「虫刺され」の予防法・対処法を解説

<知っておきたい>虫刺されの正しい知識 (2)「虫刺され」の予防法・対処法を解説

虫刺されによるトラブルを防ぐためには、日常生活を通した予防が欠かせません。また、刺されてしまった場合は、状態に合わせて適切に対処することが大切です。一般的な虫刺されの予防法と対処法について、くわしく解説します。

虫刺されの予防法

虫刺されの予防法

虫刺されの基本的な予防法としては、次のようなものがあげられます。

対策
  • 肌の露出を少なくする

    蚊やブユ(ブヨ、ブト)などの虫は、露出している部位をよく刺します。とくに野外活動をするときは、長袖シャツや長ズボンを着用するなどして肌をしっかり覆いましょう。

  • 虫除けスプレーなどを利用する

    虫が寄ってくるのを防ぐため、虫除けスプレーや虫除けシートなど、忌避剤(きひざい)を使った製品を活用するのも有効です。ただし、忌避剤によっては使用できる年齢や部位に制限が設定されている場合もあります。使用上の注意点をよく確認したうえで用いることが大切です。

  • 虫を駆除する

    殺虫剤などを使って、原因となる虫を駆除することで被害を防ぎます。イエダニの場合は、宿主となっているネズミの駆除も必要になります。スプレーなどが一般的ですが、ハエや蚊などに対しては発生源に散布する液剤もあります。

  • 虫に近寄らない

    庭や公園、山野など、原因となる虫が生息する場所に近寄らないことも予防策のひとつです。たとえば、ドクガ類のうちチャドクガの幼虫はツバキ類の植物に、ドクガの幼虫はバラ類やブナ類、ツツジ類などさまざまな植物に棲んでいます。イラガの幼虫は、サクラやウメをはじめ、いろんな樹木で生息しています。
    また、ハチやハチの巣にもむやみに近づかないようにします。香水やヘアスプレーなどの香りがハチを刺激することもあるため、山野や河原の草地などハチが生息していそうな場所に近づくときは使用を避けましょう。

虫刺されの対処法

虫刺されの対処法

虫刺されと一口にいっても、軽度のものからすぐに病院を受診しなければならないものまでさまざまなケースが考えられます。状況に合わせて適切に対処しましょう。

基本的な対処法

虫に刺されたら、とにかく触れたり掻いたりしないことが重要です。まずは、刺された場所を水で洗い流すなどして清潔を保ちましょう。かゆみが強い場合は、刺された箇所を冷やすとかゆみが和らぎます。また、かゆみ止めや抗炎症成分が入っている市販薬を上手に活用するのもよいでしょう。

毛虫などに触れて有毒毛が皮膚に残っている場合は、セロハンテープやガムテープなどの粘着テープで周辺をそっと押さえて取り除き、強い流水で洗い流します。ハチの毒針が残っている場合は、毛抜きを使うか指で弾き飛ばすなどして除去してください。氷水などで患部を冷やし、手で触れないようにしましょう。

こんな場合は病院へ

  • アナフィラキシーショックの症状が出ている

    ハチなどに刺された後、蕁麻疹(じんましん)や呼吸困難、動悸、吐き気、意識消失といったアナフィラキシーショックが疑われる症状が現れた場合は、すぐに救急車を呼んで病院を受診する必要があります。

  • 症状が長引いている

    皮膚の腫れがおさまらないなど症状が長引く場合は、早めに皮膚科を受診します。

  • マダニが皮膚に咬みついている

    吸血虫のマダニ(通常のダニよりも大きくサイズは約3mm程度)を無理やり取ろうとすると口器が皮膚に残ってしまうことがあるため、病院でマダニの除去や消毒など適切な処置を受けてください。咬まれた後で熱が出た場合も、早めに病院を受診しましょう。

間違った対処法

ハチに刺されたらアンモニアを塗ればよいという話を聞いたことがあるかもしれませんが、まったく効果がないのでやめましょう。また、ハチに限らず、どんな虫に刺された場合でも油断は禁物です。気になる症状があれば、早めに皮膚科を受診してください。

お子様の掻き壊しには要注意(幼児や赤ちゃん向け対処法)

お子様の掻き壊しには要注意
(幼児や赤ちゃん向け対処法)

小さなお子様や赤ちゃんは、汗をかいたり汚れが皮膚に付着したりすることが多いので、虫に刺されたらまずは患部を清潔に保ちましょう。

かゆいからと激しく掻き壊すと、皮膚が傷つくだけでなく、その傷口から感染して伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん:とびひ)になってしまうことがあります。かゆみを感じて掻こうとするときは、患部を冷やしたり、かゆみ止めや抗炎症成分が入っている市販薬を活用したりしてかゆみをおさえてあげましょう。爪が伸びた状態で掻くと皮膚を掻き壊しやすいため、こまめに爪を切っておくことも大切です。症状が強かったり長引いたりする場合は、なるべく早めに小児科や皮膚科を受診しましょう。

また、予防においては、虫除けスプレーなどの忌避剤で「ディート」という成分が含まれている製品は、生後6か月未満の赤ちゃんには使用できないのでご注意ください。生後6か月以上2歳未満なら1日1回、2歳以上12歳未満のお子様は1日あたり1~3回を目安に、顔以外の部位に使用するようにします。製品に書かれている用法・用量はしっかり確認しましょう。また、掻き崩した部位には使用せず、症状が治ってから使用しましょう。

虫刺されに効く成分と市販薬の選び方

虫刺されに効く成分と市販薬の選び方

虫刺されに効くとされる成分にはいくつか種類があります。それぞれの効果・効能と市販薬の選び方についておさえておきましょう。

解説
  • 虫刺されに効く成分

    抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミンなど)
    かゆみの原因物質「ヒスタミン」の働きをブロックし、かゆみを止めます。
    局所麻酔(リドカインなど)
    かゆみ神経の働きを弱めます。
    ステロイド(プレドニゾロンなど)
    虫刺されによる皮膚の炎症をおさえます。
  • 市販薬の選び方

    症状が軽い場合は、かゆみ止めの効能をもつ市販薬を活用するとよいでしょう。ただし、赤みやかゆみが強く出ているときはステロイド外用薬が必要になりますし、場合によっては抗ヒスタミン薬やステロイドの内服薬を用いたほうがよいケースもあります。気になるときは、皮膚科を受診しましょう。

虫刺されで気になるお悩み(Q&A)

虫刺されで気になるお悩み(Q&A)

虫刺されに関して、とくに多いと思われるお悩みをご紹介しましょう。

  • 虫刺され跡ができるのを防ぐためにはどうすればいいですか?

    跡が残らないようにするためには、皮膚を強く掻くなどして悪化させないことが大切です。気になる症状があれば、早めに皮膚科を受診しましょう。

    また、皮膚のターンオーバーのサイクルを整えることも、虫刺されによる色素沈着の予防につながります。寝不足や偏った食事、疲労などターンオーバーの乱れを招く習慣に注意しつつ、肌の新陳代謝を促す市販薬を活用するのもよい方法です。

  • 伝染性膿痂疹(とびひ)になったらどうすればいいですか?

    いわゆる「とびひ」は、掻いてできた傷口から黄色ブドウ球菌などに感染して起こります。触れることでうつって症状が広がるため、家族など周りにいる人にもうつる可能性があります。治療とあわせて、タオルの共用を避ける、湯船には浸からずシャワーで洗い流すなど、周囲への感染にも気を配ることが大切です。

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