「妊娠してる?」と疑問に思ったら、市販の妊娠検査薬で、気軽にセルフチェックができる時代になりました。しかし1980年代頃の日本は、まだ妊娠検査薬が一般用として認可されていない状況。欧米に比べて遅れをとっていました。
妊娠検査薬は妊娠の有無を判定することができます。それは受精卵が子宮に着床するときに、胎盤から分泌される「hCG」というホルモンを、尿から検出するからです。判定が可能な時期は、通常妊娠した次の月経予定日の1週間後から。この頃は、胎児の脳や心臓など、体の中枢器官が形成され始める大切な時期です。そのため、まだ妊娠検査薬が一般用医薬品化されておらず、簡単に調べられない時代は、妊娠に気づかないまま、体に負荷をかけてしまい、流産することも少なくなかったといいます。
ロート製薬は「大切な母体を守りたい」という想いから、一般向けの妊娠検査薬の必要性にいち早く着目して開発。そして1992
年、日本で初めての一般用妊娠検査薬の販売を開始しました。
しかし、当時の日本ではまだ、妊娠検査薬の正しい知識が広まっていませんでした。そこで、ロート製薬は妊娠を望む人のための、学術グループを女性中心で設立。勉強会を行うために日本全国を巡り、たとえ少人数しか聞き手がいなくても、妊娠検査薬の必要性を熱心に語り、知識を広めていきました。