え派は全体で微増しており、特に男性の妊活備え派が増加していました。子どもを望む層は減っていても、妊活備え派は増えている結果になりました。

「妊活備え派」が存在

妊活アクション

既婚男女の妊活実施率は過去3年で増加している。また、男性も妊活に主体的になってきており、性別を問わず妊活を身近に感じている人が多く存在。

  • 既婚男女

一方で、既婚男女に「妊活として取り組んでいること」を聞くと、過去3年間の比較で「夫婦で家族設計について話をする」「排卵日に合わせて夫婦生活を行う」「人に聞いたり、情報を集めたりする」などの回答に増加傾向がみられました。

妊活アクション

男性に絞ってみても、各スコアが過去3年の調査結果より高くなっており、男女ともに妊活に関心のある層が多くなっていると考えられます。

妊活アクション

妊活アクション/男性の妊活への関心

特に20代後半男性は妊活に主体的な傾向。
妊活行動率は、男性全体の約1.5倍と高く、中でもパートナーの
体調に気遣ったり、男性同士で妊活について話す割合が高い。

  • 妊活経験
  • 男性

妊活経験男性のうち20代後半男性は、主体的にパートナーとコミュニケーションをとり、妊娠や妊活についての情報を一緒に学んでいました。また、男性同士でも妊活について話し合っており、妊活をオープンにして広く情報を集めている様子もみられました。

妊活アクション

妊活アクション

子どもを持つことに対する意識

現在子どもを持つことに積極的な妊活経験者のうち、消極派から"子どもを持つこと積極派"に変化した人が約50%。子どもが欲しいかどうかの意識は、移ろいやすいことが明らかに。

  • 妊活経験男女

子どもが欲しくないと考える若年未婚男女が今年、過去最多となりましたが、妊活を経て現在子どもを持つのもいいことだと思っている人のうち、「以前は子どもが欲しいかどうかよく分からなかった」「以前は子どもが欲しいと思っていなかった」と回答した人が合わせて49.6%でした。この結果から、子どもを持つことに対する考え方は変化しやすいことが明らかになりました。

子どもを持つことに対する意識

子どもを持つことに対する意識の男女差

子どもを持つことを前向きに考えるタイミングは、女性は「自身の年齢」と「結婚後」、男性は「交際中」。女性は「自分の状況」から、男性は「パートナーとの関係性」から、子どもを持つことを考えはじめる。

  • 妊活経験男女

子どもを持つのもいいことだと考えが変わった妊活経験男女に、そのきっかけを聞いたところ、女性は約30%が自身の年齢や、結婚生活を送る中で子どもを持つことに前向きになっていました。一方で、男性の約30%は、配偶者と交際する中で子どもを持つことを意識し始める様子が伺えました。

子どもを持つことに対する意識の男女差

妊活に対する意識

妊活意識でタイプ分けを行うと「令和の妊活5タイプ」が明らかに。

  • 18~44才子どものいない男女

※子どもが完全に欲しくない層は除外

子どもを持つことに対する考えは変化しやすく、考え方も多様化している現在。
妊活意識を把握するために、子どもがいない男女をタイプ別に分けてみると、妊活およびプレコンセプションケアの実践度や、子どもを持つことに対する意識の強さによって、5つのタイプに類型化できました。

  • 妊活に対する意識
  • 妊活に対する意識
  • 妊活に対する意識
  • 妊活に対する意識
  • 妊活に対する意識

妊活に意欲的な人から、子どもを持つことに迷いを感じている人まで、実態は様々。

妊活に関する知識量や情報接触状況、ライフプランに対する考え方に大きな差があり、不安内容もそれぞれで異なっていました。

ここからは、各5タイプの特徴をご紹介します。タイプ別に、「おすすめのはじめの一歩」も掲載しました。
妊活を進めていきたいと思ったときに、参考になれば幸いです。

ふたりで一緒に“ちゃくちゃく妊活”

TYPE01

パートナーと共に妊活に取り組み、
子どもを産み育てたいと積極的に願うタイプ

特徴

  • 最も妊活に積極的に取り組んでおり、子どもを産み育てることへの優先度が高いタイプ。
  • パートナーともライフプランについてよく話し合っており、将来のことについて具体的に考えている。
  • 妊娠/出産に関する知識が豊富で、インターネットでの検索経験が他のタイプと比較しても圧倒的に多い。
  • 自身の体質に不安を抱えている人も多く、半数以上が子どもが授かりにくいかもしれないという不安を抱えている。
  • ふたりで一緒に“ちゃくちゃく妊活”
  • ふたりで一緒に“ちゃくちゃく妊活”
  • ふたりで一緒に“ちゃくちゃく妊活”
  • ふたりで一緒に“ちゃくちゃく妊活”

おすすめのはじめの一歩

市販薬でのセルフチェックの習慣をつけて、
定期的に病院でも検査と指導を受ける。

妊活経験者からの声

  • 気楽に!時間的制限を設けて夫婦二人でも楽しく過ごせる関係性を築いておく!
    (40代前半女性)
  • 不安な気持ちもわかるが焦らずにお互い支え合いながら協力して出来ることを1つずつやれるといいと思う
    (30代前半男性)

ふたりで仲良く“てくてく妊活”

TYPE02

いつかは子どもを産み育てたいが、
パートナーとの関係を重視したいタイプ

特徴

  • 子どもを産み育てることの優先度は高いが、パートナーとの関係・時間を何よりも重視。
  • ライフプランについてパートナーともよく対話しており、食事に気を付けるなどのプレコンセプションケアも実施。
  • 「ふたりで一緒に“ちゃくちゃく妊活”タイプ」と同様、このタイプの2割が、産婦人科やクリニックなどで検査や一般不妊治療を実施。
  • 妊娠への不安が「ふたりで一緒に“ちゃくちゃく妊活”タイプ」よりも大きい。妊活について相談できる先が不足していると特に感じている。
  • ふたりで仲良く“てくてく妊活”
  • ふたりで仲良く“てくてく妊活”
  • ふたりで仲良く“てくてく妊活”
  • ふたりで仲良く“てくてく妊活”

おすすめのはじめの一歩

まずは現在の健康状態を把握した上で、
妊娠や出産に向けて生活習慣を整える

妊活経験者からの声

  • パートナー以外に誰か周りに相談できる人がいればありがたいなと思います
    (30代前半女性)
  • それぞれの夫婦で向き合い方は違うので、その姿勢をうまく見つけてもらえたらいいと思う
    (40代前半男性)

興味はあるけど“ぐるぐる妊活”

TYPE03

妊活意欲は高いが、パートナーとの関係・経済状況など
様々な理由からハードルを感じているタイプ

特徴

  • 既婚・未婚でも意識は異なるが、子どもを産み育てることへの不安が大きく、特に経済的な理由で不安を感じていることは共通。
  • 妊活に対して、「お金や時間がある人がやっている」というイメージを持っている人が、他のタイプよりも多い。
  • 既婚層はプレコンセプションケアは実施していても、ふたり妊活が不十分。
    夫婦間で妊活の進め方の擦り合わせや、情報共有ができていない。
  • 未婚層の1割は、妊活に関して医師による相談を実施。半分は、パートナーが欲しいと思っていても不在。
    キャリアを重視。
  • 興味はあるけど“ぐるぐる妊活”
  • 興味はあるけど“ぐるぐる妊活”
  • 興味はあるけど“ぐるぐる妊活”
  • 興味はあるけど“ぐるぐる妊活”

おすすめのはじめの一歩

自身のライフプランをふまえて、
子どもを持つことに向けた
具体的な計画や相談を実施する。

妊活経験者からの声

  • 早い時期から受診し、自分の体の状態を知った上で行動するとよい
    (30代後半女性)
  • 思ったよりも出来ないこともあります。
    時間・金銭的に余裕があるなら、病院で検査を受けましょう
    (20代後半男性)

今は自分優先“さきざき妊活”

TYPE04

子どもを授かる可能性は残しておきたいが、
今は自分の時間や趣味を優先したいタイプ

特徴

  • 自分の時間・趣味に加え、交友関係も大事にしたいタイプ。
    中には、パートナーが欲しくないと思っている人も一定数存在。
  • このタイプの1/4は現在子どもを望んでいないが、将来子どもを授かる可能性を残しておきたいと考えている。
    理由は「育てられる自信がないから」「興味がないから」「経済力がないから」
  • 子どもが欲しくないというより、子ども以外に優先したいことがあるというのが、現在の彼らの心情。
  • 子どもを産み育てることについて具体的に考えられておらず、妊娠・出産に関する情報収集もあまり積極的にしていない。
  • 今は自分優先“さきざき妊活”
  • 今は自分優先“さきざき妊活”
  • 今は自分優先“さきざき妊活”
  • 今は自分優先“さきざき妊活”

おすすめのはじめの一歩

妊活に関わる知識を増やしていきながら、
具体的な妊活アクションにむけて、
金銭面の計画を立てる。

妊活経験者からの声

  • 早めに本気で考えること。手遅れになって後悔しないように (40代前半女性)
  • 子どもが欲しいかの議論は結婚前に十分にしておくこと (20代後半男性)

まだ未知数の“ふわふわ妊活”

TYPE05

子どもについてまだ現実的に考え始めておらず、
今のキャリアや自分の時間を大切にしたいタイプ

特徴

  • 子どもを産み育てることの優先度が5タイプの中で最も低く、「子どもが欲しい」と明確に望んでいるのはこのタイプの中で2割。
  • 子どもを産み育てることは「自然の流れに任せたい」という考えを持つ人が多く、子どもに対し苦手意識を持つ人も多い。
  • 妊娠・出産について知っている情報が、他のタイプと比較して少なく、妊娠・出産のために実施していることも少ない。
  • 妊活している人に抱くイメージは、ポジティブなものより「つらそう」「深刻そう」というネガティブなイメージの方が強い。
  • まだ未知数の“ふわふわ妊活”
  • まだ未知数の“ふわふわ妊活”
  • まだ未知数の“ふわふわ妊活”
  • まだ未知数の“ふわふわ妊活”

おすすめのはじめの一歩

まずは妊活に関する正しい知識や情報にふれて、
パートナーがいる場合には、
将来のプランについて相談をしてみる。

妊活経験者からの声

  • 体に入れるもの(食べ物)は、できるだけ早いうちからこだわっておいたほうがいい
    (30代前半女性)
  • 可能ならパートナーが出来る前から妊活に関する正しい知識や情報を得たり、相談したり、貯金等が出来るように前もって準備しておく
    (20代後半男性)

妊活タイプ診断チャート

全5タイプの紹介を行いましたが、ご自身はどのタイプにあてはまるでしょうか?
ぜひチャートを使ってチェックしてみてください。

チャート

「子どもが欲しくない」という声は、変わらず多く見られます。しかし今回私たちが目指したことは、昨年の“妊活備え派”の「子どもは欲しくないけど、授かる可能性は残したい」と いうゆらぎから垣間見えた、若年層の多様化する妊活意識をより具体的に把握すること。
今年の調査を通して、妊活意識の多様化・進化の形として3つの具体的な気づきが得られました。1つ目は、令和ならではの“妊活男子”の存在。2つ目は、昨年に続き“妊活備え派” が存在・増加していること。3つ目は「子どもを望んでいなかったが、妊活を経て子どもを持ててよかった」と感じている“妊活意識スイッチ派”ともいえる層の存在。
特に今年の新たな気づき“妊活男子”の主な行動は「話しあう、調べる、気遣う」など、実際に身体的に妊娠・出産するのはパートナーだと理解しているからこその、“関係性”を育てるような妊活。妊活に対して主役・脇役ということではなく、相手を思いやりながら積極的にできることから行動し、家族の形を模索していく頼もしい姿。
また3つの気づきを通して感じたことは、「子どもは欲しくないけど、授かる可能性は残したい」 「性別に関わらず、お互いができることを積極的に」 「欲しくなかったけど、子どもを持ててよかった」など、相反する感情の共存、価値観の共存。相反するものを抱えることは、不安定で不安かもしれません。でもそこから実際に、自分らしいいまと未来が生まれつつある事実は、これからのヒントになるかもしれないと感じます。
ロート製薬は今回の調査での気づきから、社会の大きな潮流を捉えることはもちろん、その中で生きるリアルな「ひとりひとり」を見つめ、自分らしい人生を生み出していく一助となることの大切さを再確認しました。これからもみなさんと一緒に考え、歩み続けていきたいと思います。

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