イベント・特集

イベントレポートやインタビューなど、 妊活・妊娠関連の知っておきたい情報をご紹介します。

WOMAN EXPO TOKYO 2017
~赤ちゃんが宿りやすい身体になるために、いま出来ること~

働く女性のための
妊活セミナーレポート

自分らしく輝く、ワーキングウーマンのためのイベント「WOMAN EXPO TOKYO 2017」において、「働く女性のための妊活セミナー」が開催されました。第一部は、第一線で活躍され、働く女性からの信頼も厚い産婦人科医の善方裕美先生による「妊活セミナー」。第二部はビューティーモデルの田中マヤさんにご登場いただき、「妊活」をテーマにパネルディスカッションを実施。当日は約200名の方が参加し、妊活・出産にまつわる情報や普段聞くことができない貴重なお話の数々に熱心に耳を傾けていました。


第一部「妊活セミナー」
妊娠を望む女性のために。
知っておきたい「妊活」の正しい知識

第一部の「妊活セミナー」では、産婦人科医の善方裕美先生があまり知られていない生殖医療の現実や「妊活」に役立つお話をしてくださいました。

善方裕美さん

横浜市立大学附属病院女性健康外来担当。日本女性医学学会認定女性ヘルスケア専門医ほか。患者さんにとって「何が幸せなのか」を考えて診療することをモットーとする。自身も3人の子どもを持つワーキング・ママ。主な著書・監修書籍は、「だって更年期なんだもーん―なんだ、そうだったの?この不調」(主婦の友社)、「0~6歳 はじめての女の子の育児」(ナツメ社)、「女性ホルモンの教科書」(日経BP社)など。


あまり知られていない、生殖医療の現実

赤ちゃんが宿りやすい身体というのは、宿りにくい状況を知ることによって見えてくるものがあります。たとえば、日本で不妊に悩むカップルは6組に1組と言われ、現在、体外受精で生まれている赤ちゃんは24人に1人という割合で増える傾向にあります。世界各国と比べると日本は、体外受精実施件数は世界トップレベルなのです。しかし、出産まで至っている件数はすごく少なくなっています。これの理由は以下のことが挙げられます。

①日本では不妊治療、体外受精を開始する年齢が遅いこと。②ドナー卵子ではなく、ご自身の卵子を使っていること。つまり、高齢の卵子で体外受精を行っていること。③1つの受精卵だけを戻す単一胚移植を採用していること。

また、日本では卵子提供の議論が進まず、法整備が遅れています。世界では、卵子提供が一般的に行われている国や地域も多く、最近では海外で卵子提供を受けるといった日本人夫婦が増えている現状です。


「妊娠するチカラ」、妊孕性とは……?

私たち医療者は「妊娠するチカラ」のことを、妊孕性(にんようせい)と呼びます。妊娠を望んだカップル・ご夫婦は、女性の排卵日までの受精しやすい時期に性交渉を行う「タイミング合わせ」を行います。これは排卵日の5日前くらいから夫婦生活を、できれば毎日行うのが理想的です。その理由は、卵子は排卵するとおおよそ1日しか生きていられませんが、精子は強く元気なものは5日間ほど生きているため、精子が卵管の中で、排卵されてくる卵子を待っている方が妊娠する確率が上がるからです。

この「タイミング合わせ」を4回しても妊娠が成立しない場合は、一般的な確率ではないと判断します。その確率も年代ごとに変化し、20歳~24歳までは5%程度ですが、40代に入ると約65%に上昇。日本の診断基準では、1年間「タイミング合わせ」をしても妊娠に至らない場合を不妊としています。

この原因は排卵障害や卵管の詰まり、卵子の老化、精子の問題などが挙げられますが、中でも、「卵子の老化」は日本の不妊治療の現場が抱える最大の問題となっています。年齢が上がるに応じて、妊娠しても出産に至らない場合も増え、生産(出産)率と流産率が入れ替わるのは37、8歳、40代になると流産率の方が上回ります。


女性は、宝石箱の中
卵子を詰めて生まれてくる

女性が持っている卵子の数は、実はお母さんのおなかの中にいる時が1番多く、赤ちゃんとして生まれてきた時にはすでにたくさんの卵子を持っています。イメージとしては、女性は宝石箱の中に卵子をたくさん詰めて生まれてくると思ってください。しかし、卵子は毎日約30個、消えていく仕組みになっています。また、宝箱の中にある卵子は、妊娠に至らない劣化した卵子も含まれ、その割合は年齢と共に増加します。たばこや低栄養、放射能などによって傷んでしまった卵子もあるため、排卵時にどの卵子が排卵されるかによって妊娠に至る、至らないということが生じるのです。

また、不妊の原因の約半数は男性因子であり、不妊というのは女性だけの問題ではありません。精子の異常などによる男性不妊の場合は、早い段階で知っておくことが大切なので、泌尿器科や男性不妊専門医を受診することをおすすめします。


ライフステージによって変動する
女性ホルモン

女性ホルモンは思春期の時に急激に増加し、20代から30代前半までは充実し安定していますが、30代後半から徐々に不安定になり、45歳~55歳で急激に減少。この時期に女性は閉経を迎え、卵巣は寿命を終えます。

この女性ホルモンの変化は、人間のライフステージとも通じています。今現在、ご自身がどのライフステージにいるのかきちんと把握し、ホルモンを上手にコントロールするようにしましょう。

赤ちゃんを宿すための基本としては、心身とも健康になることが何より重要です。運動、バランスの良い食事、良質な睡眠、ストレスのない生活を心がけ、上手にセルフケアをしながら「妊活」を行ってください。