歯槽膿漏(歯周炎)で見られる症状・種類(病気名)・疾患

<知っておきたい>「歯槽膿漏(歯周炎)」の正しい知識 (2)歯槽膿漏(歯周炎)で見られる症状・種類(病気名)・疾患

歯槽膿漏はサイレントキラー「静かな殺し屋」とよばれるほど、目立った症状や大きな体調の変化をともなわずに、少しずつ進行していく疾患です。病気に気づかず手遅れになってしまう前に、思いあたる自覚症状がないかチェックをしてみましょう。

歯槽膿漏(歯周炎)を簡単セルフチェック

歯槽膿漏(歯周炎)を簡単セルフチェック

以下の項目に、心あたりはありませんか?歯槽膿漏は普段からよく見られる症状で進行していくため、定期的なセルフチェックが必要です。

  • 朝起きたときに、口のなかに粘り気を感じる
  • 歯と歯の間に、食べかすが詰まりやすい
  • 歯肉が赤く腫れている
  • 歯みがきをしたときに、出血する
  • 固いものが噛みにくい
  • 歯茎がかゆくなったり、ムズムズしたりすることがある
  • 歯茎を押すと、膿が出ることがある
  • 口が臭いといわれることがある
  • 歯ならびが悪くなってきた
  • 歯が長くなってきた気がする
  • 歯が浮いているような気がすることがある、またはグラグラしている

3つあてはまる項目がある人は…

歯槽膿漏(歯周炎)の可能性あり。歯みがきのしかたに注意して、症状が悪化するようであれば歯科を受診しましょう。

5つ以上あてはまる項目がある人は…

歯槽膿漏(歯周炎)が進行している可能性があります。歯科医師へのご相談をおすすめします。

7つ以上あてはまる項目がある人は…

歯槽膿漏(歯周炎)の症状が、かなり進んでいる恐れがあります。できるだけ早めに、歯科医師へご相談ください。

ただし、ひとつでも強く症状を感じるときには、歯科医師へのご相談をおすすめします。

歯槽膿漏(歯周炎)の主な症状

歯槽膿漏(歯周炎)の主な症状

歯槽膿漏(歯周炎)は、歯周病菌によって発症する疾患です。歯周組織を壊してしまう原因にもなりますので普段から歯垢の除去(プラークコントロール)などを心がけましょう。そうすることで、炎症を抑え、歯槽膿漏(歯周炎)の進行を食い止めることが可能です。

歯槽膿漏(歯周炎)は進行状態によって、あらわれる症状が変わってきます。それぞれの代表的な症状と、その状態を詳しく解説します。

症状
  • 軽度

    歯槽膿漏(歯周炎)の初期では、それほど痛みや違和感はありません。この段階で対処(原因除去)ができれば、症状が改善し進行が止まります。

    よくある症状
    歯茎が腫れる、赤みがある
    歯と歯の間にある歯肉が、丸みをおびて膨らむ
    歯肉付近に歯垢がたまりやすくなる
    歯みがきのときに、出血することがある
  • 中等度

    多くの人が自覚症状を感じ、歯槽膿漏(歯周炎)を疑う段階です。歯石ができはじめた頃であれば、治療にあまり時間がかからず回復の可能性も高くなります。

    よくある症状
    歯茎が濃い赤や赤紫色になる
    歯みがきをすると、血や膿が出る
    歯に歯石がつく
    歯と歯の間に隙間ができて、食べ物が挟まる
    歯肉の位置が下がり、歯が長くなる
    歯根が見える
    口臭がある
  • 重度

    自覚症状とともに生活にも大きな支障が出てきます。歯周病は口腔内の病気というだけでなく、進行すると全身病に対する健康リスクも上昇します。
    最近では、歯周病菌や歯周炎の炎症性物質が血液や唾液等を通じ全身に影響することで、心臓病や動脈硬化症の要因となる血栓の形成、糖尿病の悪化、その他誤嚥性肺炎発症などのリスクを高める可能性が報告されています。

    よくある症状
    固いものを噛むと、痛みを感じる
    歯を支える歯槽骨が壊され、歯ならびが悪くなる
    歯がグラグラしてくる、抜けてしまう
    口臭がひどくなる
    頭痛がする
歯槽膿漏(歯周炎)と関連のある病気(症状)

歯槽膿漏(歯周炎)と
関連のある病気(症状)

歯槽膿漏(歯周炎)と関連のある病気には、どんなものがあるのでしょうか?逆に、もしもこれらの病気を自覚している場合は、歯槽膿漏(歯周炎)の症状が出ていないかも、あわせてチェックしたほうがいいでしょう。

  • 知覚過敏

    知覚過敏とは冷たいものを食べたり飲んだりしたときに、ピリッとした刺激を感じる状態です。これは歯槽膿漏(歯周炎)で歯茎の位置が下がり、露出した歯の根元が刺激を受けることを原因として起こります。歯根は上部とは異なり、エナメル質に覆われていないため、温度による刺激から歯を守ることができません。

  • 副鼻腔炎

    副鼻腔炎は、鼻の奥にある副鼻腔とよばれる空間に細菌やウイルスが侵入することで、粘膜に炎症を起こした状態です。自覚症状は鼻づまり、鼻水、頭痛など。原因はさまざまですが、上顎の奥歯が副鼻腔と接しているため、歯周病が原因で病気を引き起こすことがあります。

  • 全身疾患との関連性

    歯槽膿漏(歯周炎)が進行すると、歯周病菌が血管を通して全身にまわり、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞、認知症を引き起こす原因のひとつになる可能性があります。また、糖尿病を患っている人は歯周病にもなっている場合が多く、糖尿病の治療と歯周病の治療を合わせて行うこともあります。

歯槽膿漏(歯周炎)に類似している病気(症状)

歯槽膿漏(歯周炎)に
類似している病気(症状)

次に、症状が似ていることで、歯槽膿漏(歯周炎)と間違いやすい病気を紹介します。これらは自覚症状が歯槽膿漏(歯周炎)と似ている部分もありますが、原因が異なるためまったく別の治療が必要です。

  • 虫歯

    食べたものが歯にしみる、歯に隙間ができる、といった自覚症状からなかには歯槽膿漏(歯周炎)を疑う方もいるようです。しかし歯槽膿漏(歯周炎)と虫歯はまったく異なりますので、歯科医の診察を受けることをおすすめします。

  • 歯ぎしり

    眠っているときに歯をくいしばる、歯ぎしりをする癖がある人は、それによって神経に過剰な力がかかり一時的な知覚過敏におちいることも。この場合には専用のマウスピースを作って歯を守り、傷ついた神経を治していきます。

  • 歯が割れたり、ヒビが入ったりする

    噛む力が強い人のなかには、自分で奥歯を噛み割ってしまったり、ヒビが入ることで歯茎が腫れてしまったりするケースがあります。歯に刺激を感じるため、歯槽膿漏(歯周炎)と間違える人もいます。

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小林 将人先生
監修:sara歯科クリニック野方院長 小林 将人先生
1998年日本歯科大学新潟生命歯学部卒。日本口腔インプラント学会、日本顎咬合学会会員、日本歯科審美学会会員。品川区、港区にて最先端の歯科治療を行うクリニックで院長を務めたのち、sara歯科クリニック野方を開業。

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