<知っておきたい>「口角炎・口唇炎」の正しい知識 (2)「口角炎・口唇炎」の予防・対処法について解説
肌以上に乾燥しやすく、荒れやすい部位である唇。口角に亀裂が入って痛みが出る「口角炎」や、唇全体に炎症や湿疹が発生する「口唇炎」に悩む人も少なくありません。口角炎・口唇炎に効果的な予防法はあるのでしょうか。また、症状が出たときの対処法は?皮膚科医監修のもと、くわしくご紹介します。
口角炎&口唇炎の予防法
口角の痛みに違和感を感じる口角炎、唇の炎症に悩まされる口唇炎。口角炎&口唇炎の予防法について解説していきます。
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- ビタミンをしっかり摂る
- 健康な体を維持するのにさまざまな役割を果たすビタミンの不足は口角炎を引き起こしやすくなります。特に、唇にとって効果的な成分であるビタミンB2やB6を積極的に摂ることがおすすめです。ヨーグルトや牛乳、うなぎ、卵、ほうれんそうなどビタミンB2を含む食品、また、魚類、牛・豚肉、穀類、豆類、レバーなどビタミンB6を含む食品を積極的に摂ることがおすすめです。
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- 十分な睡眠を取る
- 睡眠を十分にとることによって脳が休息し、体は翌日に備えて修復・回復していきます。睡眠中に分泌される成長ホルモンには、細胞の新陳代謝を促し、体の種々の細胞を再生し、免疫力を高める働きがあります。睡眠時間をしっかり確保し、免疫力の低下を防ぐことで、口角炎を予防しましょう。
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- ストレス・疲労をためない
- 過度のストレスは免疫力の低下を招き、免疫力が低下すると、口角炎の主な原因であるカンジダ菌が繁殖するため、口角炎を引き起こしやすくなります。オフの日は趣味に没頭したり、リラックスしたりすることで上手く気分転換をし、ストレスや疲れをためないように心がけましょう。
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- 乾燥を防ぐ
- 唇の乾燥は、口角炎や口唇炎を引き起こす原因になります。
唇の乾燥を予防するために、ワセリンやリップクリームで保湿をすると良いでしょう。市販のリップクリームの使用で迷うことがあるときは、医師に相談してください。また、唇の乾燥には外気の湿度も大きく影響します。特に冬場は外気の湿度が低いため注意が必要です。冬以外でも冷房などで乾燥した室内にいることが多い場合は、夏でも乾燥して唇が荒れるケースもみられます。加湿器をつけるなど、室内を乾燥させないように気を付けましょう。
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- 口周り・口内を清潔な状態に保つ
- 口角炎の原因になり得るカンジダ菌は口の中から侵入することもあるので、歯磨きやうがい等を行って、口内を清潔な状態に保つことも大切です。
また、子供や肌が敏感な人の場合、歯磨き粉に含まれる合成界面活性剤やミントなどの香料が刺激となり、口角炎を引き起こす場合があります。歯磨き粉のすすぎ残しがあると口角にたまるため、歯を磨くときは、歯磨き粉が口のまわりに残らないよう、しっかり口をゆすいで口元をきれいにふき取るようにしましょう。
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- 口をなめない、触らない
- 乾燥した唇を繰り返し舌でなめることにより発症する「舌なめずり皮膚炎」。唾液には消化酵素が含まれているため、皮膚が薄くて柔らかい唇に唾液が付くと、刺激となり口唇炎や口角炎ができやすくなります。唇が乾燥しているとついついなめてしまいがちになりますが、唾液の水分が蒸発する際にもとから唇にあった水分まで奪われてしまいます。また、炎症部分が気になり、つい触ったりしがちですが、敏感になっている皮膚に刺激を与えることで症状が悪化する場合もあります。
日常生活の中で炎症や亀裂部分をさわらないこと・唇をなめないことを意識して気を付けましょう。
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- 唇の紫外線対策
- 日焼けも皮膚の薄い唇にとっては過剰な刺激となります。UVカット機能のあるリップクリームを使用するなどして日焼けを予防しましょう。
口角炎&口唇炎の対処法
口角炎・口唇炎を発症したとき、その対処に迷うことも多いでしょう。ここでは、口角炎&口唇炎の正しい対処法について解説していきます。
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- OTC医薬品(市販薬)を使って治療保湿する
- 薬局やドラッグストアで買えるOTC医薬品として、口角炎・口唇炎への効果効能があるリップクリーム(医薬品)もあるので、まずはそれを使って治療しましょう。保湿ができるリップクリームやワセリン等を併用し、普段からこまめに保湿することも心がけるとよいでしょう。
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- 良くならないときは皮膚科・歯科口腔外科へ
- カンジダが原因の場合は市販薬で自然と治るケースもあります。ただ、症状がよくならない、再発を繰り返してしまうときは免疫力の低下、または糖尿病などの重い病気が隠れている場合も考えられます。早めに医師に相談するようにしましょう。
なかには金属やラテックス、食べ物、化粧品へのアレルギー反応で口唇炎になるケースもあるため、場合によってはパッチテストやアレルギー検査を行い、原因を探る方法もあります。原因がはっきりすることで、効果的な予防策も明確になるため、症状が治まらない場合は早めに医師に相談するようにしましょう。
監修:藤田医科大学病院 皮膚科 鈴木明子先生
帝京大学医学部卒業後、同大皮膚科、順天堂大学浦安病院皮膚科を経て、2015年から現職。日本皮膚科学会専門医。