「虫刺され」の原因・症状を解説

<知っておきたい>虫刺されの正しい知識 (1)「虫刺され」の原因・症状を解説

かゆみや痛みなど、さまざまな肌トラブルにつながる虫刺され。症状や虫の種類によっては早急に病院を受診する必要もあるため、虫刺されについて正しい知識をおさえておくことが大切です。一般的な虫刺されの原因や症状について、くわしく解説します。

虫刺されとは

虫刺されとは

虫刺されは、「虫刺症(ちゅうししょう)」と呼ばれることもあります。よくみられる皮膚疾患のひとつで、虫の毒成分などに対する「刺激反応」、もしくは「アレルギー反応」によって症状が引き起こされると考えられています。

症状の現れ方には個人差が大きく、年齢や毒液の量、アレルギー反応の度合いによっても左右されます。

虫刺されを起こす虫はさまざまですが、「血を吸う虫」としては蚊やブユ(ブヨ、ブト)、アブ、ノミ、トコジラミが、「皮膚を刺す虫」としてはハチが、「皮膚を咬む虫」としてはクモやムカデが代表的です。また、「触れると皮膚炎を起こす虫」としては、有毒の毛虫があげられます。この記事では、日常生活をおくる中で被害を受けやすい虫刺されについて解説していきます。

虫刺されの症状

虫刺されの症状

虫刺されのアレルギー反応は、刺されてからすぐに起きる「即時型反応」と、1~2日後に起きる「遅延型反応」の2つに大きく分けられます。

即時型反応では、虫に刺された直後からかゆみや赤み、蕁麻疹(じんましん)などが、遅延型反応では、1~2日後にかゆみや赤み、ぶつぶつ、水ぶくれなどが出現します。個人差はありますが、即時型反応は数時間で、遅延型反応は数日~1週間程度で症状が軽くなっていきます。

虫刺されでみられる主な症状について、さらにくわしくみていきましょう。

症状
  • かゆみ

    虫に刺されたり触れたりしてからすぐに起こりやすい症状のひとつ。皮膚に注入された毒成分や唾液腺物質に対するアレルギ-反応によって起こります。強く掻き壊すことで皮膚が傷つき、色素沈着が生じることもあります。

  • 痛み

    虫が刺したり咬んだりすることで起こるほか、虫が皮膚に注入する物質の化学的な刺激によっても、痛みが生じることがあります。

  • 腫れ

    皮膚の一部が赤くなって腫れることがあります。たとえば、ブユ(ブヨ、ブト)であれば赤く腫れて激しいかゆみが、ハチであれば激しい痛みとともに腫れが生じます。

  • 赤み

    発赤(ほっせき)あるいは紅斑(こうはん)とも呼ばれる症状。炎症によって皮膚が赤くなります。すぐに赤みが出る場合と、虫との接触後1~2日経ってから出る場合があります。

  • 膨疹(ぼうしん)

    皮膚の一部が赤く盛り上がった状態。境目がはっきりしていて、かゆみを伴います。

  • 水ぶくれ

    虫に刺されてからしばらくして、水ぶくれができることがあります。かゆいからと掻き壊すと、患部が広がって悪化する場合もあるため注意します。

  • しこり

    ブユ(ブヨ、ブト)に刺されると、半日くらい経過してから腫れや強いかゆみなどの症状が現れ、赤いしこりが長く残るケースもみられます。

虫刺されで気をつけたいこと(重度の症状)

虫刺されで気をつけたいこと
(重度の症状)

軽度の虫刺されであれば、数時間経てば症状が軽くなるため、それほど心配する必要はありません。ただし、虫刺されのなかには刺された箇所だけでなく全身に症状が及ぶこともあるため、注意が必要です。

とくに気をつけたいのが、ハチなどのアナフィラキシーショックを起こす可能性がある虫刺されです。個人差はあるものの、刺されてから30分~1時間で血圧低下や呼吸困難、意識消失などが生じ、ときには命の危険につながることもあります。

また、セアカゴケグモのような毒グモに咬まれた場合には、局所の痛みだけでなく筋肉痛や吐き気、頭痛などの全身症状をきたす可能性があるともいわれています。

虫刺されの仕組み

虫刺されの仕組み

虫刺されと一口にいっても、虫の種類によって症状を引き起こす仕組みは異なります。

たとえば、蚊のような血を吸うタイプの虫では、吸血するときに注入される物質に対するアレルギー反応が起こり、さまざまな症状が現れると考えられています。あるいは、皮膚を刺したり咬んだりする虫であれば、その刺激が痛みにつながります。

また、毛虫の種類によっては有毒毛をもつものもあり、それに触れることで強いかゆみや痛み、赤み、小さな水ぶくれなどの症状が現れます。

虫刺されの原因

虫刺されの原因

虫刺されによる皮膚症状の原因となる虫として、次のようなものがあげられます。

原因
  • 蚊(カ)

    家の中や庭、公園、山野など、場所を問わずどこにでも生息しています。顔や手足など、露出している部位がよく刺されます。皮膚にとまって血を吸われることで、かゆみや赤みなどの症状が現れます。

  • ダニ

    室内では、ネズミに寄生するイエダニ類による被害が多くみられます。0.7mm程度と小さく、人が寝ているときに血を吸うため、知らぬ間に刺されていることが多いようです。脇腹や下腹部、太ももの内側などが刺されやすく、強いかゆみや赤いぶつぶつが現れます。
    また、野山でマダニに刺されるケースもみられます。人の皮膚に咬みついて吸血しますが、無理に引き剥がそうとするとマダニの口器が皮膚に残って化膿することもあるため、すぐに皮膚科を受診しましょう。

  • ブユ(ブヨ、ブト)

    ハエのような見た目をした吸血性の虫で、高原や山間部の渓流沿いに多く生息しています。通常は刺されたときには異常を感じることが少なく、半日くらい経ってから刺された箇所が赤く腫れ、激しいかゆみが現れます。赤いしこりが長く残ることもあります。

  • ノミ

    ネコやイヌに寄生するネコノミによる被害がほとんどです。屋外では地面から飛びついてくるため、スネや足をよく刺されますが、屋内では腕や体も刺されます。吸血性の虫で、血を吸われて1~2日後に赤いぶつぶつやかゆみなどの症状が出て刺されたことに気づく人もいるようです。水ぶくれができることもあります。

  • ハチ

    庭の手入れや農作業、ハイキングなどの際に、アシナガバチやスズメバチに刺されるケースがみられます。とくに秋の野外活動時に被害が多くなるため注意しましょう。刺されると、ハチ毒の作用によって激しい痛みが現れ、赤く腫れます。
    刺されるのがはじめてであれば通常は1日以内に軽快しますが、2回目以降はハチ毒に対するアレルギー反応によって蕁麻疹(じんましん)や強い赤み、腫れなどが生じることもあります。血圧低下や意識消失などのアナフィラキシーショックを起こす可能性もあるため、慎重に経過を観察することが大切です。

  • 毛虫

    すべての毛虫が毒をもっているわけではなく、ドクガ類やイラガ類などの有毒毛をもつ毛虫に触れることで、痛みや赤みなどの皮膚症状が引き起こされます。
    ドクガ類に触れると、激しいかゆみとともに赤いぶつぶつなどが首や腕に集中して現れ、掻くことで症状が周囲に広がります。
    イラガ類では、触れてすぐにピリピリした激しい痛みと赤みが生じます。1~2時間でいったん症状は治まりますが、翌日に腫れやかゆみが現れることもあります。

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