かぶれ(接触皮膚炎)の予防・対処法

<知っておきたい>「かぶれ(接触皮膚炎)」の正しい知識 (2)かぶれ(接触皮膚炎)の予防・対処法

皮膚に何かが触れたときに起きる「かぶれ(接触皮膚炎)」。もし体のどこかに赤くなったり、ブツブツが出たり、かゆみが出たりして、かぶれ(接触皮膚炎)が起きたら、どのような対処をすればいいのでしょうか。また、どのように予防することができるのでしょうか。皮膚科医監修のもと、くわしくご紹介します。

かぶれ(接触皮膚炎)の予防法

かぶれ(接触皮膚炎)の予防法

かぶれを予防するためには、次のことを日常生活の中で注意しましょう。

原因物質には直接触らない

基本的に日常生活において直接、肌に触れるもののうち、かぶれの原因物質となりうる洗剤や金属、植物などをできるだけ直接触らないようにしましょう。例えば、家事・仕事においては、手指や手のひらを予防するためにゴムやポリ塩化ビニル樹脂の手袋で手を保護して仕事をするとよいです。

かぶれ(接触皮膚炎)が起こった時の対処法

かぶれ(接触皮膚炎)が起こった時の対処法

かぶれ(接触皮膚炎)に対しては、一般的に次のような対処法があります。
軽い症状の場合には、まず自宅で自分で対処する方法があります。もし症状が治まらない場合には、皮膚科を受診しましょう。

対策

自宅で対処する場合

  • 原因物質をすぐに取り除く

    もし化粧品などを使用して、肌にかゆみや赤み、はれなどの症状が出たときには、すぐにその原因物質を水などで洗い流しましょう。

  • 手で触ったり、こすったりしない

    原因物質を取り除いた後も、手で触ったり、こすったり、かゆくてもかいたりしないようにします。

    また顔がかぶれている場合の洗顔は、熱いお湯は避け、水かぬるま湯で行うようにします。メイクを落とすクレンジングなどは刺激の少ないものを使用すること。ただし、メイクは症状が強い場合には控えるようにしましょう。タオルで水気をふきとるときもやさしく押さえるようにします。
    スキンケア(化粧水・乳液・保湿剤など)は、なるべく手で塗るようにし、コットンなどで肌をこすらないようにすることも大切です。また、季節や天気によって、肌に刺激の少ない日焼け止めを塗ることも大切です。症状が治まらないようであれば、専門医の診察と治療を受けましょう。

対策

皮膚科で治療を受ける場合

  • パッチテストを受けて原因を特定する

    まず必要になるのが、その症状を起こしている大元の原因を断つことです。そのために、原因を推定する必要があります。医師の診察を受けて、発症部位や問診によって、原因物質を推定しやすくなります。
    原因物質が特定できない場合や、確定したいときにはパッチテストを行います。

    パッチテストでは、疑われる物質を、そのまま、または液体や軟膏で薄めたものを布に塗って貼り付けます。衣類や化粧品、皮革などはそのまま皮膚に貼ります。そして、48時間後にはがして、赤くなったり、腫れたり、水ぶくれになったりするかどうか、反応をみます。その後、可能なら1週間後まで反応をみます。かゆみが起こることもありますが、赤くならずかゆみだけ起きるということはあまりないため、かゆみ自体は判定基準には含まれていません。
    濃度によって皮膚の反応が変化する場合には一次刺激性接触皮膚炎、濃度に関係なく皮膚に反応が出る場合、アレルギー性接触皮膚炎と判断できます。ただし、アレルギー性でも高濃度ほど反応が強く出る傾向はあります。

  • 症状を起こすもととなる物質

    医師からの説明の元、原因が特定できたら、その後は原因物質を避けることが大切です。パッチテストされた方はどのようなものにその成分が含まれているかを確認してから使うようにしましょう。

  • 治療を受ける

    通常、かぶれの症状が出ている部位には、抗炎症作用を持つステロイドの外用剤を処方されることがほとんどです。保湿剤によるスキンケアをすることもあります。赤みや腫れ、熱さを感じる場合は冷湿布をすることもあります。
    また、炎症反応が強い場合や、症状が広い範囲に及ぶ場合には、短期間の間、ステロイドを内服したり、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、消炎薬を内服したりすることもあります。

赤ちゃん・子供がかぶれてしまった際の対処法

赤ちゃん・子供がかぶれてしまった際の対処法

赤ちゃんや子供の皮膚がかぶれてしまうこともあります。そのときの原因と対処法をみていきましょう。

赤ちゃんに起こりやすい部位・原因

赤ちゃんにかぶれの症状が起こりやすい部位や原因には次のことがあります。

  • おしり

    おしりに起こる場合、原因はおむつによることが多いです。おむつの当たる部分のうち、特に外陰周囲や肛門の周囲に赤みが出ます。水ぶくれ、ただれなどを生じることがあります。原因には尿や便などの排泄物に含まれるアンモニアやプロテアーゼなどの刺激のほか、おむつによる摩擦、密閉された環境などがあります。

  • よだれそのものによる刺激で口まわりがかぶれることは、赤ちゃんにはよくあることです。また、よだれを拭き取るときの摩擦、拭き取った後の乾燥、食べ物による刺激などが原因で、頬や口の周りが炎症し、かぶれることもあります。

赤ちゃんのかぶれ対処方法

  • おむつを頻繁に交換する

    赤ちゃんのおむつかぶれが起きたら、おむつを頻繁に交換します。そして交換するときには水かぬるま湯でしぼったタオルなどで軽く拭き取るようにします。
    また、よだれかぶれが起きたら、こまめに優しく水かぬるま湯でタオルなどでそっと押さえるように拭きます。そして保湿剤などで皮膚を保護します。もし赤みがあり、かゆそうにしているときには薬を塗ります。

  • 薬を塗る

    市販のおむつかぶれ用の薬を塗るという方法もあります。

  • 皮膚科を受診する

    もし症状が治まらない、悪化するといった場合、皮膚科を受診しましょう。

かぶれ(接触皮膚炎)でよくある悩みを解説

かぶれ(接触皮膚炎)でよくある悩みを解説

  • かぶれはうつりますか?

    かぶれはうつることはありません。かぶれとは、何らかの刺激物質やある特定の物質(植物など)が皮膚に接触することによって起きるものです。

  • つけまつ毛でかぶれますか?

    つけまつ毛をつけるための接着剤でかぶれることがあります。

  • 応急処置として市販のかゆみ止めは有効ですか?

    市販のかゆみ止めは有効です。ただし、2週間くらい使って症状が改善しない場合には、何か別の原因があることもありますので、早めに病院へ行きましょう。

  • 原因不明のかぶれはありますか?

    かぶれの原因はさまざまで自分でも気づかない間に何らかの影響を受けている場合もあります。皮膚科専門医に相談へ行く場合は、皮膚症状が出たのはいつか、どのように変化したか、他に気になっていた症状はないか、そして直前に食べたものやその時点で使用している薬があればメモをしておき、正確に伝えることが大切です。

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平田 雅子 先生
監修:私のクリニック目白 院長 平田 雅子 先生
医学博士・皮膚科認定専門医・日本医師会産業医・国際中医薬膳師。日本大学医学部卒業、東京医科大学付属病院勤務。退職後、臨床の第一線に立ち毎日500名以上の患者様の診療にあたる。その後2003年に女性専門外来、私のクリニック目白を開設し、理事長兼院長に就任。

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