<知っておきたい>「ニキビ」の正しい知識 「背中ニキビ」の原因・症状・対処方法について解説 背中ニキビの特徴 背中ニキビとは異なる?似た症状(病名)をご紹介 背中ニキビの予防法・改善方法を解説 背中ニキビが悪化してしまった?場合の対処方法 背中のニキビ跡のケア・改善方法 背中ニキビの気になる疑問やお悩みを解説 顔にできるニキビとは違い、背中ニキビは自分では気づきにくいものです。そのため、知らないうちに悪化してしまうケースも少なくありません。跡を残さないためにも、原因をふまえた予防や対処が必要です。背中ニキビの原因や症状、対処方法について、皮膚科医監修のもと解説します。 背中ニキビの特徴 背中ニキビには、どのような特徴があるのでしょうか。背中ニキビを引き起こす原因や仕組みをふまえてみてみましょう。 背中ニキビについて 背中ニキビとは、その名のとおり背中にできるニキビのことをいいます。思春期のニキビは顔に多くみられますが、背中ニキビは年齢や性別に関係なく現れるのが特徴です。 背中ニキビの発生には生活習慣も関係すると考えられており、スキンケアを見直しただけでは治りにくい一面も持っています。背中は意識しなければ視界に入らない部位であり、ケアがおろそかになりがちなことも悪化につながる要因になります。 背中ニキビが悪化すると 背中ニキビのできはじめは、角質や皮脂が毛穴に詰まって黄白色に盛り上がったものがみられます。症状が進行すると、炎症を起こして痛みを感じたり、詰まった皮脂が酸化して黒くなったりします。 さらに悪化すると、炎症を起こしたニキビが化膿して膿(うみ)がたまることもあります。悪化によってニキビの跡が残りやすくなるため、早めに対処することが重要です。 背中ニキビの原因 背中は皮脂腺が多く、ニキビが発生しやすい部位のひとつです。背中ニキビが発生する原因としては、次のようなものがあげられます。 皮脂や汗 不規則な生活 睡眠不足 食生活の乱れ ストレス 肌の乾燥 また、ホルモンも背中ニキビを引き起こす原因のひとつ。ホルモンのバランスは、過労や不規則な生活、偏った食生活などさまざまな要因で乱れがちになります。その影響で体のバランスが崩れ、肌の生まれ変わりのリズムも乱れてニキビができやすくなると考えられています。 そのほか、睡眠不足もホルモンバランスの乱れにつながることが知られています。ストレスがたまった状態だと寝不足になりやすいため、就寝前にリラックスできる時間を持つとよいでしょう。 髪を洗ったとき、背中にシャンプーやトリートメントがついたままになるのもよくありません。頭だけでなく背中もきれいに洗い流すことが大切です。 さらに、生活リズムの乱れや肌の乾燥が、背中ニキビの発生や悪化の原因となることがあります。規則正しい生活を心がけ、栄養バランスのとれた食事や十分な睡眠で、健やかな肌作りを心がけましょう。 背中ニキビができる仕組み 皮脂や古くなった角質などが毛穴に詰まると、アクネ菌が増殖して炎症を起こし、背中ニキビができます。自分ではケアしにくい部位だからこそ、入浴時などにこまめに鏡でチェックしつつ、予防につながる対策を取り入れることが大切です。 背中ニキビとは異なる?似た症状(病名)をご紹介 背中ニキビとよく似た症状や病気として、次のようなものがあげられます。 マラセチア毛包炎 カビの一種であるマラセチア菌が毛包の中で増殖して発症する疾患です。直径2~3mmの赤みを帯びた盛り上がりが現れます。小さな膿疱(うみがたまったもの)を伴うほか、かゆみや痛みを生じることもあります。 毛のう炎(毛包炎) 毛包の浅い部分に黄色ブドウ球菌などの細菌が感染して、炎症を引き起こす疾患です。赤みのある小さな膿疱が現れ、軽いかゆみを伴い、頭皮にできることもあります。 おでき(癤) 毛のう炎が進行し、毛包の深い部分とその周囲が炎症を起こして化膿したもの。中心に盛り上がった膿栓がみられます。皮膚がかたくなってズキズキと痛み、赤みや熱を伴います。 毛包性細菌感染症の分類(清水宏『あたらしい皮膚科学第2版』より) 虫刺され(ダニ刺され) 蚊やハチ、ダニなどの虫に刺されることで、皮膚に痛みやかゆみ、赤みといった症状が現れます。 ※似た症状について、さらにくわしく知りたい人は… 背中ニキビの予防法・改善方法を解説 背中ニキビの予防や改善のためには、原因に合わせたアプローチが欠かせません。原因をおさらいしながら、具体的な予防法・改善方法をみていきましょう。 背中ニキビの原因 皮脂腺が多い背中は、もともとニキビができやすい部位です。そこにゴシゴシ洗う摩擦や洗浄剤の刺激が加わったり、衣服が当たったりすると、背中ニキビの悪化を招きます。また、肌の乾燥や、睡眠、食事、ストレスも背中ニキビの要因となります。 原因に対するおもな予防法・改善方法 それぞれの原因に合わせた予防法や改善方法は次のとおりです。 皮脂や汗 とくに暑い季節は、皮脂や汗の分泌がさかんになるため、汗をよく吸い取る下着を選ぶことが大切です。また、1日に1回を目安に背中を洗って、清潔な状態を保ちたいところ。洗うときは、よく泡立てた洗浄剤でやさしくなでるような力加減を心がけ、すすぎ残しがないようにていねいに洗い流しましょう。 不規則な生活 生活リズムの乱れが体に影響し、肌の生まれ変わりのリズムが乱れてニキビができやすくなることが考えられます。夜ふかしや朝寝坊を控えて、規則正しい生活を送りましょう。 睡眠不足 睡眠も背中ニキビに深く関係すると考えられています。皮膚の修復・再生をスムーズにおこなうためにも、質のよい睡眠を十分にとることを心がけましょう。朝起きて朝日を浴びることや、適度な運動を取り入れることも自然な眠りにつながります。 食生活の乱れ 食事からの栄養が偏ったり不足したりすると、背中ニキビの発生や悪化を招くことがあります。健やかな肌を育てるためにも、栄養バランスのとれた食事を意識してとることが大切です。なかでも、背中ニキビの予防・改善に役立つと考えられている「ビタミン」は、積極的にとるとよいでしょう。 ストレス ストレス自体が皮膚の免疫力を低下させ、ニキビの炎症が強くなったり、ストレスにより皮膚の再生力が低下したりします。また、ストレスの現れとして、ニキビを無意識にいじってしまったり、睡眠不足になったりして、背中ニキビの悪化に影響を与えることがあります。気分転換をしたりゆっくり休んだりすることで、ストレスと上手に付き合いましょう。 肌の乾燥 顔に比べて、体の保湿はおろそかになりがちですが、肌の乾燥も背中ニキビの要因となるため十分な保湿をおこないます。スキンケアアイテムは、ニキビの発生に配慮したノンコメドジェニックテスト済み、あるいは低刺激性で、保湿力のあるものがおすすめです。 背中ニキビが悪化してしまった?場合の対処方法 背中は自分の目で確認しにくく、知らないうちに悪化してしまうケースも少なくありません。悪化によって跡が残ることもあるため、早めに専門医に相談して適切に治療しましょう。 背中のニキビ跡のケア・改善方法 背中ニキビが悪化すると、跡が残ってしまうことがあります。背中のニキビ跡の種類や改善方法についてお伝えします。 ニキビ跡について 背中のニキビ跡としては、「赤み」「色素沈着」「クレーター」「白色瘢痕」の4種類がみられます。 赤み ニキビの炎症が内部に残っていたり、毛細血管が透けて見えていたりする状態です。 色素沈着 茶色っぽくなっている跡は、皮膚を守ろうと大量に生成されたメラニンが原因です。 クレーター ニキビの炎症が激しく、組織が破壊されて陥凹(へこみやくぼみ)になった状態。背中は顔よりも陥凹症状は少ないです。 白色瘢痕 ニキビの炎症により組織が破壊された後、瘢痕組織に置き換わった状態。ニキビと同じくらいの大きさの、小さくて白い瘢痕が多数みられることがあります。 ニキビ跡のケア・改善方法 軽いニキビ跡であれば、背中ニキビの症状が落ち着くとともに少しずつおさまっていきます。なかなか改善されない場合は、完治は難しいものの、ケミカルピーリングやレーザー、皮膚再生の針を用いた治療で目立ちにくくさせることもあります。 背中ニキビの気になる疑問やお悩みを解説 悪化の原因や発生しやすい時期など、背中ニキビについて気になる疑問にお答えします。 早くつぶすと早く治る? 背中ニキビをさわったりつぶしたりすると、かえって悪化を招きます。ニキビになるべく刺激を与えないことが大切です。 背中ニキビがひとつできると増えやすくなる? ニキビ自体が、ほかの部位にうつって広がることはありません。ただし、ニキビができやすい環境にあると考えられるため、予防策を取り入れる必要があるでしょう。 冬は背中ニキビができやすい? 肌の乾燥も背中ニキビの要因であり、乾燥が進む冬にできやすくなることは考えられます。ただし、皮脂や汗の影響でニキビが発生することもあるため、季節にかかわらず一年を通した予防やケアを心がけましょう。 監修:秋葉原スキンクリニック院長 堀内祐紀先生 東京女子医科大学医学部医学科卒業後、都内皮膚科・美容クリニックを経て、2007年に秋葉原スキンクリニックを開院。日本皮膚科学会認定専門医、日本医学脱毛学会理事、Aケア協会アドバイザー。日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本レーザー医学会、日本抗加齢医学会などに所属。 正しい情報を掲載するよう注意しておりますが、誤った情報があればご指摘ください 医療情報に関するご指摘はこちら からだの気になる症状別ガイド一覧へ戻る