<知っておきたい>「歯槽膿漏(歯周炎)」の正しい知識 (3)歯槽膿漏(歯周炎)を予防・抑える方法 歯槽膿漏の予防法 正しい歯みがきを覚えよう 歯槽膿漏の治療(改善)方法 歯槽膿漏の悪化(重症化)には要注意 歯槽膿漏(歯周炎)は発症してもよくある症状として見逃されやすく、痛みや違和感が出てくる頃にはかなり病状が進行してしまっていることもあります。そのため、つらい症状が出てから対処するよりも、予防が大切だといわれています。どのような方法が予防に効果的なのか、歯科医監修のもと、くわしくご紹介します。 歯槽膿漏の予防法 歯槽膿漏を予防するには、どんなことを心がければよいのでしょうか?ここでは、歯槽膿漏を予防するための一般的な方法をお伝えします。 正しい歯みがき、うがいを習慣にする 歯槽膿漏を予防するためには、なによりも正しい歯みがきの方法を習慣づけることが大切。食後に歯みがきをする時間が取れないときには、口をゆすぐだけでも何もしないより効果的です。 デンタルフロス&歯間ブラシを使う 歯ブラシだけでは、歯と歯の隙間に食べカスや歯垢が残っている可能性があるので、歯みがきの際には、デンタルフロスや歯間ブラシを一緒に使いましょう。例えば、歯と歯の隙間があまりない人はデンタルフロス、隙間がある人は歯間ブラシと使いわけると磨きやすくなります。 歯石がある人は、歯科で定期的に除去してもらう 歯石がある場合には、歯科で取りのぞいてもらってください。歯石は歯周病菌を増やす原因となるため、放置しないようにします。 定期的に歯のクリーニングや検診を受ける 3か月に一回は歯科に通い、定期的な歯のクリーニングや検診を受けましょう。もし歯石があれば除去できますし、歯周病を発症していたとしても、そこまで悪化していないタイミングで治療を始められます。 歯列矯正をする 歯に隙間がある、歯ならびが悪いなどの場合、食べ残しが歯の隙間に詰まりやすく、歯槽膿漏になりやすい状態といえます。歯列矯正をすることで、歯周病菌が繁殖するリスクを減らせます。 禁煙する 喫煙をしている人は、そうでない人に比べて歯周病になりやすいというデータがあります。喫煙をしていると、歯茎を含めた全身の免疫機能も低下してしまうため、菌が繁殖しやすくなるのです。 正しい歯みがきを覚えよう “歯みがき”という言葉から、歯だけを磨けばいいと考えている人が多いかもしれませんが、それは誤解です。歯周病を防ぐためには、歯と歯肉の境目に45度くらいの角度で歯ブラシを当てて磨くことで効果的な歯垢(プラーク)の除去ができます。ちなみに、この磨き方を「バス法」といいます。 正しい歯みがきの方法 1~2本ずつ、丁寧に磨く 歯ブラシを横に大きく動かしてしまうと、磨き残しが多くなる原因に。ブラシの頭を小刻みに動かしながら、1~2本ずつ時間をかけて磨きます。 軽い力で動かす 歯を磨くとき、力を入れすぎないようにしましょう。歯ブラシにかける力は150g~200g程度、ブラシの毛先が広がってしまわないくらいの力加減がちょうどいい強さになります。 歯と歯茎の境目を磨く 歯と歯茎の境目に、歯ブラシを45度に傾けた状態で当てて磨きます。隙間の汚れや歯垢をかき出すイメージで、一本ずつ細かくブラシを動かしましょう。 食事の直後は口のなかが酸性になっているため、食事を終えてしばらくたってから歯みがきをするほうがいい、という説もあるようです。1日3回、食事の後には、口腔内を清潔にするという意味で歯みがきをする習慣をつくりましょう。 歯槽膿漏の治療(改善)方法 歯槽膿漏(歯周炎)が悪化した場合には、歯科で専門的な治療をしないと改善できません。ここでは歯科での治療方法について、説明します。 スケーリング 専用の器具で、歯石を除去します。 外科治療(フラップオペレーション) 歯周ポケットが深くなり、スケーリングで歯石が取りきれない場合に、歯肉を切開して歯石を除去します。 歯周組織再生療法(エムドゲイン) 生体内に存在し、細胞の増殖や分化の調節を行っているbFGF(タンパク質の一種)を歯茎に注入し、歯周組織の再生を目指します。これまで歯周組織の再生治療は手術が大がかりで難しく、費用もかかるものでしたが、新しい技術が生まれたことで保険も適用され再生療法が選択しやすくなってきました。 骨移植 歯周病が重症化して溶けてしまった顎の骨に、他部分から採取した自分の骨や、人工の骨を移植する治療法です。 歯槽膿漏の悪化(重症化)には要注意 最後に、早い段階で歯槽膿漏に気づき、悪化させないための方法をお伝えします。歯槽膿漏は症状が軽ければ治癒も早く、完治させることができるため、歯みがき時の出血くらいと甘くみずに、できるだけ早いタイミングで歯科での診察を受けるようにしましょう。 歯槽膿漏が悪化するケース 歯みがきをしないと歯垢がたまり歯槽膿漏(歯周炎)の悪化原因をつくってしまうことになります。歯茎から出血があるとびっくりして歯みがきをやめてしまう人もいますが、歯槽膿漏の場合には多少の出血があっても歯茎のブラッシングは必ず続けてください。最初は歯肉が腫れて出血があっても、磨いているうちに腫れが治り、出血も落ち着く場合が多いです。 悪化した場合には、必ず歯科の受診を 悪化した歯槽膿漏(歯周炎)にも治療法が存在します。近年では歯周組織の再生を誘導する方法もありますが、歯周病菌によって溶けて失ってしまった骨を100%再生できるとは限りません。予防のためにとにかく正しく歯を磨くこと、歯槽膿漏の症状がなかなか治らない場合には早急に歯科で治療を受けることが大切です。 「もしかしたら歯槽膿漏かな?」と感じたら、一度検診を兼ねて歯科医院での相談をおすすめします。歯の磨き方について説明を受けることは、歯槽膿漏の予防だけでなく、生涯にわたり自分の歯を残すことにもつながります。 監修:sara歯科クリニック野方院長 小林 将人先生 1998年日本歯科大学新潟生命歯学部卒。日本口腔インプラント学会、日本顎咬合学会会員、日本歯科審美学会会員。品川区、港区にて最先端の歯科治療を行うクリニックで院長を務めたのち、sara歯科クリニック野方を開業。 正しい情報を掲載するよう注意しておりますが、誤った情報があればご指摘ください 医療情報に関するご指摘はこちら からだの気になる症状別ガイド一覧へ戻る