interview

Vol.01

植物の力をかりて、
自分の心にふれてみる。

特集「肌とこころ」の連載インタビュー vol.1。とある京都の公園の早朝。お散歩中の大型犬が駆け寄ってくる。木漏れ日が、肌にふれる。小さいバッタが跳ねるのが見える。そんな場所で、植物療法士 村田美沙さん にお話をお伺いしました。

自分のこころと身体の変化に気づいてあげる。植物の力をかりながら自分をみつめてみる時間について。



misa murata

自身の体質の改善をきっかけに植物療法士の資格を取得。その後植物療法の本場である渡欧し、欧州に根付くハーブの文化や食の大切さを体感する。帰国後はその経験を生かし、Herbal life stylist として、植物療法をベースとした暮らしを提案するVerseau(ヴェルソー) を立ち上げる。「植物を通して、心や身体が豊かになり、素直で優しい気持ちでじぶんと向き合える日々」を目指し活動している。一般社団法人フィトテラピー協会認定 フィトテラピスト。

強くならねばを超えて。

体調がすぐに悪くなったり、心の反応が肌に出たり、人よりも身体が弱いことがコンプレックスでした。幼少期から20代前半まで、自分はなんでこんなに弱いんだろうって思っていたんです。あるとき、いろんな不安や環境がきっかけで、人生最大の体調不良を経験しました。その出来事のおかげで、自分のこころも身体も真剣に考えるように。様々なケアを試していく中で気づいたのは、「弱いんじゃなくて、人よりも身体からのお知らせが早いんだ」ということ。そこからはコンプレックスではなくて、自分の身体にありがとうね、と素直に思うようになりました。Verseauのコンセプトである「素直なわたしになる」に自分自身の体験や記憶がつながっているように思います。

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植物がくれる自分をみつめる時間。

植物療法士として、「Verseau」というブランドでオリジナルのハーブティーを制作し販売していますが、実はハーブティーが薬のように全てを解決してくれるわけではないと思っています。どちらかというと、ハーブティーを飲むことが、自分の時間をつくることに繋がって、自分のこころや身体の変化に気づく機会をくれる。自分の状態をみる、確認するためのケアの時間になってゆくと思っています。マグカップから手のひらにじんわりと温かさが伝わってきて、ほっとしたり。顔にゆげがほわっと包み込んでくれたり。私自身の体験からも、セルフケアは何をするかということよりも自分を気遣ったり、見つめたりする回数が大切だと思っていて。そんな時間が1日の中やひと月の中にあれば、自分を少しずつ豊かにしてくれるんです。

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ふれることで、自分と他者に気づいていく。

2021年からは、アーティストとして、山のなかで木々や花にふれる対話型のパフォーマンス作品を制作しています。複数人で山の中に入っていくと、人と人のコミュニケーションのあいだに必然と自然がある状態に。例えば、木の幹にてのひらでそっとふれることで生まれた自分のとある感情も、奥底にあった素直な感情にも出会っていくことがあります。植物の力をかりながら、自分にも気づき、他者にも気づいていく時間です。「Verseau」ではハーブティーが媒介となり、ひとりひとりに自分を見つめる時間が生まれますようにと願っていますが、今後は植物や大切な人に直接手と手でふれ合うことを大切にできる時間もつくっていきたいなと思っています。

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