35歳を過ぎると妊娠率がグッと低下するのは、ご存知の方も多いかもしれませんね。妊娠率の鍵をにぎるもの、その1つは「卵子」です。では、体の中で「卵子のもと」が最もたくさんあるのは、何歳のときなのでしょうか?正解はなんと、お母さんのお腹の中にいる頃、つまり、0歳にも満たない頃なんです。グラフの通り、健康な「卵子のもと」の数は、胎生20週の頃にピークを迎え、出生の頃には3分の1程度、初経頃にはさらに減少していきます。同時に、健康な卵子が排卵される可能性も下がるので、年齢とともに妊娠率が下がることになるのです。
妊娠には、タイムリミットがあるのも事実です。
加齢でシミやシワが増え、体力や代謝が落ちるのと同じように、卵子も老化していきます。肌と違って、見た目年齢の若さとは関係がないので油断は禁物です。卵子は若い頃と比べて、老化すると流産率も高まります。妊活をする上で、その事実を知っておくことも大切です。
「妊娠には年齢のタイムリミットがある」という事実をふまえて、これからの妊活スケジュールを作ってみると良いでしょう。「いくつまでに赤ちゃんに会いたいね」「ここを節目にクリニックへ?」など、2人でよく話し合っておくと、後々後悔しない妊活ができるかもしれません。
男性の年齢も不妊と関係ある?
「不妊は女性の悩み」と思いがちですが、実は男性に原因が約48%もあるそうです。妊娠は男女の協力があってこその奇跡です。ここでは男性の視点からも、妊娠を見てみましょう。
女性は卵巣に貯蔵された、卵子の老化で妊娠しにくくなりますが、それに比べて男性は、精子が毎日新しく作られます。そのため「男はいくつになっても妊娠力がある!」と勘違いしてしまう人が多いようです。
男性不妊治療専門医の研究によると、35歳を境に精子の力が落ちる可能性があることが分かってきました。当たり前のようですが、精子を作る体そのものが老化すれば、必然的に精子も老化すると言えます。そして、精子の老化は不妊とも深い関わりがあるのです。
女性のように40代半ばになると、あきらかに妊娠しにくくなるのとは違って、男性は、年齢とともにゆるやかに衰える傾向があります。中には、35歳頃から精子の元気がなくなり、治療をしても結果が出にくくなったという事例も報告されています。また、加齢で正常な精液の量、精子の濃度や運動率が減少するというデータもあるそうです。そして、一番の問題になるのは精子の「受精能力」です。老化した精子には「酸化ストレス」という障害が多く見られます。「酸化ストレス」はDNAを傷つけ、精子を正常でなくしてしまいます。また、喫煙も精子に影響を与えると言われています。それが、男性の妊娠力を下げる大きな要因になるのです。これらをふまえると「精子は毎日新しい」という思いこみは、改める必要がありそうですね。
男性の不妊は、はっきりとした自覚症状がなく、自分のタイプを簡単に知ることができません。不妊の原因は「原因不明」も含めて様々ですが、晩婚カップルが子どもを望む場合、早く妊活をスタートさせると良いかもしれません。
近年は晩婚化が進み、高齢出産される方もいらっしゃいますが、「いつか子どもを」と望むカップルは、自分の年齢を考慮して、前向きに妊活を進めると良いでしょう。