卵子は毎日減っている
卵巣が身体を守ってくれているのですね!
昔と比べて「生理の回数が増えたことが妊娠しやすさに悪影響を与える」というのは本当ですか?
塩谷 雅英 先生
そうですね。たとえば江戸時代頃は10代で結婚し、妊娠と出産、授乳を何度も経験していたため、排卵していない時期が長かったと言われています。
一方で現代は、晩婚化により排卵多き時代であることは間違いありません。実際、排卵回数が多いことで、女性ホルモンが過剰に分泌されることで、子宮内膜症、子宮筋腫など婦人病が増えてきています。
こういった婦人病も、妊孕性※(にんようせい)を低下させてしまう原因の1つですね。
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- 妊孕性(にんようせい)とは
妊娠するための力のこと。女性・男性両方に関わることで、卵子や精子、生殖器、内分泌の働きも含まれます。
病気のほかに、排卵数が増えたことによる卵子の数への影響はありますか?
塩谷 雅英 先生
排卵が多いから、卵子の数に悪影響があるかというと、そうではないのです。
患者さまのなかにも「排卵誘発させると卵子が早くなくなるのでは?」と心配される方がおられますが、実は、排卵される卵子より、毎日自然に減っていく卵子の数の方がはるかに多いのです。
排卵によって卵巣から出ていく卵子は、全く妊娠しなくても500個程度。実は生まれたときに持っている卵子は200万個位あるのが、50歳位になるとほとんどなくなっていき、閉経します。つまり、何もしなくても毎日数十個の卵子が消えているのです。