色の誕生日

青柳菜摘

ゆみなりのはまべに
かいがらが
とうかんかくの あしあとをのこして
いきをすってまつ

すなはまにおちる おおきなかげは
しぼむほどに こくなって
しだいに
ぼやけたりんかくが わたしになる
わたしはそらからおりてきた

ひとつのかいがらに こえをかけて
グレー、
なみがこたえる
グレー、グレー、グレー
すなは かいがらを のみこんでしまった
ブルー、ブルー、
なみがこたえた

そらにうかぶわたしは
すなはまに てをのばす
ブルー、ブルーと
なみが てを のみこもうとして
うすぐらいはまべでは
すなと ての きょうかいが
みえなくなってしまった
どこまでが じぶんの てなのか
わかるはずなのに
はまべにならぶかいがらも
ひとつひとつ すなをつたって
さわれるようになる
わたしだけの ては
うみにつながる すなはまになってしまった
うみは すなをあたためて
おきに てをのばすほど
グレーは ながれこんだ

てにふれるかいがらに こえをかける
グリーン、グリーン、グリーン
わたしはかいがらが
かいがらというなまえだと
しってたけれど
そこにうつる めにうつるその
かいがらの はだを
なんとよべばいいか まだしらなくて
にわに はえた しょくぶつみたいだから
グリーン、グリーン、
とこえをかけた
グリーンは しょくぶつを いみすると
おしえてもらったばっかりだ
いまは すなのなかにある
わたしの つめも
つい さいきん
グリーンにした

うすぐらいすなはまにいるわたしは
いまをよるだとおもっていた

けど
つきは
さんそをたっぷりすった
ほのおをあつめて
ブルー、ブルー、
そらの はいを ふきとばすと
おひさまになった
みあげても まぶしくて
めをとじて
まるかった つきのように
まるいたいようを まぶたにうつす

はいのなかに かくれられなくなった さかなたちは
そらからおりて かいがらになった
うろこのもよう
ブルー、ブルー、
わたしはうみを ブルーとよんで
はいを グレーとよんで
しょくぶつを グリーンとよんでみた

こえをかけると うまれるのだ
うまれたのが いろ だった

それから
つきも かいも すきとおる いしも
すなはまになってしまった わたしの ても
うみにも こえをかけると
いろ がうまれる

たいようのすなつぶが
わたしのめにはいってぎゅっとむすぶ

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