ミノキシジルで初期脱毛が起きるのはどうして?薬の作用や期間を解説
ミノキシジルはAGA治療薬の一種で、使用すると「初期脱毛」と呼ばれる一時的な脱毛が起こる可能性があります。
薬を使用しているのに、抜け毛が増えることに不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、ミノキシジルによる初期脱毛が起こる理由や期間などを解説します。初期脱毛が長期間続く場合の原因も紹介します。ぜひ参考にしてください。
ミノキシジルの初期脱毛とは
初期脱毛とは、ミノキシジルを使い始めてすぐの頃に見られる一時的な抜け毛のことです。髪が抜け始める時期には個人差がありますが、使用を始めた頃から現れることが多い症状です。
初期脱毛は毛周期(ヘアサイクル)と関係がある
毛周期(ヘアサイクル)とは、髪が生えて、古くなったら抜け落ち、再び生えてくる周期のことです。この毛周期は、成長期、退行期、休止期の3つに分けられ、以下のような特徴があります。
- 成長期:髪が成長する段階のことで、毛母細胞の分裂が活発に行われる
- 退行期:休止期に移行する過程で、2~3週間程度かけて寿命を迎えた髪が抜け落ちる
- 休止期:髪の成長が完全に止まり、古くなった髪が抜け落ちる
成長期、退行期、休止期と順番にサイクルが進んだあとは、また成長期に進み、ヘアサイクルが繰り返されます。ミノキシジルを使用し始めると、このサイクルの休止期が短くなり、成長期へと早く移行します。
ヘアサイクルを正常に戻そうとする働きから、休止期に入り成長が停止していた髪が抜け落ちる現象を「初期脱毛」と呼びます。
ミノキシジルの初期脱毛が起きる期間
ミノキシジルの初期脱毛は、使用をし始めてから約10日~2週間頃から起き始め、個人差があるものの、大体1~2ヶ月ほどで終わるとされています。長い方だと3ヶ月程度続く場合もあり、抜け毛の量も人によって異なります。
髪が抜けるという現象にショックを受け治療をやめてしまう方もいますが、初期脱毛はヘアサイクルを整えて髪の毛を育てるための必要なことです。
すぐに治療をやめてしまうのではなく、3ヶ月程度は治療を継続することが大切です。初期脱毛が起きても治療を継続すればヘアサイクルは正常に整い、ミノキシジルの発毛作用が現れてきます。
ミノキシジルの初期脱毛が続く場合の原因
初期脱毛はヘアサイクルを正常に戻す過程の中で発生しうる現象ですが、初期脱毛が3ヶ月程度を過ぎても治まらない場合は、以下のような別の原因が考えられます。
以下で、それぞれの原因について詳しく解説します。
AGA以外の疾患
初期脱毛が3ヶ月以上と長く続く場合、男性型脱毛症(AGA)以外に何か別の疾患が原因になっている可能性があります。考えられる疾患には、以下のようなものがあります。
これらの脱毛症は治療法が異なるため、上記のような疾患が疑われる場合は速やかに医療機関を受診し、医師の診断を仰いでください。その際、これまで使用していた医薬品、または薬の説明書を医師に見せると良いでしょう。
上記のような疾患とあわせて、頭皮のダメージ、頭皮環境の悪化などが原因の可能性もあります。
また頭皮に直接塗布するミノキシジルは、副作用として頭皮のかゆみや赤みが現れることがあります。頭皮は自身では確認するのが難しい箇所ですが、頭皮の炎症も抜け毛の原因となり得るため、違和感を覚えたら医療機関に相談しましょう。
生活習慣の乱れ
生活習慣の乱れがヘアサイクルを整える妨げになっている可能性があります。以下のような生活習慣の乱れがないか、自分の生活を見直してみましょう。
- 睡眠時間が極端に短い
- 栄養バランスの悪い食生活
- ストレス
- 過度の飲酒・喫煙
睡眠不足は髪の成長にも不可欠な成長ホルモンが分泌されなくなるだけでなく、身体にも悪影響を与えます。食事面では、髪の成長のためにたんぱく質・ミネラル・ビタミンなどの栄養素が大切です。食生活を見直し、意識して取り入れてようにしましょう。
睡眠の質の低下や食生活などをはじめ、生活習慣が乱れると、ミノキシジルの効果が思うようにでない可能性があります。気になる場合は、医療機関に相談しましょう。
まとめ
ミノキシジルの初期脱毛は、治療を始めて約10日後頃に髪の毛が抜けていく現象です。
治療をし始めた時期に髪が抜けてしまうのは不安に思うかもしれませんが、ヘアサイクルを正常にするために発生しうる過程です。すぐに治療をやめてしまうのではなく、治療を続けることが大切です。
初期脱毛は大体1~2ヶ月ほどで終わりますが、長い方だと3ヶ月程度続く場合があるなど個人差があります。
3ヶ月以上長期間続く場合は、生活習慣の乱れや別の疾患などが原因の可能性もあるため、心配な方は医療機関を受診し、医師の診断を仰いでください。また脱毛以外の異常が出た場合も医療機関に相談するようにしましょう。
監修:日本皮膚科学会皮膚科専門医 泉 さくら先生
琉球大学医学部卒業/東京大学医学部附属病院皮膚科・都内美容皮膚科・形成外科勤務後、ココメディカルクリニックを開業。一般皮膚科、美容皮膚科、アレルギー外来、女性外来を行い、漢方薬などを用いた近代西洋医療と補完代替医療、伝統医学等を組み合わせて行う統合医療を積極的に取り入れている。