「角化症」の予防法・対処法を解説

<知っておきたい>「角化症」の正しい知識(2)「角化症」の予防法・対処法を解説

皮膚が厚くなり硬くなる疾患「角化症」。原因は先天性のものから後天性のものまでさまざまで、その対処法も症状により異なります。角化症を事前に防ぐことはできるのでしょうか。またもし症状に気づいたらどのように対処すればよいのでしょうか。皮膚科医監修のもと、くわしくご紹介します。

角化症の予防法

角化症の予防法

角化症を事前に防ぐことはできるのでしょうか。まずは、角化症の予防法について解説していきます。

  1. 紫外線対策をする
    紫外線を浴びすぎると肌のターンオーバーが乱れ、毛穴がつまりやすくなります。また、紫外線によって異常細胞が発症するケースもあります。紫外線ケアは普段からしっかりとこまめに行いましょう。日焼けすると、お肌の乾燥も強くなるので、紫外線を浴びてしまったら保湿ケアも忘れないようにしましょう。
  2. 保湿をする
    角質層内の水分不足を防ぐために、クリームを塗って水分や油分の補給を心がけましょう。皮膚をやわらかくし、水分と油分を補給できる尿素や、血行を促進するビタミンEなどを配合したクリームなどを選ぶのがおすすめです。クリームで保湿した後、ラップを使ったパックや蒸しタオルで温めると、クリームが皮膚に浸透しやすくなるため、さらに保湿力を高めることができます。
    入浴後は皮膚が乾燥しやすいので素早く保湿することがポイントです。乾燥がひどい場合は、肌状態を選ばずに使えるワセリンをお風呂から出てすぐ体を拭く前に塗り込むと、保湿効果が高まります。空気が乾燥する季節には、お肌の水分量も低下して角質化しやすいので、加湿器も取り入れると良いでしょう。
  3. 規則正しい生活
    外食やコンビニ弁当などの食生活が続くと、糖分や塩分、脂肪分の摂りすぎにつながります。胃腸にダメージが加わると、栄養素を体に取り込むことが難しくなり、老廃物もたまりやすくなります。ほかにも、ストレスや運動不足なども肌のターンオーバーの乱れにつながります。バランスの良い食事で胃腸に負担をかけずに規則正しい生活を心がけることも大切です。
角化症の対処法

角化症の対処法

「角化症」になったときはどのように対処すればいいのでしょうか。角化症の対処法について解説していきます。

  • 扁平苔癬

    医師の診断を受け、適切な治療を受けるようにしましょう。治療の基本は原因や悪化因子を除くことと、副腎皮質ステロイドの外用療法です。痛みに対して、非ステロイド抗炎症薬、かゆみに対して、抗ヒスタミン薬の内服が使用される場合もあります。
    発症を引き起こす原因とされるものの除去も大切です。たとえば、C型肝炎ウイルスが原因と考えられる場合は、抗ウイルス薬の使用を検討します。金属アレルギーが原因と考えられる場合は、歯の詰め物などの金属の除去を検討します。薬剤が原因と思われる場合は、原因薬剤の中止や変更を行います。

  • 尋常性乾癬

    医師の診断を受け、適切な治療を受けるようにしましょう。症状に応じて、薬物療法や紫外線療法が行われます。

    薬物療法
    通常は外用薬(塗り薬)からスタートし、ステロイド外用薬や活性型ビタミンD3外用薬が使用されます。また、ビタミンA誘導体や免疫抑制剤などの内服薬が使用されます。
    紫外線療法
    外用療法と併行して行います。紫外線には免疫の働きを抑える作用があり、それを利用した治療法となります。紫外線を出すランプを症状に応じて全身、または皮疹に照射します。
    生物学的製剤
    症状が重度の場合、生物学的製剤が使用される場合があります。生物学的製剤はタンパク質をもとに作られた薬で、体の免疫機能に関わる「サイトカイン」の働きを弱める薬です。皮下注射や点滴で投与され、日本皮膚科学会で定めた病院でのみ治療を受けることができます。
  • 掌蹠角化症

    歯周病、心筋症などの他臓器の障害を合併するケースもあるため、皮膚科専門医による診察が必須です。医師の診断を受け、適切な治療を受けるようにしましょう。
    先天性掌蹠角化症は、年齢とともに徐々に症状が悪化することが多く、自然治癒は期待できません。一方、後天性掌蹠角化症は原因の除去や原疾患の治療により改善が期待できます。治療には外用薬(サリチル酸ワセリン、尿素、活性型ビタミンD3、ヘパリン類似物質など)が使用されます。

  • 汗孔角化症

    自然に治癒するのは難しく、慢性的に進行するため、医師の診断を受け、適切な治療を受けるようにしましょう。

    外科的な切除
    外科的な切除は、病変部が限局する場合に行われます。また、切除のほかにも、液体窒素を用いた凍結療法や、炭酸ガスレーザーを使った治療を行う場合もあります。
    薬物を用いた治療法
    症状が多発している場合に選択されることが多いです。主に、外用薬では「サリチル酸ワセリン」や「尿素軟膏」、「活性型ビタミンD3軟膏」、内服薬では「レチノイド内服薬」が使用されます。皮膚がんに移行した例では、手術の治療が必要です。
  • 毛孔性角化症

    市販薬を使って自宅でケアする場合は、厚くなった角質を柔らかくして取り除き、保湿効果のある尿素入りのクリームが有効とされていて、処方箋なしで購入できるものが市販されています。強くこすったり、つぶしたりすると、細菌が入って炎症を起こしシミになったりする場合があるので注意が必要です。また肌が乾燥すると角化が進んで悪化してしまうので、保湿ケアも大切です。
    年齢とともに消えることが多い疾患ですが、どうしても気になる場合や悪化してしまった場合は、皮膚科を受診して適切な治療を受けましょう。皮膚科では、サリチル酸ワセリン軟膏や尿素が配合されたクリームや軟膏、ヘパリン類似物質を含有するクリームが処方されることが一般的です。

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鈴木 明子先生
監修:藤田医科大学病院 皮膚科 鈴木明子先生
帝京大学医学部卒業後、同大皮膚科、順天堂大学浦安病院皮膚科を経て、2015年から現職。日本皮膚科学会専門医。

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