「角化症」の原因・症状を解説

<知っておきたい>「角化症」の正しい知識(1)「角化症」の原因・症状を解説

かかとやひじにひざ。よくみると厚く、硬くなっていませんか。足の裏に「うおのめ」や「たこ」はできていませんか。この皮膚が厚くなり硬くなる症状が「角化症」で、乾燥が進んでひび割れることもあります。そもそも角化症にどうしてなるのでしょうか。皮膚科医監修のもと、くわしくご紹介します。

角化症について

角化症について

皮膚が厚く硬くなり、ガサガサ肌に悩む角化症。まずは、角化症について用語解説します。

角化症とは

角化症は、皮膚の角質層が厚く硬くなる疾患のことです。数ある皮膚の病気の中でも皮膚が硬くなっていく症状をまとめて角化症と呼びます。皮膚が硬くなる原因はさまざまで、先天的な遺伝性によるものと、外部からの刺激によって引き起こされる後天性のものとがあります。

角化症の種類と症状

角化症の種類と症状

原因が多岐にわたる「角化症」。その種類とそれぞれの症状について解説していきます。

解説
  • 扁平苔癬

    かゆみを伴う炎症が起こる皮膚疾患です。多角形もしくは地図状の紫色から赤色の皮膚の盛り上がりがみられます。ただれやかさぶたなどを伴うこともあります。前腕や手首、足首などに生じることが多いですが、唇や口の中、また性器周辺に生じることもあります。ほかにも爪が変形したりはがれ落ちてしまったりすることもあります。

  • 尋常性乾癬

    乾癬は代表的な炎症性角化症のひとつです。銀白色で皮膚に粉がふいたような状態がみられ、直径1センチから数センチの大きさで赤みを帯びています。尋常性乾癬では、乾癬特有の症状が全身にあらわれ、ブツブツした発疹がみられます。自覚症状はないこともありますが、かゆみを伴うこともあります。
    頭・肘・膝・お尻などの刺激を受けやすい場所にみられ、肥満体型の方は肘や膝など皮膚がこすれて摩擦を受ける場所に症状がみられます。また、爪が変形したり、凹んだりする症状も高頻度でみられます。

  • 掌蹠角化症

    手のひらと足の裏の角質が厚くなる皮膚疾患です。先天性と後天性の両方があります。先天性か後天性かは、皮膚症状,他臓器症状,家族歴,遺伝子変異などを参考にして区別されますが、通常は小児期までに発症していれば先天性、成人発症であれば後天性と考えられます。
    皮膚の一部分だけが分厚くなるものがある一方で、皮膚全体が均質に分厚くなるものもあります。紅斑、手足のにおい、カビの繁殖などもみられることがあります。

  • 汗孔角化症

    皮膚の角化異常によって生じる疾患のひとつです。四肢や体幹、顔面に、患部の周りをふちどるように角質の隆起がみられます。角質の隆起は次第に拡大していきますが、かゆみや痛みなどの症状を伴わないため、自覚症状がないケースも少なくありません。慢性的に進行し、自然治癒はまれだとされています。完治が難しい病気と考えられており、皮膚がんが生じる場合もあるため、専門医による治療が必要とされます。

  • 毛孔性苔癬

    二の腕や太ももの外側、お尻などにブツブツ・ザラザラした皮膚の隆起ができる疾患です。隆起は通常は皮膚の色をしていますが、赤みをおびる場合もあります。小児から思春期にみられることが多く、疾患にかかる年齢や特徴からニキビに間違えられることも少なくありません。痛みやかゆみなどはほとんどなく、年齢とともに消えることが多い疾患です。

角化症の主な原因

角化症の主な原因

次に、角化症の主な原因について解説します。角化症の原因を事前に理解しておきましょう。

原因

角化症の原因と仕組み

  • 扁平苔癬

    表皮と真皮の細胞に障害を与える反応が起こり、紅斑や丘疹ができると考えられています。炎症の原因は不明ですが、降圧薬や脳循環改善薬などの薬剤、C型肝炎、カラーフィルム現像液などの化学薬品、歯科金属などの金属アレルギーによって起こることがあると言われています。

  • 尋常性乾癬

    乾癬の発症には、遺伝的要因、外的要因、免疫学的要因の3つが考えられています。

    遺伝的要因
    乾癬は家族内発症の割合が高く、遺伝的な要因が発症に関与していると考えられています。
    外的要因
    物理的刺激(外傷や日光皮膚炎など)、感染症(レンサ球菌など)、薬剤(リチウム製剤、β遮断薬、カルシウム拮抗薬など)が原因と考えられています。
    免疫学的要因
    免疫系の異常でサイトカインなどの伝達物質が炎症をひき起こし、角化(表皮細胞の分裂)が正常にできなくなると考えられています。
  • 掌蹠角化症

    先天性のものは、さまざまな遺伝子異常が関連していることが知られています。どのような遺伝子異常が原因となっているか判明しているものもあれば、明らかになっていないものもあります。また、家族歴(近親者でその病気にかかったことがある人がいること)がない状態で突然発症することもあります。
    後天性のものは、悪性疾患が原因となり発症することがあります。発症をきっかけに内臓に隠れているがんが発見されることもあります。また、中年期以降の女性が発症する更年期角化症や、ほかにも薬剤、感染症などが原因の場合もあります。

  • 汗孔角化症

    遺伝性疾患ですが、どの遺伝子異常が原因となっているかは明らかになっていません。家族歴がなく発症するケースも多くみられます。ほかにも、紫外線、外傷、免疫抑制状態などが知られています。病名には「汗孔」とありますが、発症する部位は汗孔とは限りません。

  • 毛孔性苔癬

    ターンオーバーの異常が原因と考えられています。毛穴に角質が過剰にたまることで、毛穴周りの角質が厚くなり、毛穴をふさいでしまうため、角栓の先端が突き出した状態がブツブツとなって皮膚表面にあらわれます。ほかには遺伝によるものとする説もありますが、まだはっきりと解明されていません。

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鈴木 明子先生
監修:藤田医科大学病院 皮膚科 鈴木明子先生
帝京大学医学部卒業後、同大皮膚科、順天堂大学浦安病院皮膚科を経て、2015年から現職。日本皮膚科学会専門医。

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