目のトラブル

パソコン、スマートフォン、ゲームなど目を酷使する現代人。
若い人の中には、スマートフォンを見続けることで、老眼のように、
目のピント調整がスムーズにできなくなるスマホ老眼の症状も見られるようになりました。

眼精疲労やドライアイなど年齢を問わずに現れる目の症状に加え、
加齢とともに増えるさまざまな目の病気。
あらかじめ知っておけば、「ちょっとおかしいかも?」と感じたときにすぐ対応できます。

眼精疲労/疲れ目

目を使う仕事を続けると、普段なんともない程度の作業でもすぐに目が疲れ、目が痛む・かすむ、まぶしい、涙が出るなどの症状や、頭痛・肩こりや吐き気を引き起こします。

原因

最も多いのは、目が頻繁にピント調節を繰り返すために起こる「調節性眼精疲労」です。また、ドライアイや目の疾患が疲れを引き起こすこともあります。

対策

軽度の疲れ目はOTC点眼薬で対処できます。ただし、目の疾患(結膜炎・緑内障など)や重度のドライアイが原因の場合、原因疾患の治療が必要です。

〈参考〉
VDT症候群(テクノストレス症候群)

パソコンやスマートフォンが普及し、必要以上に目を酷使することから調節性眼精疲労を訴える人が急増しています。また、VDT(visual display terminal)作業時は画面を集中して見つめるため、瞬きが減少し目の表面が乾燥しやすいのも原因の一つです。
予防としては、照明が画面に反射するのを防ぐ、目の疲れを自覚したら作業を中止する、意識して瞬きを多くする等があげられます。

ドライアイ/目の乾き

涙の量の減少や、涙の質が変化して目の表面が乾く病気で、様々な不快症状が現れます。

原因

エアコンが効いたオフィスなどの低湿度環境、車の運転やパソコン作業など凝視による瞬きの減少、コンタクトレンズ(特にソフトレンズ)の装用等。

対策

目の乾きについては人工涙液をこまめに点眼することで症状は緩和されます。軽度のドライアイや重症のドライアイは専門医に相談して下さい。

〈参考〉
ドライアイの簡単な見分け方

  1. (1)次の症状のうち5つ以上当てはまる
    • 目が疲れやすい
    • 涙が出る
    • 目やにが出る
    • 物がかすんで見える
    • 目がゴロゴロする
    • 目がかゆい
    • 目が重たい感じがする
    • 光を見るとまぶしい
    • 何となく目に不快感がある
    • 目が赤い
    • 目が痛い
  2. (2)10秒以上目を開け続ける事ができない
  3. (3)瞬きの回数が40回/分以上

上記3つを全て満たす場合、ドライアイの可能性が非常に高いと思われます。

なみだ目

様々な原因によって涙の出口が詰まりやすくなり、涙があふれて止まらなくなります。

原因と対策

中年以降のなみだ目

涙小管等が詰まりやすくなり、涙が鼻に抜けず、目からあふれ出る場合がほとんどです。(涙液の分泌量は逆に減少)
対策:こまめに拭き取る等、清潔に保つようにします。ビタミンやアミノ酸入りの目薬も効果的です。黄色っぽい目やにが出るようなら細菌感染の可能性があるので、抗菌成分配合の目薬を点眼します。(3~4日使用して効果がないなら、早めに専門医に相談して下さい)

新生児のなみだ目

自然に治ることが多いようですが、先天的に鼻涙管が閉塞している場合もありますので、専門医に相談して下さい。

急に起きるなみだ目

涙嚢に細菌が感染して膿がたまり、周囲に広がった可能性があります(急性涙嚢炎)。目頭よりやや下の部分が赤く硬く腫れて、強い痛みが起こります。また、涙や目やにが止まらず、目と鼻の間(涙嚢部)を指で押すと膿や粘液が涙点から目の方へ逆流することがあります。こちらも専門医に相談して下さい。

アレルギー性結膜炎

目やに、充血、かゆみを伴うことが多いです。まずは原因疾患を治療して下さい。

ドライアイ

目の表面が乾いて角膜や結膜に障害が起きると、二次的に反射性分泌が起こり、なみだ目になることがあります。まずは原因疾患を治療して下さい。

充血

異物侵入や圧迫・摩擦等、物理的刺激が起きた事を伝える化学伝達物質(ヒスタミンやセロトニン等)が作られたり、疲れ目から酸素不足となった角膜への酸素提供のため血流量が増加した結果、皮膚や粘膜の表面が赤みを帯びて見えます。

結膜充血 毛様充血
結膜充血 毛様充血
鮮紅色 ピンク色(血管が細くぼやける)
血管の分布 目尻目頭に強く、黒目周辺に弱い 黒目周辺に強い
血流の方向 目尻目頭から黒目に向かう 黒目周辺から放射状に走る
移動性 結膜を動かすと動く 深層なので動かない
瞼の裏の充血 充血あり 充血なし
血管収縮剤の点眼 充血は消失する 不変
主な疾患 急性結膜炎 虹彩毛様体炎、角膜炎、強膜炎

原因と対策

結膜充血

眼精疲労や物理的に受ける軽度の刺激等により起こります。
対策:血管を収縮させる成分(充血除去剤)、ナファゾリン塩酸塩や塩酸テトラヒドロゾリンの点眼により症状が緩和します。症状がひどい等の場合は、なるべく早く専門医に相談する必要があります。

毛様充血

眼球結膜下の深部血管に、虹彩毛様体炎等の疾患が原因で起こります。
対策:病変が深部なので血管収縮剤を点眼しても効果は見られません。原因疾患を治療するために、なるべく早く専門医に相談して下さい。
※充血が呼び水となり炎症が悪化する事もあるので、放置せず適切なケアをしましょう。

〈参考〉
結膜下出血

結膜下の小さい血管が破れ、結膜に血豆のような物ができます。目をこすったりお酒を飲み過ぎた時、寒い時によく起こりますが、原因がはっきりしないこともあります。血液が眼球内に入ることはなく、放っておいても2~3週間、長くて2~3ヶ月で自然に吸収しますので、特に心配する必要はありません。

結膜炎

目の表面を保護している結膜が、様々な刺激や微生物感染等で炎症を起こした症状が結膜炎です。充血や目やに等が現れ、不快感が非常に強いです。

原因と対策

外因性:細菌性

結膜に充血・浮腫が認められ、膿性(黄ばんでいる)の目やにが見られます。
対策:抗菌成分配合の目薬を3~4日使用し、効果がないようなら専門医に相談して下さい。

外因性:ウイルス性(ヘルペスウイルス等)

突然充血や流涙、異物感が起こります。目やには少なく、涙のようにさらっとしています。かゆみもほとんどなく、耳前リンパ節の腫れや圧痛も特徴です。
対策:早めに専門医へ相談して下さい。(眼科ではステロイド剤や抗生物質(二次感染予防目的)の投与を行い軽快します)。非常に感染力が強いので、タオルを別にする等で感染防止を心がけてください。

内因性:アレルギー性結膜炎

年中症状の現れる通年性アレルギー(ダニ・ハウスダスト等が原因)と、春や秋だけに現れる季節性アレルギー(花粉等が原因)に大きく分けられます。かゆみの他、充血・涙・異物感等の眼症状や、くしゃみ・鼻水・鼻づまり等の鼻症状が現れることも。
対策:抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤配合の目薬の点眼が効果的です。こすったり、原因となる物質が体内に入らないよう心がけましょう。

麦粒腫(ものもらい)

まぶたの一部が腫れて赤くなり、最初はかゆく、しだいに痛みが強くなります。悪化するとまぶたの腫れが強くなり、膿点が現れます。

原因

通常、目は細菌感染に対して抵抗力がありますが、過労や病気等で抵抗力が落ちると黄色ブドウ球菌等に感染し、炎症が起こります。

対策

症状にあわせて抗菌性薬物を投与します。また、膿点が現れた場合は切開して膿を出せば治癒を促進できるため、専門医に相談して下さい。

〈参考〉
ものもらいの見分け方

  1. 眼瞼発赤まぶたに赤く腫れ上がって硬い部分があり、充血がないと「ものもらい」。
  2. 結膜充血結膜が充血していると「結膜炎」。

その他、痛み・重度の充血・耳前リンパ腺が腫れる・ただれる等の症状があればウイルス性結膜炎の可能性があるので、専門医に相談して下さい。
また、目薬を使っても症状が改善しない場合も医師への受診をおすすめします。

緑内障(あおそこひ)

閉塞隅角(へいそくぐうかく)緑内障(急性)

目に激痛が起こる他、頭痛や吐き気、嘔吐等の症状を伴うことがあり、脳腫瘍等の他の疾患と間違えられやすいので注意が必要です。

開放隅角緑内障

自覚症状はほとんどありませんが、視力が低下したり、かすんで見えたり、虹が見えたりすることもあります。進行してくると視野が狭くなり失明に至る場合もあります。

原因

何らかの原因で眼圧(目の内部の圧力)が高まり、視神経が圧迫されて起こる病気です。40才代頃から増え始め、年齢とともに増加する傾向があります。血管収縮剤の点眼等でも急性発作が起こる事があり、注意が必要です。

対策

まずは専門医に相談して下さい。医療機関で受けられる治療法には、次のようなものがあります。

閉塞隅角(へいそくぐうかく)緑内障(急性)

発作時はピロカルピン(房水の排出を促す薬)頻回点眼等で直ちに眼圧を下げ、その後再び発作が起きないようにレーザー治療(虹彩に孔を開け、房水が前房に排出されるバイパスを作る)を行います。

開放隅角緑内障

β遮断薬点眼や炭酸脱水酵素阻害薬内服等、房水が作られるのを抑える薬で眼圧をコントロールします。薬剤だけでは不十分な時は、必要に応じて手術やレーザー治療で房水の流れを改善します。

白内障(しろそこひ)

目の水晶体が白く濁り、視力が低下して「目がかすむ」症状です。(近視では遠くが、逆に老眼では近くが見にくくなりますが、白内障の場合は遠くも近くも霧がかかったようにぼんやりとかすんで見えます。)初期段階では、水晶体の濁りが光を乱反射して「まぶしい」という症状が現れたり、核から濁り始めた場合に水晶体の屈折率が変わって、一時的に近くが見えやすくなる事もあります。

原因

大多数は加齢による水晶体の混濁から来る「老人性白内障」です。他には糖尿病に起因するもの、先天性、ボールが目に当たることで水晶体に傷がつく外傷性の白内障があります。

対策

まずは専門医に相談して下さい。
いったん混濁した水晶体を再び透明化させることはできません。根本的に治療するには、濁った水晶体を取り除いて人工レンズを装着する手術を行います。

飛蚊症

目の前を蚊が飛んでいるように黒い影が動いて見える症状を言い、何らかの原因で目の中の硝子体に濁りが生じた時に現れます。

原因

正常な硝子体はゼリー状の無色透明な組織ですが、加齢等で変性し濁りがあると影となって網膜に映り、蚊や水玉のように見えるものが正体です。

対策

眼底検査をして生理的なものと判ればそれほど心配はいりませんが、急に発症したり増えたり色が濃くなったりしたら合併症の恐れがあります。早めに医師への受診をおすすめします。また、網膜剥離の初期に飛蚊症が見られることがあります。

〈参考〉
光視症

目を閉じていても光が見えたり走ったりする、視細胞が機械的に刺激された症状を言います。細胞膜裂孔形成や網膜剥離等による場合もあります。