essay連載 『人肌、 山肌、 地肌』

Vol.01

あなたが日々の励ましになる

updated 2024.11.25
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comuramai
写真家
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1993年徳島生まれ。身体のクローズアップや、身近な景色を撮影する。写真集「come closer」(2019)と「copy you」(2022)を制作。

全身が毛に覆われている生き物に触れると、改めて人間の皮剥き出し感に驚きます。彼らから見ると私たちはツルツルでぶよぶよとした存在なんだと思います。彼らの毛の色や模様に個性や愛おしさを感じるように、自分の体質や今の肌を受け入れようと心がけるのですが、なかなかうまくはいきません。自分の肌を慈しむよりも、誰かの肌に憧れることの方が簡単にできてしまいます。

「肌」は人間の皮膚に対して使う言葉だそうです。確かに猫の肌とは言いません。私は皮膚は世界との物理的な境界線で、肌は精神的な境界線のように捉えています。私が自分の理想とする肌から遠ざかるたびに落胆するのは、肌が自己と深い部分で結びつき同一化しているからだと思います。


これまで写真撮影を通して、カメラ越しにいろんな肌を見つめてきました。どの肌にも特徴があり、体質によって肌質が左右され、毛穴や傷跡があり、しわも黒ずみもあります。一人一人に一つ一つの肌がありました。

秋が深まり、飼い猫の換毛期がやってきました。眠っている猫のお腹に顔を埋めると、顔中に毛が貼りつきます。私の肌は全ての毛を微細に感じ取り、最後の一本を取り除くまでむず痒さは続きます。その間、猫は毛づくろいをしてまた眠りにつきます。同じ星に住む生き物なのに私たちって全然同じじゃないね。違うってことが楽しく生きることの励ましになることを、疲れたり忘れた頃にもふもふたちが教えてくれます。

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「人肌、 山肌、 地肌」
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