「口内炎」の原因・症状を解説

<知っておきたい>「口内炎」の正しい知識 (1)「口内炎」の原因・症状を解説

口内炎と一口にいっても、原因や症状は多岐にわたります。ときには、重大な病気の全身症状のひとつとして口内炎が発生するケースもあるため、正しい知識をおさえておくことが大切です。口内炎の一般的な原因や症状について、歯科医監修のもと解説します。

口内炎とは

口内炎とは

口内炎とは、頬や唇、上あごの内側(口蓋)、舌、舌の下(口腔底)、歯肉など、口の中の粘膜に生じる炎症です。症状が現れる範囲が限られている場合、生じた部位に合わせて、「歯肉炎」、「舌炎」、「口唇炎」、「口角炎」と呼ぶことがあります。
口内炎は、主に次のような症状がみられます。

症状
  • 粘膜が赤くなる(発赤)
  • 腫れる(腫脹)
  • 白くなる(白斑)
  • 粘膜の表面が硬くなる(硬結)
  • ただれる(びらん)
  • 粘膜の表面がはがれる、えぐれる(潰瘍)
  • 水ぶくれができる(水疱)など
口内炎の原因

口内炎の原因

口内炎の原因は多岐にわたりますが、局所的な原因、全身的な原因、そして原因不明なものに大きく分けられます。

原因

局所的な原因

  • 外傷(虫歯で欠けた歯や歯石、尖った歯、詰め物によるもの、ブラッシングによるもの、口の中を噛んだことによるものなど)
  • 温度刺激
  • 薬剤などの化学的な刺激
  • 細菌(結核、梅毒、淋菌感染症など)、真菌(いわゆるカビ、カンジダ)、ウイルス(単純ヘルペス、コックサッキー、エンテロ、麻疹、水痘)などの感染症
  • アレルギー(詰め物、かぶせ物、義歯の金属や材料など)など

全身的な原因

  • 体力の低下(抵抗力の低下)
  • ストレス
  • ビタミンB群や葉酸、鉄分などの不足による栄養障害
  • 全身的な病気(血液疾患:AIDS/HIV感染症、貧血など、自己免疫疾患:全身性エリテマトーデス、天疱瘡、類天疱瘡など)
  • 放射線治療 など

原因不明

  • ベーチェット病、クローン病、扁平苔癬 など
※「口内炎の病因」は文献「稲木勝英、渋谷 清:口内炎の局所療法. JOHN,15:649-654,1999」から引用・改変しています。
※口内炎は感染症として生じる原因の明らかなものもあれば、不明なものも多くあります。口内炎を発症する仕組みのすべてが明らかになっているわけではありません。

口内炎になりやすい人

高齢者や乳幼児、ドライマウスの方は口内炎を生じやすいことがあります。また、上記のような局所的な原因や全身的な原因をもつ場合もなりやすいでしょう。

口内炎の主な種類と症状

口内炎の主な種類と症状

口内炎は原因や症状、部位などによっていくつかの種類に分けられます。臨床症状から、次の代表的な4つの種類があげられます。

種類
  • アフタ性口内炎

    最もよくみられる口内炎です。境目がはっきりした丸い形の潰瘍(アフタ)ができ、周囲が赤くなります。表面は白っぽい、あるいは黄色っぽい膜で覆われていて、触れるとかなり痛みます。同じ部位や、違う部位でも同じような症状をともなってくり返し発症するものを、「再発性アフタ性口内炎」と呼びます。
    はっきりした原因はわかっていませんが、粘膜の損傷のほか、栄養不足や抵抗力の低下などに関連して発症すると考えられています。

  • カタル性口内炎

    口の中の粘膜に赤い腫れ、浮腫を生じます。焼けるようなヒリヒリとした痛み(灼熱感)を感じたり、口臭が生じたりすることもあります。口腔清掃が十分でなく、不潔な口腔内で細菌が増殖しているような場合、入れ歯や矯正器具などの刺激、熱い食べ物によって生じたヤケドなどが原因で起こるとされています。辛いものや酸っぱいものを食べると痛みが出ます。

  • カンジダ性口内炎

    「カンジダ」という真菌(カビの一種)の過剰な増殖により生じ、ぬぐうと取れます。白いコケ状のものが粘膜に付着している場合(偽膜性)と、白いコケ状のものがなく、粘膜が赤みを帯びている場合(萎縮性)があります。カンジダはもともと皮膚や口の中にいる常在菌であり、抵抗力が落ちることで症状が現れます。抗がん剤や放射線による治療を受けている人、高齢者・乳幼児、AIDS/HIVに感染している人などによく発生します。

  • ヘルペス性口内炎

    「単純ヘルペスウイルス」に感染して起こります。とくに乳幼児において発症しやすく、口の中に水ぶくれや歯茎の腫れを生じ、高熱をともないます。激しい痛みが出るので食事や水分の摂取が難しくなり、脱水症状を起こすこともあります。単純ヘルペスウイルスは体内に残るため、大人になってから抵抗力が落ちたときなどに症状が出ることもありますが、乳幼児に比べて軽症です。
    このほか、症状の違いから、「壊疽性口内炎(水がん)」、「潰瘍性口内炎」、「びらん性口内炎」などと分類されることもあります。

口内炎と似ている/関連している病気

口内炎と似ている/関連している病気

口内炎と似ている病気や、口内炎と関連のある病気の知識をおさえておくことで、適切な治療につなげましょう。

似ている病気

口内炎と似ている病気として、次のようなものがあげられます。

  • 舌がん

    口の中に生じるがん(口腔がん)のなかで最も頻度が高く、多くが「舌の縁」に生じます。喫煙やアルコールの摂取、合わない義歯、虫歯などによる持続的な刺激が原因となると指摘されています。口内炎と似た症状が現れますが、口内炎とは異なり、2週間以上経っても軽快しません。一般的にがん性のものは、形が不整形、掘れが深い、表面が汚いなどの症状を呈することが多くなります。

  • 歯肉がん

    舌がんの次に多い口腔がんで、歯肉に発生します。初期は、歯がぐらつく、歯肉から出血するなど歯周病に似た症状が現れます。舌がんと同じく、症状が長引く場合は注意が必要です。歯肉がんに似たものでは、エプーリス(歯肉腫)と呼ばれる、歯肉が炎症性に腫れてくる増殖性の病気もあります。

関連している病気

全身症状のひとつとして、口内炎を生じる病気もあります。

  • ベーチェット病

    口腔粘膜のアフタは必発かつ初発症状のひとつで、再発性なのに対し、ベーチェット病は、一時的な症状の軽減と再発を繰り返す全身性炎症疾患です。他の主症状として、皮膚や目の症状のほか、外陰部潰瘍や関節症状を生じますので、口の中以外の症状も確認することが大切です。

  • シェーグレン症候群

    唾液、涙などの減少によるドライアイやドライマウスといった乾燥症状、唾液腺の腫れ、息切れ、発熱、関節痛など、全身にさまざまな症状が現れます。口腔乾燥に起因する合併症として口内炎が生じることが多い自己免疫疾患です。

  • 全身性エリテマトーデス

    若い女性によく発生し、発熱や倦怠感、関節炎、鼻の周囲に蝶の羽が広がったような特徴的な赤い発疹(蝶形紅斑)、脱毛、臓器障害とあわせて無痛性の口内炎が生じることがあります。自覚症状がないため、口内炎ができたことに気づかないケースもみられますが、痛みをともなうこともあります。

  • AIDS/HIV感染症

    HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染して起こる病気。発熱やのどの痛み、倦怠感など、風邪に似た症状が感染初期(急性期)に現れることがあります。口内炎を含む口腔病変は、初期症状の40~50%を占めるといわれています。最も多いのは、カンジダ性口内炎で、口腔病変の半数を占めます。

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島袋 善夫先生
監修:しまぶくろ歯科医院副院長/大阪大学歯学部臨床教授 島袋善夫先生
大阪大学歯学部卒業後、大阪大学歯学部附属病院医員、スイスベルン大学客員研究員、大阪大学歯学部附属病院口腔治療・歯周科副科長、大阪大学大学院歯学研究科、口腔分子免疫制御学講座准教授などを経て現職。博士(歯学)、日本歯科保存学会指導医・認定医・評議員、日本歯周病学会認定歯周病専門医・認定医・評議員、衛生工学管理者、第一種衛生管理者。

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