その頭痛、気象が原因!?ズキズキする、締め付けられる…。“天気頭痛”の正体とは

その頭痛、気象が原因!?ズキズキする、締め付けられる…。“天気頭痛”の正体とは

「季節の変わり目ですから、どうぞご自愛ください。」相手の身体を気遣う思いからよく使われる言葉です。
季節の変わり目に体調を崩しやすいのは寒暖差が理由ですが、なぜ寒暖差によって体調が悪くなるのか不思議な気がしませんか?

寒暖差をはじめ、天気や気圧、湿度など、気象の変化によって起こる不調は【気象病】だと考えられています。
その症状は実にさまざまで、頭痛やめまい、耳鳴り、関節痛、古傷の痛みなどが挙げられます。中でも多いのが頭痛。ズキズキと痛む、ぎゅーっと締め付けられるように痛む……。気象が影響して起こる、悩ましい頭痛。予防の方法や、頭痛が起こったときの対処法などを、お伝えします。

約60%が気象病の経験あり。雨の前に頭痛が起こる人も

ロート製薬が実施したアンケート結果

「気象の変化によって、頭痛などの不快症状を感じますか?」
ロート製薬が実施したアンケートでは、約60%の人が「経験がある」と回答しました。気象病の代表的な症状である頭痛に悩まされる人からは、「ズキーンという痛みが、ずっと続く」(49歳・女性)、「こめかみ、頭の後ろが痛む。吐き気もある」(46歳・女性)などの声が寄せられました。中には「雨が降る前から頭が痛くなる」とう声もあります。不調が起こる仕組みや気象変化による頭痛について、先生に漢方医学の視点から解説していただきます。

教えてくれたのは
大阪医科大学 健康科学クリニック 名誉所長
後山尚久先生

大阪医科大学 健康科学クリニック 名誉所長 後山尚久先生

大阪医科大学卒業。大阪医科大学産婦人科助教授、藍野学院短期大学教授などを経て、2020年より現職。漢方医学をベースに、女性のさまざまな悩みに応える。著書に『更年期 からだと心の変化で悩む人に』(NHK 出版)などがある

気象病の原因は、体調を正常に保つ働きが過剰になること

気象の変化によって、なぜ身体も変化するのか?
気象病が起こる理由は、ひと言で表すと“自律神経の失調”です。
自律神経は、体調を正常に保つために、呼吸、血液循環、消化、体温調整をはじめ、さまざまな機能をコントロールしている神経。
気温や気圧など気象全般の変化に、自律神経が敏感に反応して、鋭敏に動いてしまうことで起こるのです。
例えば、私たちは暑いと感じたときには汗をかき、冷えたときには、顔などがカーっと熱くなることがあります。それは、体温を調整しようとする自律神経の働き。暑さや寒さに身体を順応させるために、体温をコントロールしているのです。そのように、本来は身体を正常に保つために働くものなのですが、働きが過剰になってしまうことで気象病が起こります。

月経がある女性は、特に気象病になりやすい!

気象病の原因は、体調を正常に保つ働きが過剰になること

年齢や性別に関係なく気象病は起こりますが、特に悩まされているのは月経のある女性です。それは、ホルモンバランスの変化に対応するためにも自律神経が働いているからです。
月経周期はさまざまなホルモンで調整され、約1か月の間にそのバランスが変化しています。そのホルモンバランスの変化に、気象の変化が加わることで、自律神経の働きが過剰になってしまうのです。更年期の女性も、ホルモンバランスが乱れやすくなるため、気象病が起こりやすくなります。
また、その人の気質にも関係があると考えられます。小さなことが気になる人や、精神的なストレスを受けると、湿疹など身体に変化が現れる人も気象病になりやすいと言えます。

頭痛は梅雨に多くなる症状。血管がむくんだような状態に

気象病の症状の中でも最も多いのが頭痛です。どのように傷みが起こるかをお話しましょう。
漢方医学では、気象病の多くは【水毒(すいどく)】だと考えられています。水毒とは、汗やリンパ液など、体液の循環が悪くなった状態のこと。
頭痛は、血液に水分が溜まって血管が拡張し、神経を圧迫することで起こります。湿度が高く汗をかきにくくなる梅雨は、特に頭痛が起こりやすくなります。

気象の影響で起こる頭痛としては、まず片頭痛が挙げられます。ズキズキと脈打つように痛むのが特徴で、“片”頭痛という名前の通り、多くの場合が頭の片側だけに起こります(両側に起こることもあります)。
中には、緊張型頭痛が現れる人もいます。頭がぎゅーっと締めつけられるような痛みが特徴。ただ、この頭痛は血管が拡張して起こるものではなく、後頭部や首の後ろ側の筋肉が収縮することが原因。同じ頭痛でも、気圧の変化によって血管に影響を受ける人、筋肉に影響を受ける人がいるということ。それぞれの自律神経の“バランスの乱れ方”が違うのです。

“感じやすさ”を個性と捉えて、天気頭痛に対処を

頭痛をはじめとする不快な症状が、自分でコントロールできない気象によって起こるのが気象病の厄介なところ。治したいと誰もが願っているとは思いますが、残念ながら、気象病を根本から治すことはできません。自律神経の“感じやすさ”は、その人の持って生まれたものだからです。気象病は、自分の個性だと捉えて上手くつき合っていくことが大切です。
頭痛が起ったときの助けとなるものとして、【五苓散(ごれいさん)】という漢方薬が挙げられます。これは、体内の水分バランスを整えるもの。片頭痛にも緊張型頭痛にも効果があります。痛みが現れたときに服用するのはもちろん、『明日は雨が降る。頭が痛くなりそうだ』と感じたときに、服用することもできます。
また市販の鎮痛薬も、気象頭痛の改善に効果があります。

痛みなど、不快な症状を出さないための予防法は

気象病は、根本から治すことは難しいのですが、不快な症状を出にくくすることはできます。
気象病は【水毒】状態ですから、普段から余分な水分を溜め込まない身体を作っておくこと。運動を習慣にして、汗をかける身体を作っておくのも予防方法のひとつです。激しい運動でなく、じわっと汗をかける軽い運動でOK。しっかりストレッチをする、少し早く歩くなどで“溜め込みにくい”状態にしておきましょう。
また、運動を習慣にすることで、気象変化というストレスに対応しやすくなるとも言えます。運動は、体温が上昇するなどの変化が起こりますから身体にとってはストレスがかかっている状態。ストレスに慣れておけば、自律神経が過度に働くことが少なくなると考えられます。
漢方医学では、不調を出さないために睡眠と食養生も必要だと言われています。ぐっすり眠る、栄養バランスの整った食事を摂ることも心がけましょう。

気象病と上手につき合っていきましょう

“感じやすさ”は個性。雨天を事前にわかることもひとつの才能。
長年多くの患者さんを診てきて、そう感じています。明日から雨が降るとわかれば、自分に合った対処法を考えることもできます。辛い症状を出さないよう予防に取り組みながら、気象病と上手につき合っていきましょう。

出典元:太陽笑顔fufufu

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