よくあるかゆみ(痒み)に備えよう (2)【部位別】皮膚のかゆみ(痒み)で見られる症状・種類 全身に現れるかゆみ 頭皮や顔に現れるかゆみ 手・足に現れるかゆみ デリケートゾーン(陰部)に現れるかゆみ 赤ちゃん、子供に起こりやすいかゆみの種類 妊娠中に起こりやすいかゆみの種類 かゆみを伴う皮膚疾患には多数の種類があり、かゆみが現れる部位やかゆみと合わせて生じる症状もそれぞれ。かゆみ治療においては、まずは悩みの種となっているかゆみの種類や症状を把握することが大切です。身体の部位ごとにかゆみを伴う皮膚疾患の特徴や症状を解説していきます。 全身に現れるかゆみ かゆみには部位を問わず、全身に現れるものがあります。全身に現れる主なかゆみの種類を解説します。 かぶれ/接触性皮膚炎 何らかの物質が皮膚に直接触れたことによって、かゆみや赤みを伴う炎症が起きることを指します。かぶれの原因になる可能性のあるものとしては、化粧水やヘアケア製品に含まれる成分や界面活性剤、アクセサリーなどの金属製品、うるしなどの植物や動物などが挙げられ、原因は多岐にわたります。接触性皮膚炎皮膚炎には、原因物質による刺激が原因の一次刺激性接触性皮膚炎と、原因物質によるアレルギー反応によるアレルギー性接触性皮膚炎があります。 蕁麻疹(じんましん) 皮膚の一部に、強いかゆみを伴う紅斑(こうはん)や盛り上がった膨疹(ぼうしん)が現れ、しばらくすると跡形もなく消えてしまうことが特徴です。数時間以内に治まることが多いですが、中には半日から2~3日くらい続くものもあります。強いかゆみに耐えきれず掻いてしまうと、症状が悪化したり掻いた跡が残ったりすることがあるので注意しましょう。症状が1か月で治まるものを急性じんましん、それ以上のものは慢性じんましんと言われます。 あせも/汗疹 エクリン汗腺からの汗の分泌量が急激に増えることと、汗口周囲の表皮が肥厚して汗の出口がふさがることで、汗腺や汗管内に汗がたまり、水泡状のあせもができて、かゆみや炎症反応(赤い発疹など)が起きます。 虫刺され 蚊・ブヨ・ノミ・ダニ・ハチなどの虫に刺されたり咬まれたりした時に、虫が持っている物質によりアレルギー反応が起きることで、かゆみや炎症(赤み・腫れ)が起きます。 皮膚掻痒症(ひふそうようしょう) 皮膚に赤みや湿疹などの目立った異常がみられないにも関わらず、かゆみが出るものを皮膚掻痒症と呼びます。皮膚の乾燥を伴うことが多く、全身性疾患や内臓疾患が原因となる場合もありますが、高齢者では特別な疾患がなくてもかゆみが起こることがあります。 薬物性肝障害 服用した薬の副作用などにより肝臓の機能が障害されると、皮膚にかゆみを生じることがあります。かゆみの他にも赤み、発疹などの皮膚症状や倦怠感や発熱、黄疸などの全身症状、食欲不振や吐き気、腹痛などの消化器症状が現れる場合があり、これらの症状が急に出現したり、持続したりします。 乾癬(かんせん) 皮膚の赤みの上に層状に鱗のようなものが重なり、掻くとポロポロとはがれ落ちます。慢性になりやすい皮膚疾患で、かゆみの程度は乾癬の症状によりさまざまです。 疥癬(かいせん) ダニの一種であるヒゼンダニが皮膚に寄生することで起こります。小さな水疱や丘疹ができ、多くの場合は強いかゆみを伴います。 頭皮や顔に現れるかゆみ 身体に現れるかゆみの中でも、頭皮や顔に現れやすい症状について解説します。 乾燥性皮膚炎 皮膚の乾燥が進むことによって、かゆみを伴う赤みや湿疹、水ぶくれが現れます。秋から冬にかけて、空気が乾燥する季節に悪化しやすくなります。 脂漏性皮膚炎 分泌した皮脂が刺激となって起こる皮膚炎で、頭部や顔に赤みや発疹が現れ、フケ状に粉をふいた状態になることが特徴です。皮脂の分泌の多い部位に現れやすく、頭部や顔のほか、脇の下などにも見られることがあります。頭部ではかゆみを伴うことが多いようですが、必ずしもかゆみを伴うわけではありません。 手・足に現れるかゆみ かゆみの種類には、手や足に現れる特徴を持つものもあります。手や足に現れやすい症状を解説します。 手湿疹 手にできた湿疹の症状の総称で、接触性皮膚炎のことを指します。手や指の皮膚に、赤みや小さなぶつぶつ、水ぶくれ、ボロボロと皮膚が剥がれ落ちるなどの症状が現れます。皮膚を保護する皮脂膜が、頻回の手洗いや洗剤の使用などにより失われ、バリア機能が低下した状態の皮膚に刺激が加わることで起きます。主婦など水仕事を頻繁に行う人によく見られるため、主婦湿疹と呼ばれることもあります。よう手を使う調理師や美容師などにも多い症状です。 乾皮症/皮脂欠乏症 老化などの理由で皮膚のバリア機能や皮脂分泌が低下し、皮膚の水分が減少することによって皮膚の乾燥を生じます。高齢者の手足、背部、ひざ下などに見られ、フケ状の皮膚がはがれ落ちたり、ひび割れたりします。かゆみを伴うため、掻くことで悪化して湿疹になる場合もあります。また、秋から冬にかけての空気が乾燥する季節に悪化しやすくなります。 水虫/白癬(はくせん) カビの一種である白癬菌が皮膚に感染し、かゆみや水ぶくれなどが現れます。身体のさまざまな部位に感染する可能性がありますが、代表的なものは足に現れる白癬で、一般的に水虫とも呼ばれています。白癬菌は高温多湿な環境を好むため、通気性の悪い靴を長時間履くなどして、足がむれた状態が続くと感染しやすくなります。 あかぎれ 冬の寒い時期などに皮膚が乾燥し、皮膚の表面に小さな亀裂を生じるとひびや、炎症や出欠を伴うあかぎれを引き起こすことがあります。あかぎれは、かゆみや痛みを伴うこともあります。 しもやけ 寒さなどによる血行不良が原因で起こり、かゆみや痛みを伴った赤い発疹や腫れが生じます。冬の時期に見られ、手や足などの血液が末梢に届きにくい部位に多く発生します。 デリケートゾーン(陰部)に現れるかゆみ デリケートゾーン(陰部)に現れるかゆみにも、さまざまな種類が考えられます。 性器カンジダ症 ほとんどの場合は女性に見られ、腟内の常在菌のひとつであるカンジダが異常増殖することによって、外陰部の強いかゆみ、白色のチーズ状・酒かす状のおりもの増加が現れます。ストレスや疲労などで免疫力が落ちている時に起こりやすく、そのほかホルモンバランスの変化や、抗生物質による常在菌のバランスの変化、蒸れによる高温多湿なども原因になります。 トリコモナス腟炎 腟トリコモナス原虫の寄生によって起こる腟炎で、10日前後の潜伏期間で症状が現れますが、およそ50%の人には症状が現れないといわれています。症状としては、悪臭の強い飛沫状のおりもの、外陰部の強いかゆみ、ピリピリとした刺激感などが挙げられます。主な感染経路は性行為によるもので、そのほか衣類やタオル、浴槽などを介しての感染する場合もあります。 尖圭コンジローマ 皮膚や粘膜にある小さな傷にHPV(ヒトパピローマウイルス)ウイルスが接触することによって感染し、性器や肛門のまわりにイボができます。自覚症状がほとんどないと言われていますが、人によっては痛みやかゆみを感じることもあります。 肛門掻痒症 肛門とその周辺部にかゆみが生じている状態を、肛門掻痒症と呼びます。入浴や就寝後などに体が温まると、かゆみが強くなる傾向があります。原因にはさまざまなものがあり、痔や肛門ポリープ、直腸脱、便秘や下痢、ストレスなどの精神的な要因によって起きる場合もあります。また、肛門やその周辺部に付着した便や汗が原因となる場合もある一方、ウォシュレット洗浄などを使って過度に洗浄することも、皮膚のバリア機能を低下させ、かゆみの原因となる場合があります。 赤ちゃん、子供に起こりやすいかゆみの種類 デリケートな赤ちゃんの肌はトラブルを起こしやすく、乳児期特有に見られる湿疹を総称して乳児湿疹と呼びます。かゆみを伴う乳児湿疹の種類について見ていきましょう。 乳児脂漏性湿疹 新生児期から乳幼児期初期に見られる乳児湿疹で、過剰な皮脂分泌が原因となり、顔や頭皮にかゆみを伴う湿疹が現れます。症状が進行すると、かさぶたができます。 あせも 乳幼児や小児に多いとされていますが、成人にも発症します。乳幼児では、紅色汗疹と呼ばれる赤い発疹が見られることが多く、かゆみや痛みなどが生じます。水晶様汗疹は、小さな白い水疱が体幹、四肢を中心に見られることが多く、かゆみは少ないのが特徴です。 おむつかぶれ おむつの蒸れや肌との摩擦によって炎症が起き、おむつで覆われている部位が赤くなったり、湿疹が現れたりします。かゆみや痛みを伴い、症状が悪化するとただれたり血がにじんだりすることもあります。 妊娠中に起こりやすいかゆみの種類 妊娠中に起こるさまざまな不快症状をマイナートラブルと呼びますが、マイナートラブルの中にはかゆみの症状が含まれます。 妊娠性皮膚掻痒症 全身にムズムズするようなかゆみを感じますが、皮膚の表面に発疹などはなく、見た目には病変が認められないことが特徴です。妊婦中はホルモンバランスが乱れ、肌が乾燥しやすい状態になることもかゆみを生じる原因になります。一般的に、出産後には症状が治まります。 正しい情報を掲載するよう注意しておりますが、誤った情報があればご指摘ください 医療情報に関するご指摘はこちら からだの気になる症状別ガイド一覧へ戻る