0~16歳までの子ども4,371人の子どもの花粉症に関するアンケート

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子どもの花粉症は出生順と関連
「第1子」は、「第2子」「第3子」よりも花粉症を発症している傾向に

10~16歳の子どもに限定して、出生順と花粉症発症について聞いたところ、第1子では39.7%、第2子は29.2%、第3子は28.6%が花粉症であると答えました。
第1子が一番アレルギー体質になりやすく、第2子、第3子と兄弟姉妹の数が増えるにつれて、上の子から感染症がうつるので強くなりアレルギー体質にはなりにくい、と考える「衛生仮説」に近い結果となりました。

調査結果

第1子 - 花粉症の子どもは39.7%

子どもの症状 人数 第1子
花粉症あり 419 27.9%
花粉症も通年性アレルギー性鼻炎も両方あり 177 11.8%
通年性アレルギー性鼻炎あり 249 16.6%
いずれでもない 658 43.8%
1503 100.0%

第2子 - 花粉症の子どもは29.2%

子どもの症状 人数 第2子
花粉症あり 104 20.8%
花粉症も通年性アレルギー性鼻炎も両方あり 42 8.4%
通年性アレルギー性鼻炎あり 77 15.4%
いずれでもない 277 55.4%
500 100.0%

第3子 - 花粉症の子どもは28.6%

子どもの症状 人数 第3子
花粉症あり 8 22.9%
花粉症も通年性アレルギー性鼻炎も両方あり 2 5.7%
通年性アレルギー性鼻炎あり 3 8.6%
いずれでもない 22 62.9%
35 100.0%

※10歳未満では年齢の影響で第一子が多くなってしまう可能性が高いため、10歳以上の子に限り集計。

「子どもの花粉症」診療現場より

今回のアンケート調査結果をもとに、小児アレルギーの
専門医の立場から、見解とアドバイスを頂きました。

末廣 豊(すえひろゆたか)医師
大阪府済生会中津病院小児科免疫・アレルギーセンター
日本小児アレルギー学会評議員・理事

花粉症患者の低年齢化は進んでいます。
他人から分かりづらい子どもの花粉症は、集中力低下など生活の質への影響が心配。

花粉症に関する最近の報告を見ると、小児花粉症患者の増加、低年齢化が目立ちます。ご両親がスギ花粉症の場合、理論的には子どもはほぼ100%スギ花粉症になります。花粉症は生命を脅かすことはまずありませんが、集中力低下など生活の質(QOL)を著しく損ないます。さらに、小児の花粉症の症状は、鼻水や連続するくしゃみが出るというより、ぼーっとしているなど、他人からは分かりづらいという特徴がありますので、お母さんが注意してあげることも大切です。

乳幼児期からの花粉回避、屋内への花粉侵入の予防など、発症予防が大切。

いったん発症した花粉症が自然寛解する可能性は低いと考えられていますので、治療は発症予防として、乳幼児期から花粉を回避する、屋内への花粉侵入を予防することが大切です。発症してからは、花粉の飛散時期には花粉情報に注意し、早目からの予防治療が大切です。

子どもは親のアレルギー体質を遺伝。花粉症は、母親の影響を受けやすいようです。

子どものアレルギー体質は、父親よりも母親のアレルギー体質、アレルギー疾患の影響をより強くうけることがわかります。いままでにもこういう報告が多いようです。

衛生的環境ほどアレルギー疾患になりやすいという報告があります。
第1子が一番花粉症にかかりやすく、第2・第3子はかかりにくいという「衛生仮説」。

衛生的な環境ほどアレルギー疾患が増える、反対に非衛生的な環境ほどアレルギー疾患は少ないという「衛生仮説」を支持する調査結果で、大変興味深い数字だと思います。
衛生的な環境とは、「感染症の少ない現代社会」「兄弟姉妹の少ない家庭」「抗生物質を使用する社会」「都会」などです。すなわち家庭では、第一子が一番アレルギー体質になりやすく、第二子、第三子と兄弟姉妹の数が増えるにつれて、上の子から感染症をもらうので、アレルギー体質にはなりにくい、という説で、1989年、英国のStrachan DPによって発表され、この論文が衛生仮説の嚆矢として、現代社会でアレルギー疾患が増加している現象の理由づけとして、有力な説の一つです。