<知っておきたい>「逆流性食道炎」の正しい知識 (2)「逆流性食道炎」の予防・対処法を解説 逆流性食道炎の予防法 逆流性食道炎の対処法 逆流性食道炎時のおすすめ食事(調理) 逆流性食道炎に関するQ&A 胸焼けや、胃酸の逆流を感じるといった症状を感じる逆流性食道炎。予防するにはどうすればいいのでしょうか。逆流性食道炎になってしまった場合の対処法や、よくある疑問について、消化器内科専門医が解説します。 逆流性食道炎の予防法 逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流することで起きる疾患です。そのため、予防するには胃酸を多く分泌するような食べ物を避けたり、生活習慣・食習慣に注意したりすることが有効であると考えられています。 注意したい生活習慣/食べ物・飲み物 食べ過ぎ 早食い 寝る直前の食事 不規則な食事時間 動物性脂肪の多い食事 アルコール 喫煙 チョコレート 炭酸飲料 柑橘類 香辛料 これらによって、胃酸が多く分泌されるようになることに加え、通常は閉じている胃と食道の境目の括約筋がゆるんで胃酸の逆流を起こしやすくなります。また、喫煙はたくさんの病気リスクを伴い、逆流性食道炎についても喫煙で胃と食道の境目の括約筋の働きが低下するので、予防には禁煙も有効です。 加えて、胃に圧力のかかる(腹圧がかかる)ような生活習慣にも注意が必要です。 腹圧がかかる生活習慣 ベルトや下着などによる腹部の強い締め付け 肥満 前かがみの姿勢 重いものを持つ 寝るときに上半身を少し高くすると、逆流が起こりにくくなります。 逆流性食道炎の対処法 逆流性食道炎になってしまった場合の対処法は、予防法と同じく胃酸の分泌が増える食習慣や逆流が起きやすくなる生活習慣を避けることです。それによって自覚症状がなくなることもあります。 食習慣や生活習慣の改善でも自覚症状が改善しない場合は医師に相談しましょう。 逆流性食道炎の検査 胸焼けや、胃酸の逆流を感じるなどの自覚症状がある場合は、消化器内科を受診し、検査を受けて逆流性食道炎かどうかを診断されます。検査は胃カメラ(上部消化管内視鏡)で行われ、食道炎が起きているかどうかを確認します。胃カメラ検査は必ず受けなければならないものではありませんが、他の病気ではないことを確認するためにも受けることが望ましいとされています。 逆流性食道炎の治療 逆流性食道炎に対する薬としては、胃酸の分泌を抑える薬、消化管運動改善薬、漢方薬(六君子湯)などが処方されます。 薬の服用によって自覚症状や食道炎が改善した場合、引き続き薬を飲むかどうかは医師が患者一人ひとりについて判断します。薬を飲むことと並行して、予防法で挙げたような生活習慣の改善も必要になります。 薬を飲んでも効果が出ない場合や、薬物療法が長期間に及ぶ場合、食道裂孔ヘルニア(胃と食道の境目が通常よりも上に上がってしまっている状態)がある場合は手術が検討されることもあります。手術は、胃から食道への逆流を防ぎ、食道から胃へは食物が通るようにするもので、最近は開腹手術ではなく腹腔鏡で行われるケースが多いです。 逆流性食道炎時のおすすめ食事(調理) 逆流性食道炎のときは、どんなものを食べるのがよいのでしょうか。予防法に書いた要注意の食品を避けるのはもちろんですが、ここではおすすめの食べ物・料理法を紹介します。 消化がよく、おなかにやさしいものが基本です。 主食:おかゆ、うどん、白いパン 肉/魚:鶏のささみ、白身魚など、脂の少ない淡白なもの 牛乳、ヨーグルト 豆腐 調理方法は、煮る・蒸す・ゆでるといった、油を使わない方法がおすすめです。 逆流性食道炎に関するQ&A 逆流性食道炎について、よくある疑問・質問について、回答します。自覚症状や気になることがあれば、医師に相談してください。 何科を受診すればいいのでしょうか。 かかりつけ医がいるのであれば、まずはその医師に相談するのがいいでしょう。特にかかりつけ医がいなければ、消化器内科や胃腸科を受診してください。 妊娠中ですが、逆流性食道炎を避けるにはどうすればいいでしょうか。 おなかを圧迫しないような姿勢を取るように心掛けてください。食事も、一度にたくさん食べると腹圧が上がるので、少しずつ何回かに分けて食べるようにしましょう。 逆流性食道炎は再発しますか。 薬物療法は根本的に胃酸の逆流を治す方法ではないので、薬の服用をやめると再発することも少なくありません。 他の病気を合併することはありますか。 逆流性食道炎がきっかけで、咳発作やぜんそく、睡眠障害などが起きることがあるといわれています。また、別の病気が原因で逆流性食道炎になることも。例えば、高齢の女性の場合、骨粗鬆症によって背中が丸くなり、おなかが圧迫されて逆流性食道炎になることがあります。 監修:とよしま内視鏡クリニック院長 豊島治先生 東京大学医学部卒業。東京医科大学 地域医療指導教授。日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、欧州消化器内視鏡学会(ESGE)国際会員、米国消化器内視鏡学会(ASGE)国際会員、World Journal of Gastroenterology編集委員。とよしま内視鏡クリニックは年間10,000件の内視鏡検査を行い、診療・医療技術の向上を目指した医学研究のため、学会発表、研究活動も行っている。ピロリ菌の除菌・治療にも力を入れており症例は5,000例を超える。著書『「食道/胃/大腸がんの早期発見・予防&内視鏡」最前線』 正しい情報を掲載するよう注意しておりますが、誤った情報があればご指摘ください 医療情報に関するご指摘はこちら からだの気になる症状別ガイド一覧へ戻る